用語集
GLOSSARY
AIニュースとコラムに出てくる用語を 平易にまとめています 本文中の点線の語はタップで意味が開きます
基礎
- LLM大規模言語モデル
- 膨大な文章を学習し、次に来る言葉を確率的に予測することで文章を生成するAIモデルです。ChatGPTやClaude、Geminiなどの土台になっています。
- トークン
- AIが文章を処理する際の最小単位です。単語や文字のかたまりに分割され、AIが一度に扱える量(コンテキスト)には上限があります。
- コンテキストコンテキストウィンドウ
- AIが一度に読み込んで考慮できる情報の範囲です。ここに無関係な情報を詰め込みすぎると、かえって精度が落ちることがあります。
- プロンプト
- AIに与える指示や質問の文章です。書き方しだいで出力の質が大きく変わります。
- 推論
- 学習済みのAIが、入力に対して実際に答えを生成する処理のことです。学習(トレーニング)と対になる概念です。
- マルチモーダル
- 文章だけでなく、画像・音声・動画など複数の種類の情報をまとめて扱えるAIの性質です。
- オープンウェイト
- モデルの重み(学習結果のパラメータ)が公開され、誰でもダウンロードして利用・改変できるAIモデルのことです。
- オープンソース
- 利用・改変・再配布を誰にでも認める形で公開されていることです。AIではOSI(Open Source Initiative)の定義(OSAID 1.0)が、重みに加えて学習データの情報と学習コードの公開まで求めます。重みが配布されていても商用利用などに条件が付くことがあり、オープンウェイトであってもオープンソースとは限りません。
- GPTGenerative Pre-trained Transformer
- OpenAIが開発した大規模言語モデルの系列、またその基盤となる方式の呼び名です。事前学習した変換器(Transformer)で文章を生成します。
- AGI汎用人工知能
- 特定の作業に限らず、人間並みに幅広い知的作業をこなせるとされる仮説上のAIです。実現時期や定義そのものに議論があります。
- モダリティモダリティ
- AIが扱う情報の種類や入出力の様式のことです。テキスト・画像・音声・動画などが代表例で、複数を同時に扱えることをマルチモーダルと呼びます。
- フロンティアモデルフロンティアモデル
- その時点で最先端の能力を持つ、最大規模クラスのAIモデルを指します。GPTやClaude、Geminiの最新世代などが代表例です。
- 生成AI生成AI
- 文章や画像、音声、コードなどを新たに生成できるAIの総称です。大量のデータで学習し、与えられた指示(プロンプト)に応じて人間が作るような成果物を出力します。
- パラメータ
- 学習によって定まるモデル内部の数値で、モデルの規模を示す指標として使われます。1兆パラメータのように総数で語られる一方、混合エキスパート型では一度の推論で実際に働く数(アクティブパラメータ)が別に示されます。
- LTMLarge Tabular Model / 大規模表形式モデル
- 表形式の構造化データを扱う基盤モデルです。言葉を扱うLLMに対し、取引履歴や顧客データのような行と列のデータから予測を行う点が異なります。
接続
- MCPModel Context Protocol
- AIを外部のデータやツールにつなぐための共通規格です。2024年にAnthropicが提唱し、各社が採用して事実上の標準になりました。AIのUSB-Cとも呼ばれます。
- API
- ソフト同士が機能やデータをやり取りするための窓口です。画面を介さずプログラムから直接サービスを呼び出せます。
- CLIコマンドラインインターフェース
- 文字のコマンドを打ってソフトを操作する方式です。画面のボタン操作よりも自動化や反復処理に向いています。
- コンテクスト設計コンテクストエンジニアリング
- AIに何を読み込ませ何を読み込ませないかを設計する技能です。つなぐ先が増えた時代には全部を渡すのではなく必要なものだけを整えて差し出す判断が精度を左右します。
- SDKSoftware Development Kit
- あるサービスや機能を組み込んだソフトを開発するための道具一式です。AIをアプリやエージェントに組み込む際の足場になります。
リスク
- コンテクスト汚染コンテクスト混乱
