今日の見出し
- 米司法省がOpenAIのエンジニアを訴追——役員会議室のテレビ裏に録音装置
- Apple対OpenAIの営業秘密訴訟——連邦地裁がOpenAIに採用面接の資料の提出を命令
- YouTube MusicがAIで作った曲にラベル表示——Deezerは年内にAI曲を外すスイッチ
- Anthropicがシンガポールに拠点を開設し政府と覚書を締結
今日の主役はOpenAIです。役員会議室に録音装置を仕掛けたとしてエンジニアが訴追され、Appleとの営業秘密の裁判では、採用面接の資料をAppleに渡すよう命じられました。
音楽配信では、AIで作った曲をどう扱うかが動きました。YouTube Musicは曲にラベルを付けて示し、Deezerは聴き手が自分でAIの曲を外せる設定を用意します。
今日の3本
米司法省がOpenAIのエンジニアを訴追——役員会議室のテレビ裏に録音装置
米司法省は10月13日、OpenAIのエンジニアだったサウジアラビア国籍のアブドゥルラフマン・アルフォザン氏(35)を、電子機器で会話を傍受しようとした罪で訴追したと発表しました。
訴状によると、OpenAIは9月30日、サンフランシスコの建物にある役員会議室で、テレビ背面のUSB端子に差し込まれた録音装置を見つけました。装置はトイレットペーパーに包まれ、9月28日ごろに取り付けられたもので、中身は暗号化されていました。
この会議室では、研究や製品の計画、技術の進み具合、政府との関わりなど、機密性の高い話し合いが頻繁に行われていました。同氏には会議室に入る権限も、会議に出る権限もありませんでした。
訴状は、同氏が社内の業務ツールで会議室の場所や予定、経営陣の居場所を何度も調べていたと指摘しています。配偶者に結び付いたチャットボットのアカウントからは、9月24日から30日にかけて、録音機の組み立てやSDカードの暗号化について質問が送られていました。
10月5日には、同氏が会議室でテレビの裏をのぞく姿がカメラに映りました。同じ日に置き忘れたかばんからは、同型の2台目の録音装置が見つかっています。
逮捕は10月9日で、有罪になれば最高で禁錮5年と罰金25万ドルが科されます。FBIのカシュ・パテル長官は、同社の超知能技術をめぐる機微な会話をひそかに録音しようとした疑いだと述べました。
- Saudi National Arrested for Installing Surreptitious Audio Recording Device at OpenAI(米司法省)
- Recording device hidden in toilet paper found in top-secret OpenAI meeting room(Ars Technica)
- OpenAI従業員、役員会議室に録音装置を仕掛けた疑いでFBIが逮捕(ITmedia NEWS)
Apple対OpenAIの営業秘密訴訟——連邦地裁がOpenAIに採用面接の資料の提出を命令
米連邦地裁のエドワード・ダビラ判事が10月13日、Appleが営業秘密の不正取得でOpenAIなどを訴えた裁判で、採用面接の資料などを前倒しでAppleに渡すよう命じました。
Appleは7月、元従業員2人とOpenAI、io Productsを提訴しました。元従業員がAppleの機密情報を使ってOpenAIのハードウェア開発を進め、面接でも他のApple従業員から情報を引き出したと主張しています。
命令の対象は、OpenAIの消費者向けハードウェア部門がApple出身の候補者を面接した際の手引きや技術発表の資料、被告側がすでに集めた端末のフォレンジック画像、関係者どうしのLINEのやり取りです。提出の期限は、集め終えた資料が5日、それ以外が14日です。
判事は、OpenAIの最高ハードウェア責任者タン・ユー・タン氏を含むApple出身の3人の証言録取も認めました。金属の仕上げや電源管理といった研究開発の資料を前倒しで開示させる求めは退け、通常の手続きに回しています。
OpenAIは10月14日の書面で、別の元従業員が製品計画に関する100件を超えるファイルを持ち出してAppleに移り、アジア事業を担う副社長らに説明したと主張しました。The Vergeによると、OpenAIはAppleが今週発表したスマートディスプレイ「HomeView」などの新製品とこの説明を結び付けています。
- Judge orders OpenAI to turn over hiring records in Apple trade secrets case(TechCrunch)
- Apple wins early access to OpenAI documents and employee testimony in trade secrets lawsuit(9to5Mac)
- OpenAI claims an ex-employee took its product plans and presented them to Apple(The Verge)
YouTube MusicがAIで作った曲にラベル表示——Deezerは年内にAI曲を外すスイッチ
