今日の見出し
- Google CloudがGeminiを仕事のエージェントに——Workspaceの中で働く「同僚」も
- Anthropicが利用規約を改定——欺瞞的な世論工作の章を新設、11月12日に施行
- Manusの親会社が5億ドル超を調達——Metaとの買収撤回後で初
今日の3本は、AIに何を任せ、どこに線を引くかの話です。Google Cloudは、目標を渡せば仕事を仕上げて返すエージェントとしてGeminiを打ち出しました。
Anthropicは、偽アカウントによる世論工作や同意のない追跡など、Claudeに使わせない用途を書き直しました。中国のManusは、当局の命令でMetaによる買収が白紙になったあと、初めての資金調達を終えました。
今日の3本
Google CloudがGeminiを仕事のエージェントに——Workspaceの中で働く「同僚」も
Google Cloudが10月8日、年次イベント「Gemini at Work 2026」で、仕事を一手に引き受けるエージェント「Gemini」を発表しました。
一つの入力欄から、質問への回答や資料づくりなどの知的作業、画像や映像の作成、コードの作成と実行までをこなします。Google Cloudのトーマス・クリアンCEOは、このエージェントには指示ではなく目標を渡すと説明しました。Geminiは作業の段取りを組み、スキルとツールを使い分け、社内のシステムにつないで仕上げた成果物を返します。
Gmail、Drive、Docs、Sheets、Calendarなどの中でも直接働きます。チームの「同僚」として置くこともでき、その場合は専用のメールアドレスやカレンダーを持つWorkspaceのアカウントが与えられ、チャットで呼びかけて仕事を頼めます。エージェントの操作は、エージェント自身の名義で監査記録に残ります。
使うモデルは仕事ごとに選び、GoogleのGeminiモデル群に加えてAnthropicのClaudeも使い分けます。プロジェクトごとにAIの支出上限を決めると、上限に達した時点でエージェントが止まる仕組みも備えました。金融とリーガル向けの専用版はプレビューを始めています。
Googleによると、Fortune 100の約90%がGemini Enterpriseを使っています。日本の保険大手SOMPOは、3万4,000人の従業員のあいだで1万を超える独自のエージェントを作りました。The Vergeによると、Geminiエージェントは現在、企業向けの限定プレビューで提供されています。
- Welcome to Gemini at Work 2026: Introducing the Gemini agent(Google Cloud)
- Google Cloud introduces the Gemini agent.(Google)
- Google is launching a one-stop Gemini agent for your work tasks(The Verge)
Anthropicが利用規約を改定——欺瞞的な世論工作の章を新設
Anthropicが10月8日、Claudeの利用規約(Usage Policy)の新しい版を公表しました。施行は11月12日です。
新しく設けたのは、政治か商業かを問わず、偽アカウントや偽のニュースサイトで発信元を隠したり投稿を水増ししたりする活動を禁じる章です。これまで選挙・詐欺・プライバシー・偽情報の各章に散らばっていた規定を、一つにまとめました。選挙の章は、有権者をだます行為や選挙の妨害に的を絞り、名前を「Do Not Undermine Democratic Processes(民主的なプロセスを損なわないこと)」に改めました。
監視と刑事司法の章も書き直しました。本人の同意のない追跡は、リアルタイムでも過去のデータの分析でも禁止です。捜査・逮捕・起訴の対象を決めたり推奨したりする用途にも使えません。同意を得た追跡(不正の監視など)、コンテンツの審査、報道、リーガルリサーチは引き続き認めると明記しました。
兵器の章は、兵器を動かすソフトウェアや部品、ドローンなど自律型の乗り物の武装までが禁止に含まれると明示しました。健康・法的権利・金融・生計に関わる高リスクの用途では、AIの推奨を見直して変えられる人を置くことと、本人にAIの利用を伝えることを従来どおり求め、対象になる推奨の種類を具体的に示しました。AIが機器を自律で動かす場合には、操作者が監視して止められることと、接続が切れても安全な状態を保てることを新たに求めます。
モデルに対して、目的もなく残酷な振る舞いを繰り返すことも禁じました。Anthropicは極端な場合に限って適用するとし、ふつうの苛立ちや反論、暗い題材の創作、モデルの試験や研究には当てはまらないとしています。提供地域の規定では、非対応地域にいる人、そこに設立・本社を置く企業、そこの者が過半数を所有または支配する企業の利用を禁じると明確にしました。