- 無関係で重複した情報がAIのコンテキストに溜まり推論を曇らせる現象です。似たツールが大量に並ぶと呼ぶべきものを取り違えたり存在しないツール名を作り出したりして精度が落ちます。
- ハルシネーション
- AIが事実に反する内容を、もっともらしい形で生成してしまう現象です。出力の事実確認が欠かせません。
- シャドーAIシャドーAI
- 企業の正式な承認や管理を経ずに、従業員が業務で使う生成AIツールやサービスの総称です。情報システム部門が把握できない『影』の利用を指し、利便性ゆえに広がりやすい一方、情報漏えいや統制上のリスクを伴います。
- AIガバナンスAIガバナンス
- AIの利用に伴うリスクを管理し、安全で適切な活用を組織として担保するための仕組みやルールづくりを指します。法令順守・情報管理・説明責任などを設計に落とし込む取り組みです。
- ガードレールガードレール
- AIの出力や行動に許容範囲を定め、危険な逸脱や暴走を止める仕組みです。エージェントを安全に動かす「安全枠」で、役割や手順を与えるハーネスと対になって実務の要になります。
- 再帰的自己改善RSI
- AIが自分より優れた後継のAIを自律的に設計・訓練し、それを繰り返して急速に能力を高めていく想定上の連鎖です。進歩が制御の準備より速く進めば人間が主導権を失いかねないとして、AI安全の主要な懸念の一つに挙げられます。
- サンドボックス
- 外部と切り離した実行環境のことで、AIに任せたコードや操作の影響をその中に閉じ込めるために使われます。エージェントを安全に動かす前提になる一方、ネットワークの隙などから外に出られた事例も報告されています。
- プロンプトインジェクション
- AIが読み込む文章の中に不正な指示を紛れ込ませ、本来の命令を乗っ取る攻撃です。ウェブページや文書など外部の資料を経由して仕込まれる場合を、間接プロンプトインジェクションと呼びます。
- ジェイルブレイク脱獄
- AIに組み込まれた安全制御を、言い回しの工夫などで回避させる手口です。本来は断るはずの出力を引き出せてしまうため、モデルの公開可否を左右する論点になっています。
- DMCAデジタルミレニアム著作権法
- 1998年に成立した米国の著作権法改正法です。権利者の通知に応じて削除すればプラットフォームが責任を免れる仕組みと、コピー防止などの技術的保護手段を回避する行為の禁止を定めており、AIによる収集をめぐる訴訟では後者が争われています。日本の著作権法に同名の制度はありません。
- DMAデジタル市場法
- EUのデジタル市場法(2022年成立)です。指定された大規模プラットフォーム(ゲートキーパー)に対し、自社優遇の禁止や競合への相互運用性の確保などの義務を課すもので、欧州委員会が決定を通じて個別に履行を求めます。
- CSAM児童性的虐待資料
- 児童を性的に描いた画像・動画を指す国際的な呼称です。米国では事業者が自社サービス上で検知した場合に全米行方不明・被搾取児童センター(NCMEC)へ通報する義務があり、生成AIで作られた画像をこの枠組みでどう扱うかが訴訟の争点になっています。
学習
- ファインチューニング
- 汎用的に学習済みのモデルを、特定の用途やデータに合わせて追加学習し、調整することです。
- 蒸留
- 大きなモデルの振る舞いを小さなモデルに学習させ、性能を保ちつつ軽量化する手法です。
- データセット
- モデルの学習や評価に使うためにまとめられたデータの集まりです。何を含むかが性能を左右すると同時に、収録された著作物の扱いが権利の争点にもなっています。
- スケーリング則スケーリング
- 計算量・データ量・モデル規模を増やすほど性能が伸びるという経験則です。近年は電力や建設のリードタイムが制約として意識され、スケーリングの天井が語られるようになっています。
応用
- RAG検索拡張生成
- AIが回答する前に外部の文書を検索し、その内容を踏まえて答えを生成する仕組みです。最新情報や社内データを反映しやすくなります。
- AIエージェント
- 目的を受け取り、必要なツールやデータを自分で呼び出しながら、複数の手順を自律的に進めるAIのことです。
- ハーネスハーネス
- AIモデル単体ではできない『道具を使う・手順を踏む・繰り返す』を周囲で支える仕組みです。モデルにファイル操作やコマンド実行をつなぎ、計画と実行のループを回す足場を指します。
- グラウンディンググラウンディング
