今日の見出し

  • Googleがリアルタイム音声モデル「Gemini 3.8 Live」と拡張思考版の提供を開始——97言語を会話の途中で自動切り替え
  • MetaがAI機能を軸にした新サブスク「Meta One」を全世界で開始——単体は月2.99ドルから事業者向けの最上位は月499ドルから
  • Mozillaの報告書がオープンとクローズドの性能差を4.4カ月と算定——上乗せ5倍が見合うのは8〜12時間のタスク
  • OpenAIのレヘイン氏が3社の安全性協議を公に認め独占禁止法の論点が表に出る
  • BloombergNEFが米データセンターの天然ガス消費を2035年に日量180億立方フィートと予測

今日の3本は、AIの値段を示す発表で並んでいます。能力の話が、そのまま料金表の話になりました。

値段の出方は3通りに分かれました。分あたりの課金と、月あたりの階層と、先行しているモデルに払う上乗せ分です。

今日の3本

Googleがリアルタイム音声モデル「Gemini 3.8 Live」と拡張思考版を提供開始

Googleが9月15日、リアルタイムの音声対話モデル「Gemini 3.8 Live」と、推論に振った「Gemini 3.8 Live Extended Thinking」の提供を始めました。

数字はスコアで示されています。拡張思考版はArtificial AnalysisのSpeech to Speech Quality Indexで82.6を取って首位に立ち、エージェント的なタスク完了ではτ-Voiceで68.6%、Sierraのτ-Voice-bankingで35.1%、Big Bench Audioで97.7%だとGoogleは書いています。

言語は会話の途中で切り替わります。97の対応言語を自動で検出する設計で、生成した音声にはSynthIDの電子透かしが入ります。

提供先は相手ごとに分かれました。開発者にはGemini APIとGoogle AI Studio、企業にはGemini Enterpriseのプライベートプレビュー、一般にはSearch Live、Google AIの契約者にはドキュメント・Gmail・Keepの各機能として届きます。

同じ日に開発者向けのガイドも出ています。Gemini 3.8 Liveの料金は、音声入力が1分あたり0.005ドル、音声出力が1分あたり0.018ドルと示されました。

音声認識の側も併せて出ています。専用モデル「Gemini 3.5 Transcribe」は85言語以上に対応し、単語誤り率はストリーミングで4.0%、非ストリーミングで2.6%です。

MetaがAI機能を軸にした新サブスク「Meta One」を全世界で開始

Metaが9月15日、Facebook・Instagram・WhatsApp・Meta AIをまたぐサブスクリプション「Meta One」を全世界で始めました。

単体のプランは3つです。Instagram Plusが月3.99ドル、Facebook Plusが月3.99ドル、WhatsApp Plusが月2.99ドルです。

個人向けのバンドルは2段階です。Coreが月7.99ドル、Premiumが月19.99ドルです。

事業者・クリエイター向けは4段階に分かれます。Essentialが月14.99ドルから、Advancedが月49.99ドルから、Expertが月149ドルから、Maxが月499ドルからです。

無料と有料の線引きはMetaが自ら書いています。アプリとMeta AIのコア体験は無料のままとしたうえで、有料側に置いたのはMuseモデルによる画像作成と動画生成、InstagramのRestyle、音声効果といったAI機能の利用量です。

積み上がった数も同社の発表に出ています。プランは順次展開するとしたうえで、「50を超える機能を投入し、これまでにサブスクリプションと試用が1500万件」と書いています。

課金の伸びは外部の数字でも出ています。調査会社AppfiguresのデータとしてTechCrunchが伝えたところでは、9月9日の週にInstagramの世界全体の日次収益は平均120万ドル、Facebookは52万8000ドルで、前週比はInstagramが475%増、Facebookが143%増でした。

クローズドの先端モデルに5倍払って買えるのは4.4カ月の先行

Mozillaが9月15日に公表した報告書「State of Open Source AI」は、中国企業のオープンウェイトモデルと米国企業のクローズドな先端モデルの性能差を4.4カ月と算定しました。

