今日の見出し

  • OpenAIのモデルが数学・計算機科学・物理で3つの証明——指数時間仮説は偽・Anthropicも反証を公開
  • Google DeepMindが世界モデル「Genie 4」を発表——映像と同時に音声や会話も生成
  • OpenAIとOracleが提携を拡大——OracleのアプリとデータをChatGPTの中へ

今日の主役は、AIが出した証明です。OpenAIが社内のモデルによる3分野の証明を公表し、そのうち計算量理論の「指数時間仮説」を偽とする結果については、Anthropicも同じ結論の証明を独自に公開しました。

Google DeepMindは、操作に応じて仮想の世界をリアルタイムに生成する世界モデル「Genie 4」を発表しました。

今日の3本

OpenAIのモデルが数学・計算機科学・物理で3つの証明——指数時間仮説は偽・Anthropicも反証を公開

OpenAIが10月26日、社内のモデルが数学・計算機科学・物理学の3分野で新しい証明を出したと公表しました。

計算機科学の成果は、論理式の充足可能性問題を解くには変数の数に対して指数関数的な時間がかかるとする「指数時間仮説(ETH)」を偽とするものです。ETHは広く正しいと考えられ、グラフ理論・計算生物学・データベースなど数百本の論文で、計算の難しさを示す前提に使われてきました。モデルは10月16日に反証を見つけ、翌17日に定理証明支援系のLeanで形式化しています。

検証と解説は、ETHを提唱したカリフォルニア大学サンディエゴ校のラッセル・インパリアッツォ氏とラマモハン・パトゥリ氏、マサチューセッツ工科大学(MIT)のライアン・ウィリアムズ氏が率いるグループが担います。グループの求めに応じて、OpenAIは自然言語の証明とLeanの証明をGitHubで公開し、影響を話し合う会議の費用を出します。参加は任意・無報酬で、OpenAIは発見の学術的な功績を求めないとしています。

数学では、1991年にSoggeが提起した波の集中に関する「局所平滑化予想」をすべての次元で証明し、これにより掛谷予想とSteinの制限予想もすべての次元で解決したとしています。こちらはAIの出力とLeanの証明をそのまま公開しました。

物理では、量子色力学(QCD)を含む4次元の相互作用する場の量子論が、数学的に厳密に存在することを示したとしています。そのなかには、クレイ数学研究所のミレニアム懸賞問題「量子ヤン–ミルズ理論」の一部にあたる、純粋ヤン–ミルズ理論の存在証明も含まれます。この成果は2004年のノーベル物理学賞を受けたデビッド・グロス氏らのグループが検証し、AIが出した資料の公開は見送って、グループ自身が論文にまとめます。

Anthropicも、社内の研究用Claudeモデルが3-SAT(3つの変数からなる節を並べた論理式の充足可能性問題)を2^o(n)時間で解く決定的アルゴリズムを見つけ、ETHを反証したとする論文とLeanの形式化をGitHubで公開しました。同社は、この結果を変数の数を大きくしたときの漸近的な計算量に関するものと説明しています。TechCrunchの取材にウィリアムズ氏は、暗号システムへの影響をOpenAIに確かめたところ、破られるものはないとかなりの確度で判断していたと話しています。

Google DeepMindが世界モデル「Genie 4」を発表——映像と同時に音声や会話も生成

Google DeepMindが10月27日、操作に応じて仮想の世界をリアルタイムに生成する世界モデル「Genie 4」を発表しました。

Genie 4は映像と同時に、音楽や環境音、登場人物の会話の音声も生成します。キーボードで移動やカメラを操作しながら、天気を変える、人や物を登場させるといった指示を自然言語で出すと、その場で世界に反映されます。

見た目と振る舞いを現実に近づける役はGeminiのモデルが担います。生成中はGemini 3.8 Flashが場面を見続け、目標を手順に分けて、各手順が達成できたかを確かめます。ロボット研究では、Gemini 4 Argonと組み合わせて、Apptronikの人型ロボットApolloがチェッカーを指す場面をシミュレーションした例を示しました。

提供はまず信頼できるテスター向けの研究プレビューで、続いてGoogle AI Ultraの契約者向けのProject Genieと、Gemini API・Google AI Studioの早期アクセスパートナーに広げます。生成した映像と音声には、すべて電子透かしのSynthIDが入ります。

OpenAIとOracleが提携を拡大——OracleのアプリとデータをChatGPTの中へ

OpenAIが10月27日、Oracleとの提携を広げ、OracleのアプリケーションとデータをChatGPTで使えるようにすると発表しました。

Oracleは、ChatGPTの中でOracleの業務アプリとつながる「Oracle AI Workspace」を開発しています。財務・調達・計画のアプリの情報をまとめて引き出し、組織の権限と承認の範囲で、承認済みの業務手順を進められるようにする構想です。

OracleはOpenAIのモデルを使った新しい製品も発表しました。そのひとつ「Oracle AI Security Mesh」は、OpenAIのサイバーセキュリティ向けモデルでアプリとインフラの脆弱性を見つけて直すもので、検査の環境はOracleが管理します。

米国のOracleの顧客は、Oracle Marketplaceを通じて、既存の調達手続きと対象のOracle Universal Creditsで、OpenAIのAPI・Codex・ChatGPT Workを購入できます。

OpenAIによると、Oracle社内ではChatGPTの利用者が13万人、Codexの利用者が9万5,000人を超えています。Oracleの採用チームは、以前は2〜4日かかった市場調査の準備を15〜20分で済ませています。

そのほかの動き

モデル

  • Liquid AIが10月27日、テキスト・画像・音声などを扱う約20億パラメータ級の6つのモデルからなる「LFM3」を、オープンウェイトで公開しました。すべて共通の土台モデル「LFM3-1.7B-Base」から派生しており、文脈の長さは256Kトークンで、端末の上で動かす用途を想定しています。Introducing LFM3: Every Modality for Specialized Intelligence(Liquid AI)

プロダクト

  • Appleが、Pages・Keynote・NumbersにAIアシスタントを追加し、Apple Intelligenceに対応した機器でベータ提供を始めました。AppleとOpenAIのモデルを土台に、文書の文脈を読んで文章の下書きや表・グラフの作成を手伝い、macOS 27以降ではMCP(Model Context Protocol)で外部のAIエージェントもつなげられます。Apple is adding an AI chatbot to Pages, Keynote, and Numbers(The Verge)
  • Operaが、AIモデルをクラウドに頼らずブラウザの中で動かすための新しいウェブ標準「WebAI」を発表しました。GoogleのGemmaなどのオープンウェイトのモデルに対応し、まずOpera Oneの早期プレビューとして、利用者が選んで有効にする形で提供します。Opera introduces a new web standard to let users deploy AI locally in their browser(TechCrunch)
  • Mozillaが、FirefoxのAIブラウジング機能「Smart Window」に、開いているタブの情報からWebフォームを埋める機能と、指定したページの更新を見張る機能を加えました。まず米国とカナダのデスクトップ版のベータで提供します。Firefox's Smart Window adds AI form filling and webpage monitoring(The Verge)

研究

ビジネス

政策

  • 米国の中間選挙で、データセンターの建設規制や一時停止をめぐる候補者の立場が、テキサス州やペンシルベニア州などの接戦で争点になっているとThe Vergeが伝えています。Data center backlash is uniting America(The Verge)

ソース: AIニュースインボックス(2026年10月28日収集・55件、一次8件・二次47件)から編集部が選定しました。