今日の見出し

  • 米国土安全保障省がDeepSeek製品を連邦の民間機関から排除する命令を公示——DeepSeekの技術で作った他社の製品も対象
  • デジタル庁が「ガバメントAI 源内」でAIエージェントの利用環境を提供開始——約18万人の政府職員が対象・利用ルールの「源内基準」も公表
  • Metaの「Muse」で共有した会話がDNSの記録から見つかる状態に——Metaは共有機能を停止
  • OpenAIが創薬の進行管理を担うOrchestra Bioを買収

今日の主役は、AIの使い方に引かれる線です。米国土安全保障省は、中国DeepSeekの製品に加えて、その技術で作られた他社の製品まで連邦の民間機関から取り除く命令を官報で公示しました。日本ではデジタル庁が、約18万人の政府職員にAIエージェントを作って動かせる環境を広げ、立場ごとの責務を定めた利用ルールを同じ日に公表しました。

今日の3本

米国土安全保障省がDeepSeek製品を連邦の民間機関から排除する命令を公示——DeepSeekの技術で作った他社の製品も対象

米国土安全保障省(DHS)が10月20日付の官報で、中国DeepSeekの製品を連邦政府の民間機関の調達とITシステムから外す命令を公示しました。

命令は調達とITシステムの両方に及びます。調達では、DeepSeekと関連会社が開発したIT製品とサービスを、民間機関の調達の対象から外します。

ITシステムでは、DeepSeekと関連会社の製品に加えて、DeepSeekの実装を使って開発された他社の製品とサービスも取り除きます。対象が他社の製品にまで及ぶため、DeepSeekのモデルを組み込んだ製品やサービスも、連邦の民間機関のITシステムから外れることになります。

根拠は2018年の連邦調達サプライチェーン安全法(FASCSA)です。官報に添付された命令書は国土安全保障長官のマークウェイン・マリン氏が署名したもので、発出日は7月24日と記されています。対象は連邦の民間行政機関で、国家安全保障システムなどは除きます。

命令書は理由として、DeepSeekのサーバーが中国にあり、中国の法制度のもとでは政府が民間企業の基盤に広く立ち入れる点を挙げました。DeepSeekがアカウントの作成時に個人を特定できる情報を集め、利用者を追跡しうる点や、iOSアプリに重大な脆弱性が複数あるとする外部の研究にも触れています。各機関は書面で例外を申請でき、CISA(サイバーセキュリティ・インフラストラクチャー安全保障庁)が審査します。

デジタル庁が「ガバメントAI 源内」でAIエージェントの利用環境を提供開始——約18万人の政府職員が対象・利用ルールの「源内基準」も公表

デジタル庁が10月20日、政府職員向けの生成AIの利用環境「ガバメントAI 源内」で、AIエージェントを作って動かせる2種類の環境の提供を始めました。

対象は約18万人の政府職員です。手軽にAIエージェントを作って動かせる「エージェントチャット」は同日から各府省庁へ順に導入し、高度なAIエージェントを組み立てられる「源内工房」は12月ごろまでの導入を目指します。

源内工房は、自然言語の指示を受けてコードの生成・修正、ファイル操作、コマンド実行、テストを自律的に進めるAIコーディングエージェントに相当する環境です。同庁の調査では、この水準の環境を専門職員に限らず一般の職員が日常業務で使える共通基盤として、約18万人の規模で入れる取り組みは世界初です。

あわせて、利用のルールを定めた「ガバメントAI 源内 ガバナンス・セキュリティ・セーフティに関する基準」(源内基準)を公表しました。「利用者」「管理者」「開発者」の立場ごとに責務と遵守事項を定め、AIセーフティ・インスティテュート(AISI)の協力を得てまとめています。

デジタル庁は、AIエージェントの導入を検討する自治体や民間企業にとっても、源内基準がモデルケースとして参考になるとしています。2つの環境は、だれでも利用・改変・再配布できる「源内OSS Ver.2.0」として、2027年2月ごろをめどに公開する予定です。

Metaの「Muse」で共有した会話がDNSの記録から見つかる状態に——Metaは共有機能を停止

MetaのAIエージェント「Muse」で利用者が共有した会話のページが、リンクを渡されていない第三者にも見つけられる状態だったと、セキュリティ企業のClarocが報告しました。

Museは会話を共有するとき、会話のタイトルとランダムなIDを組み合わせたホスト名でページを作ります。誰かがそのページを一度開くと、ホスト名がDNSの問い合わせとして記録され、市販のパッシブDNSのサービスで検索できるようになります。

Clarocは共有ページを配信するドメインで検索し、6,800件を超える共有のホスト名を得ました。開いたのはそのうち数百件で、多くは公開を意図したページでした。一部には、ある候補者がフロンティアAI企業との極秘の面談に備えたメモや、CEO向けにまとめられた社内の売上レビュー、小規模事業者の融資申込書、職場の1年分の休暇予定表が含まれていました。

Clarocは10月8日に、Metaのバグ報奨金制度を通じて報告しました。Ars Technicaの問い合わせを受けたMetaは10月20日、報告を確かめて共有リンクの見つかり方の変更を検討するあいだ、共有機能を止めたと答えています。

Clarocは企業に向けて、AIの「共有リンク」の作成をその会話の中身の社外への送信として扱うよう勧めています。管理する手段が無い場合は、プロキシやDNSフィルターでmuse.aiと配信用のドメインを遮断する方法を挙げました。

Museは9月に公開されました。TechCrunchによると、Sensor Towerの集計では公開以来のダウンロードは1,090万回で、うち1,020万回が米国です。

そのほかの動き

モデル・API

研究

  • Anthropicが10月20日、社内の研究用のClaudeがサソリの神経毒に結合するタンパク質を設計した研究を公表しました。Claudeは64時間で31万8,484の設計を生成し、外部の2社が実験で確かめた211の設計のうち17が同社の基準を満たしました。211の設計とそのデータはすべて公開しています。How Claude designed protein binders against scorpion neurotoxins(Anthropic)

プロダクト

  • OpenAIが10月20日、ChatGPTの会話を4桁のPINやFace ID、Touch IDでロックできる機能を加えました。ロックした会話は専用の欄に移り、通常の履歴や検索の結果からは外れます。ChatGPT now lets you lock your chats(TechCrunch)

政策

  • Metaが、10月30日に発効する新しい商用規約から「train」の語と「any content」の表現を削りました。新しい文言では、広告と事業者向けの製品の提供・開発・改善などのために、事業者のWebサイトから定期的に更新を取り込むとしています。Ars Technicaによると、法律の専門家からは「develop」の範囲がなお広いとの指摘が出ています。Meta drops the word "train" from its commercial TOS after AI backlash(Ars Technica)
  • 書籍の著者らがMetaを訴えている著作権訴訟で、連邦地裁のトーマス・ヒクソン治安判事が、海賊版の書籍を集めたサイトからデータを取得する判断に関わった人物を特定するよう、Metaに命じました。Ars Technicaによると、Metaは社員が個別にダウンロードしたもので、権限のある人物の決定は無かったと主張していました。Meta tries to scapegoat staff who downloaded torrents to spare execs(Ars Technica)

ビジネス

ソース: AIニュースインボックス(2026年10月21日収集・56件、一次10件・二次46件)から編集部が選定しました。