今日の見出し

  • Metaが最上位モデル「Muse Wonder」を公開——法務・金融・医療の実務と長い記憶に照準
  • MicrosoftがAIチップ「Maia 300」を発表——2027年から自社サービスの推論の主力に
  • NVIDIAがVera Rubinのラック設計をOCPに提供——電力網の乱れに備える共通仕様も公表

週明けの主役は、MetaとMicrosoftの発表です。Metaは同社でもっとも高性能なモデルを、自社のデータセンターで学習させて公開しました。Microsoftは自社設計のAIチップを、2027年から自社サービスの推論の主力に据えます。

NVIDIAは反対に、次世代基盤のラック設計を業界団体に提供しました。Google・Meta・Microsoftとは、電力網に乱れが起きたときのAI設備の振る舞いを定める共通仕様も公表しています。

今日の3本

Metaが最上位モデル「Muse Wonder」を公開——法務・金融・医療の実務と長い記憶に照準

Metaが、同社でもっとも高性能なAIモデル「Muse Wonder」と上位版「Muse Wonder Full」を米国時間10月12日に公開しました。

Metaは、個人の用事と仕事の両方でエージェントとして働く課題で、最高水準の性能を出したとしています。保険金の請求、賃貸借契約の読み解き、家計の整理といった場面を挙げ、法務・金融・医療の専門領域とコーディングを得意分野に据えました。法務では、米Harveyの評価「Legal Agent Benchmark(LAB)」で、原資料を読み込んで法務の成果物を作る力を測っています。

新しい機能として、会話をまたいで大事なことを覚えておき、作業に要る細部を呼び戻す「Active Memory」を打ち出しました。難しい作業でも別の手を試して目標まで進め、重要な操作の前には確認を取る「Active Focus」も備えます。

Muse WonderはMeta Model APIとコーディング向けの「Muse Code」で同日から使えます。Muse Wonder FullはMuse Codeの契約者向けです。TechCrunchによると、APIの料金は入力100万トークンあたり4ドル、出力100万トークンあたり20ドルです。

2モデルは、Metaのギガワット級データセンター「Prometheus」で学習しました。TechCrunchは、Scale AI創業者のアレクサンドル・ワン氏がMetaのAI部門を再編してから初めてのフロンティアモデルだと伝えています。追加の安全性評価をまとめた報告書は、近く公表するとしています。

MicrosoftがAIチップ「Maia 300」を発表——2027年から自社サービスの推論の主力に

Microsoftが、自社設計のAIチップの第3世代「Maia 300」を米国時間10月12日に発表しました。

2027年から本番環境に導入し、Maiaシリーズの配備をギガワット単位の規模に広げます。Microsoftは、Maiaを自社の製品とサービスの推論を担う主力のシステムにするとしています。

性能について同社は、1メガワットあたりに処理できるトークン数が、主要なGPUベースのシステムより40%多くなると見込んでいます。96基を束ねた構成では、ラック単位のトークン処理量が前世代のMaia 200の最大7倍になるとしています。

設計は推論を優先し、長い文脈を扱う処理や、何段階も続くエージェントの作業に合わせました。演算部分のチップレットはTSMCのN2Pプロセスで製造し、HBM4メモリを8基積み、消費電力950ワットの枠で毎秒18.0テラバイトの帯域を確保しています。

前世代のMaia 200はすでにMicrosoft Copilotなどの本番の処理を担っており、OpenAIのモデルや自社のMAIモデルを動かしています。The Vergeは、Maia 300によってMicrosoftがNVIDIAのGPUへの依存を減らすと伝えました。

NVIDIAがVera Rubinのラック設計をOCPに提供——電力網の乱れに備える共通仕様も公表

NVIDIAが、次世代基盤「Vera Rubin」のラックと計算トレイの主要な設計を、データセンター機器の標準化団体Open Compute Project(OCP)に提供しました。

米サンノゼで開かれたOCP Global Summitでの発表です。更新した仕様「MGX 1.2」は、ラック単位の液冷や液冷式の5,000アンペアのバスバーを盛り込み、1ラック最大250キロワットの構成に対応します。

エージェント向けの「Vera CPU」ラックの設計仕様も加えました。AIエージェントが外部のツールを呼び出したり、隔離した環境でコードを実行したりする処理を受け持つラックです。

電力網については、Google・Meta・Microsoft・NVIDIAの4社が「OCP Grid Resilience Specification」を公表しました。電力網に乱れが起きても大規模なAI設備が接続を保ち、自動で応答し、2秒未満でほぼ全負荷まで戻る振る舞いを定めています。

NVIDIAはAMD・Google・Metaとともに、AIデータセンターの電源・冷却・配置の設計図を統一する「Open Data Center Specification v0.7」も公表しました。NVIDIAは、仕様を公開したことで、機器メーカーや事業者が顧客ごとの独自仕様を待たずに設計と製造を始められるとしています。

そのほかの動き

モデル・API

  • 中国のZ.aiが、法務に特化したモデル「GLM-Legal」を10月12日に公表し、APIとデスクトップエージェント「AutoClaw」でベータ版の利用申し込みを受け付け始めました。基盤は同社のGLM-5.3-Flashで、24の業務分野の実務を測るHarveyの「LAB」では全項目合格率19.2%と、基盤モデルから12.5ポイント上げたとしています。GLM-Legal: Advancing Agentic Legal Intelligence(Z.ai)

政策

  • Microsoftのブラッド・スミス社長がBBCのポッドキャストで、AIの安全規則づくりを主導するのに最も適しているのは米国でもEUでもなく英国だと述べました。AIエージェントによるシステム侵害の報告義務や、外部の評価機関による発売前の承認を支持する考えも示しています。Microsoft president says UK is best placed to drive AI regulation(TechCrunch)
  • 10月11日号で取り上げたウクライナのドローン攻撃の続報です。Ars Technicaによると、ロシアのYandexの大型データセンター3か所が10月8日から11日にかけて相次いで止まり、YandexGPTの学習に使ってきたスーパーコンピューター3基は、いずれも止まった施設にあります。Russia was not ready for the data center war it started with Ukraine(Ars Technica)

ビジネス

ソース: AIニュースインボックス(2026年10月13日収集・26件、一次4件・二次22件)から編集部が選定しました。