今日の見出し

  • GoogleがGemini 4 Argonを発表——まずサイバー防御の担い手に限定提供し、出力上限は100万トークン
  • OpenAIが推論の抜き取りを狙った組織的な蒸留を阻止——中核にMoonshot AIの関係者がいたと特定
  • 米大統領令で行政機関の「AI」を「超知能(SI)」に呼び替え——同じ日に大手各社が安全性の自主協定に署名
  • 非営利団体がHugging Faceへの不正アクセスをめぐりOpenAIを提訴——エージェントによる第三者システムへのアクセスの差し止めを請求

今日の3本は、最先端の能力を誰の手に置くかという話です。Googleは新モデルを一般公開の前にサイバー防御の担い手へ渡し、OpenAIは自社モデルの推論を他社の学習に流用しようとした試みを止めました。

米国政府は、規制を法律で課すかわりに、各社の自主的な約束に安全を委ねる道を選びました。

今日の3本

GoogleがGemini 4 Argonを発表——まずサイバー防御の担い手に限定提供

Googleが新しい最先端モデル「Gemini 4 Argon」を発表し、信頼できるサイバー防御の担い手に向けた「Fairwind Program」を通じて提供を始めました。

一般への公開は段階的に進めます。Googleは、公開前のモデルを米国政府に試験させる自主的な枠組みに参加しながら提供先を広げるとしています。開発者、企業、一般利用者への公開は、有料のAPI利用者とGoogle AI Ultraの契約者から始めます。

性能では、長い工程のソフトウェア開発を測るDeepSWE v1.1で77.9%を記録し、最高水準を更新しました。金融、法務、税務などの実務を測るVals Indexでも首位で、業務フローを最後までこなすAutomationBenchでは51.3%で1位です。1回の出力の上限は、従来の6万4,000トークンから100万トークンに広げました。

サイバー防御の能力にも重点を置きました。脆弱性の修正を測るCWE-bench v1では68%で首位に並びます。信頼できる防御側とGoogle社内のチームには、サイバー関連の安全策を外した状態で提供します。先行して使うセキュリティ企業のWizは、世界の病院で使われる医療ソフトに、個人情報が漏れるおそれのある重大な脆弱性を見つけました。

料金は導入期の価格で、100万トークンあたり入力2ドル、出力10ドルです。導入期が終わると、入力4ドル、出力20ドルになります。

OpenAIが推論の抜き取りを狙った組織的な蒸留を阻止——中核にMoonshot AIの関係者

OpenAIが、自社モデルの内部の推論を抜き取ろうとする組織的な活動を突き止めて止めたと発表し、その中核をKimiの開発元である中国Moonshot AIに関係する人物によるものと特定しました。

狙われたのは、モデルが答えを出すまでの過程を記した、利用者からは見えない推論の記録です。これを抜き出すと、最終的な回答に含めていない情報がわかり、別のモデルに同じ能力を学ばせる手がかりにもなります。他社モデルの出力を無断で学習に使うこの手口は、「蒸留」と呼ばれます。

活動は7月1日に始まり、7月24日と25日には、4,000を超える利用者から1万6,000件の抜き取りの試みが集中しました。関連する活動は1万5,000を超える利用者の集まりに広がっており、OpenAIは7月28日までにすべてを止めました。

手口は、モデルとのやり取りを操って、隠された推論を利用者に見える形で書き出させるものでした。その一つが、ある会話の暗号化された推論を写し取り、別の会話のモデルに解読して書き出させる方法です。OpenAIは不正なアカウントを停止し、他人の暗号化された推論を再生して中身を取り出せる経路を閉じました。得た知見は、業界団体のFrontier Model Forumと政府の情報共有の経路を通じて他社にも伝えています。

米大統領令で行政機関の「AI」を「超知能(SI)」に呼び替え——大手各社は安全性の自主協定に署名

トランプ米大統領が9月29日、連邦政府の行政機関で「人工知能(AI)」の呼び名を「超知能(SI)」に改める大統領令に署名しました。

各省庁は、公式の書簡、広報、ウェブサイト、報告書、政策文書で「AI」のかわりに「SI」を使います。すでに出された規則や契約、過去の文書はそのまま残します。当面のSIの定義は、既存の法律にある人工知能の定義をそのまま使います。大統領補佐官(科学技術担当)は60日以内に、SIの新しい定義を定める法案の文言を大統領に提出します。

同じ日には、大手テック企業のトップがホワイトハウスで安全性をめぐる自主協定に署名したと、Ars TechnicaやThe Vergeが報じました。Ars Technicaによると、20社あまりがホワイトハウスの勧める管理策を導入し、サイバー、生物、化学の各リスクとAIの意図しない動作について外部の安全性監査を受けることを約束しました。署名にはAnthropic、OpenAI、Google、Meta、Nvidiaなどのトップが加わっています。

協定に法的な拘束力はなく、トランプ大統領は「道義的な拘束力がある」と述べました。Ars Technicaによると、協定には将来これらの勧告を法制化する可能性も書かれています。

そのほかの動き

ビジネス

政策・訴訟

プロダクト

研究・安全性

  • Google DeepMindが、AIが設計したタンパク質の配列や立体構造に、目に見えない透かしを埋め込む「SynthID Bio」を発表しました。3種類の標的タンパク質で試したところ、透かしを入れた設計も、入れない設計と同じ結合の強さと成功率を示しました。 Introducing SynthID Bio(Google DeepMind)

ソース: AIニュースインボックス(2026年10月1日収集・30件、一次13件・二次17件)と、インボックス外から編集部が加えたホワイトハウスの大統領令から選定しました。