YouTube Musicが10月14日、主に生成AIで作られた曲にラベルを付けて示す仕組みを始めました。
作曲とボーカルを生成モデルで作った曲などが対象です。再生画面にラベルが出て、タップするとAIが果たした役割の説明が開きます。判定には音楽パートナーの申告と自社の検出ツールを使い、表示はYouTube本体のアプリにも広げます。
TechCrunchによると、パートナーは「Fully Gen AI」「Partly Gen AI」「No Gen AI」の3区分で生成AIの利用を申告します。YouTubeは表示で知らせる方針をとり、AIが関わった曲も収益化の対象に残ります。
仏Deezerは10月13日、完全にAIで作られた曲・アルバム・関連アーティストを検索結果から外せるオン・オフのスイッチを、2026年末までに用意すると発表しました。同社には完全にAIで作られた曲が1日に9万曲近く届き、多い日には納品全体の50%超を占めます。
- YouTube Music adds new labels for AI music(YouTube)
- YouTube Music launches new labels as AI-generated music floods streaming platforms(TechCrunch)
- Deezer will let you fully exclude AI-generated music from your streaming experience(Deezer)
- Deezer will soon let you filter out AI-generated music(TechCrunch)
そのほかの動き
研究
- Microsoftの研究者が、既存の気象予報モデルの偏りを機械学習で補正する手法「PBC」を学術誌Natureで発表し、ソフトウェアを公開しました。欧州中期予報センター(ECMWF)の物理モデルで、降水の98%、気温の92%の予測対象で精度が上がったとしています。Microsoft has a new machine learning tool to improve weather forecasts(The Verge)
- ワシントン大学のデイビッド・ベイカー氏の研究室などが、AIの設計ツール「RFdiffusion2」と「ProteinMPNN」で、狙ったタンパク質を切る酵素を一から設計しました。Researchers use AI to design proteins that cut up other proteins(Ars Technica)
- Google.orgが、気候・健康・基礎科学の課題にAIで取り組む17団体に、総額3,600万ドルを提供すると発表しました。17 organizations using AI to accelerate scientific breakthroughs(Google)
- Google DeepMindとGoogle Cloudが、欧州の研究者最大200人に最先端モデルを使える環境と300万ドル分の計算クレジットを提供します。We're powering European scientific discovery with advanced AI compute and frontier models.(Google)
- Anthropicの共同創業者で公共利益部門責任者のジャック・クラーク氏が10月13日、東京大学大学院の松尾・岩澤研究室が主催した講演で、自らの後継システムを訓練できるAIが2027年に現れる確率は50%以上だと述べました。年初には「2027年に30%、2028年末までに60%」と予想していました。「AIがAIを作れるようになる確率は2027年に50%超」(ITmedia AI+)
プロダクト
- Google DeepMindが、シンガポール政府技術庁(GovTech Singapore)と、スマートフォンの上で会話から詐欺を見分けるモデルを作ったと発表しました。シンガポールの詐欺被害は2019年以降で40億シンガポールドルを超え、言葉巧みにだます手口が損失の最大80%を占めます。Google DeepMind and Singapore Government collaborate to build fine-tuned AI model for scam detection(Google DeepMind)
- GoogleがAndroidの「Google Messages」に、知らない相手からのメッセージの意図をGeminiで調べる任意の保護モードを加えました。アプリによる通話転送の無断設定を止める機能も入ります。Android is using AI to suss out scammers in Google Messages(The Verge)
- デジタルハリウッド大学が11月から、全学生と全教職員が大学のアカウントでClaudeを使えるようにします。国内の大学でClaudeを全学に入れるのは初めてです。デジハリ大、「Claude」を全学導入へ(ITmedia NEWS)