スコアの例はKimi K3です。MoonshotのこのオープンモデルはArtificial Analysis Intelligence Indexの総合スコアでAnthropicのFable 5に3ポイント差まで迫り、価格はFable 5の30%だと報告書は書いています。

別の測り方も並んでいます。研究非営利のMETRは、人間の専門家の所要時間で測ったタスクの長さを50%の成功率でこなせる範囲を「タイムホライズン」と定義しており、この物差しで最良のクローズドは最良のオープンの1.7倍の長さをこなします。MozillaのCTOラフィ・クリコリアン氏は、オープンが7時間の仕事をこなせるならクローズドは12時間の仕事をこなす、と説明しています。

ハーネスを揃えた比較もあります。ハーネスはモデルにツールやメモリを使わせるソフト層で、ラボが自社モデル向けに作ったものは成績を押し上げることがあります。評価会社のVals AIが中立のハーネスで揃えたTerminal-Bench 2.1では、中国Z.ai(智譜AI)のGLM 5.2がAnthropicのClaude Opus 4.7・4.8に1点差まで迫り、タスクあたりのコストは約5分の1でした。

上乗せが見合う範囲も示されました。クリコリアン氏は、クローズドが割増を取れる場所として専門的な仕事・高負荷の検索・長い文脈を挙げ、境目を8〜12時間のタスクに置いています。8時間未満の仕事はどちらのモデルでも足り、12時間を超える範囲はどのモデルもまだ手が届きません。

流通と収益は逆を向いています。OpenRouterの2026年8月のトークン流通量では上位10モデルのうち8モデルがオープンウェイトで、収益の側はLinux Foundationのフランク・ナグル氏とダニエル・ユエ氏の論文でオープンが4%、クローズドが96%でした。収益の数字は2025年5月から9月のデータで、クリコリアン氏はこの1年で状況が動いているはずだと述べています。

出どころについては、この記事はArs Technicaの独自報道です。同誌はMozillaの報告書を公表前に受け取り、クリコリアン氏へのメール取材を重ねたうえで書いています。

そのほかの動き

政策・規制

  • 減速論が、発言の応酬から実際の会合へ移りました。OpenAIの政策責任者クリス・レヘイン氏が9月15日、ワシントンで記者団に対し、OpenAI・Anthropic・Google DeepMindの3社がAIの安全性について数週間にわたり協議してきたと述べています。Bloombergが先に報じた内容を、当事者が公に認めた形です。協議の中身は、第三者評価機関を社内に置くこと、業界の標準化団体をつくること、開発のペースを合わせることとされています。ここで表に出たのが独占禁止法の論点で、競合同士の協調が競争の抑制にあたると判断されれば違反になりうるとアルトマン氏らが指摘しており、アモデイ氏は協調のための限定的な政府の適用除外を求めていました。レヘイン氏は、その適用除外は要らないと述べています。The Vergeは同じ動きを「安全協定か、カルテルか」という問いで扱い、批判の側が挙げる根拠として、SNS各社が自主規制を掲げて規制を先回りした前例(セーフティウォッシング)と、外部監査を受け入れたところで開発速度そのものは変わるのか、という疑いを並べました。なお、アモデイ氏の提言、トランプ大統領の名指しの批判、NVIDIAのジェンセン・ファンCEOが登壇中の電話で示した同調、マスク氏の賛同、中国外務省の反応は、本紙が9月13日と9月14日の紙面で扱っています。 OpenAI, Anthropic, Google have been in talks on AI safety for weeks(TechCrunch)Is Big Tech's AI slowdown a safety pact — or a cartel?(The Verge)What AI executives and politicians are saying about slowing down AI development(The Verge)
  • GoogleのThreat Intelligence Groupが、攻撃者の使い方の変化を報告しました。AIを作業の助けに使う段階から、複数のエージェントを組ませて攻撃の連鎖ごと自律実行させる段階へ移っており、クラウド環境に侵入してから6時間以内に数千件規模の第三者認証情報を集めた事例と、2万3800件超の秘密情報を管理していたダッシュボードが確認されています。 「AIを盗む」から「AIを動かす」へ、Googleが観測した攻撃者の変化(ITmedia)
  • AIエージェントが他のエージェントの不正を通報する窓口が2つ立ち上がりました。Redwood Researchのライアン・グリーンブラット氏が作った「AI Contact Hotline」と、curlで報告を送れる「agenthotline.ai」で、Google DeepMindの研究では100体のエージェントのうち約4分の1が他のエージェントの不正を通報したとされています。 AI agents now have a place to snitch(TechCrunch)
  • Google.orgが、公共サービスへのAI実装を支援する「Impact Challenge: AI for Government Innovation」の採択15団体を発表しました。2600件を超える応募から選ばれ、総額3000万ドルの資金と技術支援が付きます。選出先には名古屋大学減災連携研究センターが含まれ、開発したツールはオープンソースで共有する方針です。 Announcing the recipients of our AI for government innovation Impact Challenge(Google)