- 2026 Usage Policy update(Anthropic)
- Anthropic bans 'abusive or cruel behavior' toward Claude(The Verge)
Manusの親会社が5億ドル超を調達——Metaとの買収撤回後で初
中国のAIエージェント企業Manusの親会社、蝴蝶効応(Butterfly Effect)が、5億ドルを超える資金調達を終えたとWeChatで発表しました。
博裕投資(Boyu Capital)とIDG資本が主導し、既存株主のテンセント、紅杉中国(HongShan)、真格基金も加わりました。評価額は公表していません。TechCrunchによると、同社は先月、評価額40億ドルで5億ドルを調達する方向で投資家と交渉していると伝えられていました。
TechCrunchによると、Manusは2025年12月にMetaによる20億ドルでの買収で合意しました。しかし、西側へのAI人材の流出を懸念する声が中国で強まるなか、当局が2026年4月に取引の解消を命じ、Manusは8月に独立した運営に戻りました。今回はそれ以来、初めての資金調達です。
Manusは国内外で採用を続けるとしています。TechCrunchによると、同社は香港での上場も検討していると伝えられています。
- 蝴蝶効応による資金調達の発表(Manus公式WeChat)
- China's Manus raises over $500M in first funding round since split with Meta(TechCrunch)
そのほかの動き
政策
- OpenAIが、ロシアとイランに由来する2つの秘密の影響工作でChatGPTのアカウントを停止したと報告しました。ロシア由来の工作は、中南米の人々にそれと知らせずに「シンクタンク」を運営させていたとみられます。OpenAIは影響工作の広がりを6段階で測る尺度でこれを5と評価し、報告を始めて以来、5の工作を阻止したのは初めてだとしています。イラン由来の工作は、7人の架空の記者の名義で記事を各国の中小のオンラインメディアに持ち込みました。Disrupting AI-enabled "false front" operations(OpenAI)
- The Vergeによると、米新聞大手のUSA Today Co.が傘下の地方紙とともにOpenAIを提訴しました。「数十万本」の記事を無断でAIの学習に使ったとして、2億5,000万ドルを超える損害賠償を求めています。USA Today becomes the latest publisher to sue OpenAI(The Verge)
- Anthropicが、社会の基盤を守る側を支える「Anthropic Cyber Mission」を始めました。電力や水道などを動かす制御システムの防御を支援するプログラムには、日立、CrowdStrike、Palo Alto Networks、Accentureなど11社が創設パートナーとして加わります。オープンソースのプロジェクトに無料で定期的な脆弱性スキャンを提供する「OSS Scanner」もあわせて始めました。Introducing the Anthropic Cyber Mission(Anthropic)
研究
- Anthropicが、AIで科学研究を加速する米政府の取り組み「Genesis Mission」に、3年間で1億5,000万ドルを拠出すると発表しました。NASA、米国立衛生研究所(NIH)、米国立科学財団(NSF)を含む15を超える機関でClaudeを使えるようにします。Building on our commitment to American scientific discovery(Anthropic)
ビジネス
- TechCrunchは英フィナンシャル・タイムズの報道として、OpenAIが投資家に年換算の売上高を「500億ドルに近づいている」と伝えたと報じました。先に報じられた約700億ドルを200億ドルほど下回ります。OpenAI's revenue is reportedly $20 billion less than previously projected(TechCrunch)
- AIモデルを利用者の投票で比べるランキングのArenaが、評価額31億ドルで2億ドルのシリーズBを調達したと発表しました。1月のシリーズAの評価額17億ドルから、約10か月でほぼ倍になりました。Popular AI leaderboard Arena nearly doubles valuation to $3.1B valuation in 10 months(TechCrunch)
ソース: AIニュースインボックス(2026年10月9日収集・93件、一次27件・二次66件)から編集部が選定しました。