- Squareが、AIと話しながら注文できる店頭用の端末「Square Kiosk」を発売しました。価格は1,999ドルで、端末ごとに月99ドルのソフトウェア料金がかかります。Square's new kiosk lets you talk to AI for help with your order(The Verge)
- JAPAN AIが、AIエージェントが攻撃者の目線でWebサイトの弱点を調べるサービス「JAPAN AI Cyber」の試験提供の受け付けを始めました。AIエージェントによるWebセキュリティ評価サービス「JAPAN AI Cyber」(ASCII.jp)
政策
- Anthropicが米中間選挙に向けた対策を公表しました。今月中に米国のClaude.aiで、非営利団体Democracy Worksの公式な投票情報を回答に使い始めます。ロシア・イラン・北朝鮮寄りの中間選挙の記事をClaudeで作っていた国外の偽ニュースサイトの運営者などのアカウントは停止しました。Preparing for the 2026 US midterms(Anthropic)
- 欧州委員会のユーロバロメーター調査で、EUの中小企業と中堅企業の42%がAIやアルゴリズムによる管理をすでに使い、21%が使う計画を持つことが分かりました。49%は人事の判断でAIや自動化を信頼していないと答えています。Eurobarometer survey highlights growing use of AI in European companies(欧州委員会)
- OpenAIが、EUの企業と中小企業でエージェント型AIの利用が広がっていると分析し、より深く使える余地を示す報告を公表しました。The EU's next chapter in AI is agentic(OpenAI)
- 10月14日号で取り上げたCharacter.AIの破産手続きで、ニューヨーク州のレティーシャ・ジェームズ司法長官を含む超党派の40人の州司法長官が、利用者のデータの売却や移転には規制上の論点があると裁判所に通知しました。Now that Character.AI is going bankrupt, what happens to all of its users' data?(The Verge)
- AIの安全性を検証するWhite Circleが、OpenAIとGoogleの画像生成モデルで安全フィルターをくぐり抜け、露骨な画像を作らせられたと発表しました。新しいChatGPT Images 2.5とNano Banana 2.1は、前の版より破られやすかったとしています。OpenAI, Google pushing new AI models easily tricked into making nudes, researchers say(Ars Technica)
ビジネス
- Anthropicが、アジア太平洋で5か所目となる拠点をシンガポールに開き、同国のデジタル開発情報省と覚書を結びました。人口あたりのClaude.aiの利用で、シンガポールは121か国中2位です。Singapore office and government MOU(Anthropic)
- Anthropicの日本法人が開設から1年を迎え、3人で始めた社員は50人を超えました。企業での導入は1年前の約10倍で、人口あたりの利用度を示す指標では日本は世界平均の1.9倍です。社員3名→50名超、導入10倍、利用は世界の1.9倍。Anthropic東京の1年(PC Watch)
- オムロンが、米国の産業用PCメーカーOnLogicを6億7,500万ドル(約1,067億円)で買収すると発表しました。制御機器のPLCと産業用PCを組み合わせ、現場でAIを動かす基盤づくりを進めます。オムロンはAIを現場の価値に変える(MONOist)
- NVIDIAが、英国でエージェント型AIの安全とセキュリティの研究に5年間で2億5,000万ドル分の計算資源を出すと発表しました。Boltz、Riverlaneなど英国の5社への出資の予定も明らかにしています。NVIDIA Announces New Investments in the UK Startup Ecosystem(NVIDIA)
- Googleが、自社の製品やインフラ投資、クラウドとAIがEUのGDPに2,000億ユーロ超、EU全体の約1%を生んだとする報告書を公表しました。Googleの依頼でImplement Consulting Groupがまとめたものです。Enabling an AI-first European economy(Google)
- 日立製作所が、柱や梁に木材を使う小型データセンター「フレキシブルデザインコンテナ(木造型)」の販売を始めました。日立が「木造データセンター」展開(ITmedia ビジネスオンライン)
ソース: AIニュースインボックス(2026年10月15日収集・37件、一次11件・二次26件)から編集部が選定しました。