ビジネス

  • BloombergNEFが、米国のデータセンターの天然ガス消費を2035年に1日あたり約180億立方フィートと予測しました。ドイツと日本の消費量を合わせた規模を上回る水準で、9カ月前の予測からほぼ倍増しています。内訳は自家発電施設が1日29億〜34億立方フィート、送電網に繋がるデータセンターが1日約150億立方フィートです。 US data centers could consume more natural gas than Germany and Japan combined by 2035(TechCrunch)
  • ブランドのAI検索での露出最適化(AEO)を手がけるProfoundが、シリーズDで1億8000万ドルを調達し、評価額18億ドルのユニコーンになりました。9600万ドルのシリーズCから7カ月足らずで、同社は過去半年で売上が3倍、エンタープライズ顧客が1000社超だとしています。 AEO startup Profound hits unicorn valuation, raises $180M Series D(TechCrunch)
  • OpenAIが、スマートフォン向けカメラ技術のGlass Imagingを3億ドル超で買収したとウォール・ストリート・ジャーナルが報じました。同社は2019年設立で、Appleのポートレートモード開発チームを率いたジブ・アター氏とトム・ビショップ氏が創業し、撮影の時点でニューラルネットワークが画質を作る技術を持ちます。 OpenAI reportedly buys smartphone camera maker Glass Imaging for over $300 million(TechCrunch)
  • NVIDIAが、電力あたりのトークン処理量を軸に据えたデータセンター基盤「DSX」を発表しました。Lambdaによる検証では同じ電力予算で19ノードを動かし、クラスター全体のトークン処理速度が24%、電力あたり性能が23%伸びています。次世代のVera Rubin NVL72は同じ電力予算でGPU容量が最大40%、トークンスループットが最大35%増える見込みで、SemiAnalysisのAgentXベンチマークではGB300 NVL72比でメガワットあたり30倍のスループットを記録したとしています。 From megawatts to tokens: How NVIDIA maximizes AI factory production(NVIDIA)AI Infra Summit: Vera Rubin and DSX energy efficiencies(NVIDIA)
  • TechCrunchが、頓挫したAIプロジェクトとスタートアップを並べた「AI墓地」を更新しました。ChatGPTのスーパーアプリ再設計、ChatGPT Atlas、Sora、Microsoft Recall、Humane AI Pin、Rabbit R1などが並び、記事はS&P Global Market Intelligenceの調査として、AI施策の約42%が親会社によって放棄されているというデータも引いています。 The AI graveyard: A running list of projects and startups that didn't make it(TechCrunch)
  • 調査会社ITRが、国内の会議支援AI市場を2025年度に前年度比35.1%増と算定し、2026年度に100億円規模へ届くと予測しました。2030年度までの年平均成長率は29.2%で、需要は議事録作成から要約生成・タスク抽出・参加者管理へ広がっています。 なぜ、会議支援AI市場が35.1%も成長?(ITmedia エンタープライズ)

