今日の見出し

  • AIエージェントに侵入を任せる攻撃基盤の管理画面が露出——米国・日本・豪州の通販サイトなどに1,100件超の攻撃計画
  • AmazonがPyTorchのコードをそのままTrainiumで動かす「TorchNeuron」を発表——10月20日にオープンソースで公開
  • Inceptionが拡散型のLLM「Mercury 3」を公開——毎秒1,068トークン・コンテキスト100万トークン
  • AIチップのTenstorrentが15億ドルを調達——調達後の評価額は62億ドル

今日の主役は、AIに任せる仕事の広がりです。セキュリティ企業のNorForgeは、侵入の手順をAIエージェントに任せる攻撃基盤の管理画面が、誰でも見られる状態で公開されていたと報告しました。開発の側では、Amazonが手元のPyTorchのコードを書き換えずに自社のAIチップで動かせる道具を発表しました。

今日の3本

AIエージェントに侵入を任せる攻撃基盤の管理画面が露出——米国・日本・豪州の通販サイトなどに1,100件超の攻撃計画

セキュリティ企業のNorForgeが10月19日、AIエージェントに侵入を任せる仕組み「Cairn」の管理画面が、認証のないまま多数公開されていたと報告しました。

Cairnはオープンソースの基盤で、出発点と到達目標を決めると、複数のAIエージェントが見つけた事実と次の一手を共有しながら目標へ進みます。NorForgeは、公開されていた画面のうち20を超えるものが、攻撃に使われている可能性が高いとみています。

最も活発だったのは中国語を使うグループで、14の画面に1,100件を超える攻撃計画が並んでいました。標的は主に米国・日本・豪州の組織で、通販や決済の基盤に長く居座る足がかりを作ることが狙いとみられます。ある指示文は、注文できることを自動で確かめた4か国の通販サイトを並べ、認証なしでコードを実行できる穴を探すよう求めていました。

このグループのエージェントには「claudecode_deepseek-v4.1-flash」という名前が付いており、NorForgeはClaude CodeのハーネスでDeepSeekのモデルを動かしている可能性があるとみています。費用は1件あたり平均5ドル前後、目標に届く割合は10%前後と推計しています。

ロイター通信は、被害を受けた企業にJohn Deere、SharkNinja、Cumminsが含まれると報じました。NorForgeはロイターと協力して被害を受けた組織に知らせ、画面の削除も働きかけています。

The Vergeによると、SharkNinjaは製品サポートの情報を載せた単独のサイトが影響を受け、すでに封じ込めたと説明しています。Cumminsは、取引先が運営するWebサイトへの攻撃の可能性を調べています。

AmazonがPyTorchのコードをそのままTrainiumで動かす「TorchNeuron」を発表——10月20日にオープンソースで公開

Amazonが10月19日、PyTorchで書いたAIのコードを、書き換えずに自社のAIチップ「Trainium」で動かせる「TorchNeuron」を発表しました。

使うチップを指定する設定を1つ変えるだけで動きます。PyTorchが新しいハードウェアを登録するために備えている標準の仕組みにつなぐので、開発者がふだん使う検証やデバッグの道具もそのまま使えるとしています。10月20日の「PyTorch Conference North America」で、オープンソースのライセンスで公開します。

Amazonによると、AIの研究者と開発者の85%がPyTorchでコードを書いています。これまで新しいチップに移るには、何か月もかけて仕上げたコードを書き直し、検証し直す必要がありました。Amazonは、特定のチップに結びついたコードをPyTorch本体から取り除く変更も、PyTorchのコミュニティと進めています。

TechCrunchによると、Amazonの独自チップを作るAnnapurna LabsでTechnology Software担当のバイスプレジデントを務めるコリン・ブレース氏は、Trainiumの価値は価格性能比と、学習と推論を1つの基盤でこなせる点にあると話しています。

Inceptionが拡散型のLLM「Mercury 3」を公開——毎秒1,068トークン・コンテキスト100万トークン

Inceptionが10月19日、文章全体を少しずつ仕上げていく拡散型のLLM「Mercury 3」を公開しました。

同社によると、NVIDIAのGPUで毎秒1,068トークンを出力し、扱えるコンテキストは前の「Mercury 2.5」の26万トークンから100万トークンに広がりました。総パラメーター数は初代の「Mercury 1」の40倍を超えます。

同社は、速さを重視した他社のモデルである「GPT-6 Luna」や「Claude Haiku 5.5」と同等以上の性能を、4〜8倍の速さで出すとしています。料金は100万トークンあたり入力0.20ドル・出力0.70ドルで、提供開始にあわせて半額にしています。

自社のAPIのほか、OpenRouter、Baseten、Vercelから使え、OpenAIのAPIと互換があります。音声の対話や学習支援、Webを操作するエージェントなど、待ち時間を嫌う用途で先行利用が始まっています。

そのほかの動き

モデル・API

政策

  • オープンソースのAIコーディングエージェントを手がけるOpenCodeは週末、オンラインのサービス「OpenCode Console」が侵入を受け、利用者の1.4%に影響したと明らかにしました。TechCrunchによると、利用者からは保存していたAPIキーでOpenAIやAnthropic、GoogleのAIの利用料を請求され、1件で数百ドル、多い人では1,000ドルを超えたとの報告が相次ぎました。OpenCodeは不正な請求の返金を進めています。Hackers hit AI coding tool OpenCode, running up charges on users' AI accounts(TechCrunch)
  • OpenAIの会議室に録音装置を仕掛けた罪で訴追された元エンジニアについて、連邦の治安判事が10月19日、公判まで勾留を続けると決めました。Ars Technicaによると、政府側は勾留を求める申し立てで、被告が逮捕の前に自分のiPhoneで「Saudi Gov Docs」という名前のフォルダを開いていたとFBIが確認したと主張しています。Accused OpenAI spy had folder called "Saudi Gov Docs," FBI says(Ars Technica)

ビジネス

  • AIチップのTenstorrentが10月19日、シリーズEで15億ドルを調達したと発表しました。調達後の評価額は62億ドルで、Trace CapitalとInnovation Xが主導しました。資金は、オープンウェイトのモデルを動かすGalaxyサーバーの大規模な展開などに充てます。Tenstorrent Announces a $1.5B Series E at a $6.2B valuation(Tenstorrent)
  • ドイツのメルツ首相と連邦経済エネルギー省、連邦研究技術宇宙省が10月19日、NVIDIAとフィジカルAIのモデル開発で協力する共同の意向表明に署名しました。NVIDIAはあわせて、ドイツのスタートアップ4社への新たな投資も発表しています。Germany Wants to Lead the World in Industrial AI: How NVIDIA Will Help(NVIDIA)

ソース: AIニュースインボックス(2026年10月20日収集・38件、一次4件・二次34件)から編集部が選定しました。