- AIの回答を、社内文書や検索結果などの信頼できる根拠に結びつけ、事実に基づかせることです。思いつきの作り話(ハルシネーション)を抑える狙いがあります。
- フィジカルAI
- ロボットや車両など、現実の物体を動かす側で働くAIを指す呼び名です。画面の中で完結する生成AIと対比され、視覚・言語・動作をひとつのモデルで扱う方向で開発が進んでいます。
- コーディングエージェント
- コードを書くだけでなく、実行・テスト・修正までを自分で回すAIエージェントです。人が一行ずつ補完を受け取る使い方と違い、課題を渡すと一連の作業をまとめて進めます。
- OCR光学文字認識
- 画像やPDFに写った文字を読み取り、扱えるテキストに変換する技術です。近年はAIモデルが表や数式、署名といった領域の種別まで判別して構造ごと取り出す方向に進んでいます。
- チャットボット
- 対話の形で応答するソフトの総称です。生成AI以降はLLMを土台にしたものが主流になり、ChatGPTのように会話画面から直接使う入口を指すことが多くなっています。
基盤
- NPU
- AIの計算処理に特化したプロセッサです。スマホやPCに搭載され、端末内でAIを動かす(オンデバイスAI)役割を担います。
- GPU
- 大量の並列計算を得意とするプロセッサです。AIの学習と推論を支える中核の計算資源になっています。
- CUDACUDA
- NVIDIAのGPUで汎用計算を行うためのソフトウェア基盤(プログラミング環境)です。AIの開発がこの環境とライブラリ群の上に積み上がっているため、開発者を囲い込む「堀」として働きます。
- DRAMDynamic Random Access Memory
- コンピューターの主記憶に使われる揮発性メモリです。AI向けの高速メモリ(HBM)もDRAMを積層して作られ、市場は数社の寡占に収束しています。
- HBMHigh Bandwidth Memory
- 演算チップのすぐ脇に積み上げて配置する高速・広帯域のメモリです。AIの計算は大量のデータを高速にやり取りするため、このメモリの供給がAIチップの性能と数量を左右します。
- CoWoSChip on Wafer on Substrate
- 演算チップと高速メモリを一つの土台に高密度で載せ、配線でつなぐ先端パッケージング技術です。AIチップを実用的な製品へ組み上げる核の工程で、近年はここが供給のボトルネックになっています。
- ファウンドリファウンドリ
- 他社の設計を受託し、製造だけを請け負う半導体工場の事業形態です。設計に専念する企業(ファブレス)と製造に専念する企業(ファウンドリ)への分業が、この産業の前提になっています。
- EUV露光Extreme Ultraviolet
- 極端紫外線を使って最先端チップの微細な回路を描く露光技術です。商業的に装置を供給できるメーカーは事実上1社に限られ、半導体製造の単一供給点になっています。
- プロセスノードプロセスノード
- 半導体の回路の細かさを示す世代のことで、3ナノメートルのように数字が小さいほど微細で高性能になります。微細化するほど製造の難度と費用が跳ね上がり、最先端世代を扱える工場は限られます。
- データセンター
- サーバーや通信機器をまとめて設置・運用する施設です。AIの学習と推論は大量のGPUを長時間動かすため、電力と冷却の確保がそのまま建設・立地の制約になります。
- ギガワット
- 電力の大きさを表す単位で、1ギガワットは100万キロワットにあたります。AIのデータセンターは規模を電力で語るのが通例になっており、大型の発電所1基分に相当する量が計画の単位として使われます。
評価
- ベンチマーク
- AIモデルの性能を共通の課題セットで数値化し、比較するための指標です。GPQAやLiveCodeBenchなどが知られます。
- SWE-bench
- 実在のソフトウェアの不具合をAIがどれだけ自力で修正できるかを測るベンチマークです。AIコーディング能力の指標として広く参照されます。
- GPQAGraduate-Level Google-Proof Q&A
- 大学院レベルの科学知識を問う難問ベンチマークです。検索だけでは答えにくいよう設計され、AIの専門的な推論力を測ります。
- AIMEAmerican Invitational Mathematics Examination
- 米国の難関数学コンテストを題材にしたベンチマークです。多段の論理を要する問題で、AIの数学的な推論力を測ります。