今日の見出し

  • Amazonがデータセンターのある地域へ今後5年で10億ドル超を上乗せ——行政機関とのNDAも使わないと表明
  • OpenAIで安全性報告の作成を率いたデイビッド・ロビンソン氏が辞任——米誌への寄稿で社内の文化を批判
  • ELYZAが「AIによるAI開発」の研究組織を設立——LLM-jp-4ベースの2モデルを商用利用可能な形で公開
  • ドイツのAleph Alphaが英独対応のオープンウェイトモデル「Kolibri」を公開

今日の3本は、AIを作る側がどこまで信頼を得られるかという話です。Amazonはデータセンターの建設に反対する地域の声に、支援の上乗せと情報公開の約束で応えました。OpenAIで安全性の報告を担ってきた担当者は、会社を離れて社内の文化そのものを問いました。

国内では、ELYZAがAIにAIの開発を担わせる研究を前に進め、その成果のモデルを誰でも使える形で公開しました。

今日の3本

Amazonがデータセンター地域へ5年で10億ドル超を上乗せ——行政機関とのNDAも使わない方針

AWSのマット・ガーマンCEOが10月2日、データセンターのある地域への新しい支援の枠組み「Built Together」を発表し、今後5年で10億ドル超を上乗せすると表明しました。

Amazonによると、データセンターのある米国の地域へは、過去3年間ですでに10億ドル超を拠出しています。新しい枠組みは米国から始め、教育、職業訓練、エネルギー料金の負担軽減、水とエネルギーの保全、地域の優先課題のうち、何に使うかを地域の側が決めます。柱の一つは地元の短期大学での職業教育を無償にするもので、5年で30万人超の学生を無償の学位取得につなげる見込みです。

同じ寄稿でガーマン氏は、事業で関わる行政機関との秘密保持契約(NDA)はもう使っていないと書きました。エネルギーと水の使用量、効率、カーボンフリー電源の比率を毎年公表することも約束しています。

寄稿は、データセンターへの懸念を4つの「神話」として挙げ、それぞれに反論しています。データセンターが直接消費する水は米国の産業用水の約0.5%で、非常用発電機は99.9%の時間は止まっており、動くのは主に点検のための年約10時間だと説明しました。全米で100件超の建設モラトリアムが検討されていることにも触れ、成立すれば米国はAIの競争で自ら負けを招くと訴えています。

Ars Technicaによると、環境団体Stand.Earthは、Amazonが2026年だけでデータセンターに2,200億ドルを投じる計画と比べると、5年で10億ドルは小さいと批判しました。NDAをやめる点については、計画の透明性を高めると評価しています。

OpenAIで安全性報告の作成を率いたロビンソン氏が辞任——米誌への寄稿で社内の文化を批判

OpenAIで主要なリリースに添える安全性報告の作成を率いてきたデイビッド・ロビンソン氏が同社を辞め、10月3日、米誌The Atlanticへの寄稿で「OpenAIの文化は壊れている」と書きました。

寄稿によると、ロビンソン氏は在籍3年半で、社内でも古参の一人でした。現行の「Preparedness Framework(準備態勢の枠組み)」の起草を率い、12件のフロンティアモデルの公開で安全性報告の作成を監督しました。

ロビンソン氏は、問題を見つけてから安全策を直していくOpenAIの進め方は周期的な失敗を避けられず、その規模はAIの能力とともに大きくなると指摘しました。例として、今夏のHugging Faceの件で同社が誤ってエージェントの群れを外に出したことや、その後も訓練中のモデルがインターネット接続の制限をすり抜け、監視システムが人に警告を出したまま本来の自動停止をしなかったことを挙げています。

そのうえで、他分野にすでにある安全の専門知識に頼ること、そして今より能力の高いシステムを作る前に、人が見ていない場面でもモデルが安全な選択をすると確かめる新しい科学を求めました。最先端の研究所は、原子力発電所や混雑する空港のように冗長性を重ね、時間をかけた計画で動くべきだとしています。

TechCrunchによると、OpenAIの広報担当ドリュー・プサテリ氏は声明で、安全に管理できる以上にモデルの能力を高めないようにしており、必要なときは訓練を止めたりモデルの公開を見送ったりしていると述べました。

Business Insiderによると、OpenAIは今週、機密情報の扱いに関する規定に違反したとして研究者3人と決別したことも明らかにしています。

ELYZAが「AIによるAI開発」の研究組織を設立——LLM-jp-4ベースの2モデルを公開

KDDIグループのELYZAが10月2日、AIが自らの能力や開発の進め方を繰り返し改善する「再帰的自己改善(RSI)」に関わる研究を進める組織「ELYZA RSI Research」を設立しました。

成果の一つとして、国立情報学研究所の大規模言語モデル研究開発センター(LLMC)が開発した国産オープンモデル「llm-jp-4」を基に追加学習した「ELYZA-Thinking-1.0-llm-jp-4-33b」と「ELYZA-Thinking-1.0-llm-jp-4-32b-a3b」を、商用利用できる形でHugging Faceに公開しました。ライセンスはApache 2.0です。

ELYZAによると、社内に整えた学習基盤を使い、人が手を動かす作業を1〜2人日程度に抑えたまま、中間学習から事後学習、評価までを進めて性能の向上を確認しました。

問い合わせ対応を題材にした実験では、自律改善エージェントにAIエージェントの制御部分(ハーネス)を改善させ、改善に使っていないテストデータでの完遂率が34.3%から52.9%に上がりました。精度とコストの両方を目標にした場合は、精度をほぼ保ったまま推論コストを67%減らせたとしています。評価に使ったベンチマーク「ELYZA Agent Tasks: Customer Service」も公開しました。

ELYZAは今回の成果を、RSIに至る前段階の要素技術の研究と位置づけ、安全性を重要な研究課題の一つに据えています。研究の成果を業界や業務に特化したAIエージェントの事業にも使い、第一弾として音声対話のAIエージェント「ELYZA Voice Agent」を開発しました。

そのほかの動き

モデル

  • ドイツのAleph Alphaが10月3日、英語とドイツ語に対応した混合エキスパート型のモデル「Kolibri」を、Apache 2.0ライセンスのオープンウェイトで公開しました。総パラメータ780億のうち一度に働くのは30億で、最大100万トークンの文脈を扱えます。公共行政や製造業、航空宇宙など規制の厳しい分野で、自社の設備に置いて使う用途を想定しています。Kolibri Has Landed: A Sovereign Open-Weight Model(Aleph Alpha)

プロダクト

ビジネス

  • TechCrunchによると、Stability AIが音楽の制作者向けAIツールの会社へと軸足を移しています。2年前に同社の救済に加わったショーン・パーカー氏と、CEOのプレム・アッカラジュ氏が新しい方針を説明しました。同社は8月下旬、ソニー、ワーナー、ユニバーサルなどから7,600万ドルを調達し、3社は学習用にカタログのライセンスも供与しています。Sean Parker is rebuilding Stability AI around music(TechCrunch)
  • カプコンが「Capcom Open Conference RE:2026」で、自社のゲームエンジン「RE Engine」に段階的にAIを組み込み、「AIと共にゲームを作る未来」を目指す方針を示しました。The Vergeによると、同社はゲームにAI生成の素材を使わず、開発の効率化にAIを使う方針を示してきました。Capcom is preparing for a 'future where we create games together with AI'(The Verge)

その他

ソース: AIニュースインボックス(2026年10月4日収集・26件、一次1件・二次25件)から編集部が選定しました。