モデル・API

  • 元OpenAI研究者のディオゴ・アルメイダ氏が創業したTypeSafe AIが、構造化された判断に特化した新種のモデル「Jev」を発表しました。逐次のトークン生成をやめ、確率付きの出力を並列に取る設計で、応答時間は70〜500ミリ秒、同等の知性水準で既存のフロンティアモデルの40〜200倍の速さだと主張しています。自社サイトの「ワークフロー評価」では193.6倍速く444.6倍安いという数値も出ていますが、実世界より上振れしやすい値だと同社自身が注記しています。 Introducing System One Models and Jev(TypeSafe AI)
  • SalesforceとNVIDIAが、営業・マーケティング・カスタマーサポート向けの推論モデル「Koa」を発表しました。NVIDIAのオープンウェイトモデルNemotronを基盤に、実際の顧客データを使わず合成データだけで追加学習したモデルで、同じ作業をこなすのに必要なトークン数が主流モデルより少ない点を特徴に挙げています。 Salesforce and Nvidia's new reasoning model is everything the AI labs should fear(TechCrunch)

プロダクト

  • GoogleがWindows 10・11向けのネイティブアプリ版Geminiを公開しました。「Alt」+「Space」でどの画面からでもオーバーレイ表示でき、Googleドライブ・Gmailと連携します。パーソナルエージェントの「Gemini Spark」、動画生成・編集の「Gemini Omni」、プレゼン用画像生成の「Nano Banana」を備えます。 「ブラウザを開く手間」を解消 作業画面に直接呼び出せるWindows版「Gemini」公開(@IT)
  • Googleが、Gemini Notebook(NotebookLM)に学習向けの機能を追加しました。約100言語でのリアルタイム音声会話、短答・複数選択・穴埋めの新クイズ形式、80言語以上に対応した約60秒の動画概要が順次入ります。米国の大学生にはGoogle AI Proを、140以上の市場の学生にはGoogle AI Plusを1年間無料で提供します。 New study tools in Gemini Notebook(Google)
  • Agility Roboticsが、人の接近を検知して停止したりしゃがんだりするヒューマノイド「Digit 5」を発表しました。安全柵なしで人と同じ空間に置ける設計で、検知にはNVIDIAのThor IGXと安全ソフト基盤Nvidia Halos for Roboticsを使います。先行提供は2027年前半、一般提供は同年内の予定です。 Agility's new humanoid robot will stop, squat to avoid harming human coworkers(Ars Technica)
  • ファナックが、部品の設計図面を読み取ってアーク溶接の条件とロボット動作を自動生成する「AI溶接エージェント」を発表しました。協働ロボットCRXのティーチングペンダント内蔵カメラで図面を読み取り、Google Cloudの「Gemini Enterprise」を使います。出荷は12月末からで、読み取った図面データを他の利用者の学習に回さない設計です。 ファナックがAI溶接エージェント開発、溶接条件やロボット動作を自動生成(MONOist)

研究

  • Googleが、職業別・地域別のAI利用動向をまとめた「AI & Economy ATLAS」のインタラクティブ版を更新しました。インドの芸術・デザイン・メディア職はAI関連業務が19%で世界平均の1.6倍、米国のコンピュータ・数学職は30%で2倍です。Google・Google DeepMind・MIT FutureTechが米英の科学者600人超に行った調査では、約半数が毎日AIを使い、週7時間近くを節約していると答えています。課題として挙がったのは、AI出力の検証に時間がかかる点と、未検証の仮説が増える点です。 New insights from the AI & Economy ATLAS(Google)
  • セキュリティ企業のStrixが、推論基盤Basetenの本番GitHubリポジトリへの管理者権限を約25分で取得したと報告しました。非公開のはずのHarborコンテナレジストリが公開設定になっており、取得したイメージのビルド履歴に2023年3月のGitHubトークンが平文で残っていた、という経路です。Basetenは報告の翌日午後までにレジストリの非公開化とトークンの失効を終えています。 How we got admin access to Baseten's production GitHub in 25 minutes(Strix)

ソース: AIニュースインボックス(2026年9月16日収集・56件、一次14件・二次42件)から編集部が選定しました。