今日の見出し
- サムスン電子が韓国の全従業員とDX部門のグローバル社員にChatGPT EnterpriseとCodexを展開、2023年の利用禁止から全面転換
- Ars Technicaが、Anthropicの安全強調がFableとMythosの輸出規制を招いた可能性を論じる分析を公表
- オープンソースのReflection AIが、SpaceXと月額1.5億ドル・総額63億ドルの計算資源契約を締結
企業の現場でAIをどこまで全面的に使うか、その判断が大きく動いた一日です。3年前に機密漏えいを理由にAIを全面禁止した会社が、今度は全社へ展開する側に回りました。
一方で、フロンティアモデルをめぐる綱引きも続いています。クローズドモデルへの規制が強まるなか、オープンウェイト陣営には大規模な計算資源が流れ込み、規制当局とAI企業の関係そのものを問い直す論評も出てきました。導入の最前線と、規制の最前線が同時に動いています。
今日の3本
サムスン電子、全社にChatGPT EnterpriseとCodexを展開
サムスン電子は、韓国の全従業員とGalaxy・家電を担うDX部門のグローバル社員に、ChatGPT EnterpriseとCodexを展開しました。
対象は技術職と非技術職の双方に及び、開発からマーケティングまで幅広い業務での活用を想定しています。Codexは開発者のコード生成だけでなく、非技術職の社内ツール作成にも開かれます。
この展開が注目されるのは、2023年の方針からの全面転換だからです。当時サムスンは、社内からChatGPTへ機密のソースコードが流出したことを受けて、生成AIの利用を全面禁止していました。それから3年を経て、禁止から全社解禁へと舵を切ったことになります。
OpenAIによれば、これは同社にとって史上最大規模の企業導入にあたります。二次報道では、韓国でのCodexの週次アクティブ利用が2月以降に大きく伸びたとも伝えられており、企業のAI導入が一段進む先行事例として位置づけられます。
Anthropicは安全強調が過ぎて自ら輸出規制を招いたのか
Ars Technicaが、Anthropicの安全を強調する広報姿勢が自社モデルへの輸出規制を招いた可能性を論じる分析記事を公表しました。
まず事実関係を整理します。米政府は6月12日付の指令で、AnthropicのFable 5とMythos 5について、米国の内外を問わず外国籍の利用者によるアクセスを全面停止しました。これに先立って、研究者がMythos 5のサイバー防御を迂回するジェイルブレイクを発見したと報告されていました。
ここからがArs Technicaの論評です。同記事は、Anthropicがリスク関連の語を競合より高い頻度で用い、自社モデルを「危険」と位置づけてきた広報が、規制当局の脅威認識を形づくった可能性を指摘します。これはあくまで筆者の見立てであり、因果が確定したわけではありません。
Anthropic自身は、この規制を過剰だとして反論しています。同社は、指摘された種類のジェイルブレイクは他の公開モデルにも当てはまり得るとし、限定的な手法の発見をもって広く使われている商用モデルへのアクセスを止めるべきではないとの立場を示しています。
オープンソースのReflection AI、SpaceXと総額63億ドルの計算資源契約
オープンソースAIを掲げるReflection AIが、SpaceXと月額1.5億ドル・総額63億ドルの計算資源契約を結びました。
Reflection AIは、元Google DeepMindの研究者が創業したラボです。契約では、テネシー州メンフィス近郊のデータセンター「Colossus 2」のNvidia GB300を利用するとされ、契約は2029年まで続く規模になります。
SpaceX側にも狙いがあります。Colossus 2はもともとxAI向けに整備された設備で、その余剰キャパシティを外部に貸し出して収益化する形です。AnthropicやGoogleとも同様の取引があると報じられています。
この契約が象徴的なのは、クローズドモデルへの米政府規制が強まるなかで起きた点です。閉じたモデルへの依存リスクが意識されるほど、オープンウェイト戦略の価値が相対的に高まります。今回の大型契約は、オープン陣営が大規模に競争できることを示す実証として受け止められています。
そのほかの動き
モデル・API
- Googleが、Geminiモデルとエージェントへのアクセスを一本化する「Interactions API」を正式提供しました。サーバー側の状態管理やバックグラウンド実行、マルチモーダル生成を単一エンドポイントで提供し、Google AI Studioの既定APIに昇格しています。 Interactions API: our primary interface for Gemini models and agents(Google Blog)
- Preferred Networksが、国産フルスクラッチの大規模言語モデル「PLaMo 3.0 Prime」の提供を始めました。推論・非推論の2系統を用意し、コンテキスト長を最大25万6000トークンへ拡張しています。 国産フルスクラッチAI「PLaMo 3.0 Prime」提供開始(ITmedia AI+)
- Sakana AIが、複数モデルをタスクに応じて自動で切り替えるマルチエージェント基盤「Sakana Fugu」を提供開始しました。上位の「Fugu Ultra」はFable 5やMythos Previewと同水準の性能を実現したとしています。 Fable 5に匹敵、複数AIを束ねて実現したSakana AIの「Fugu Ultra」(PC Watch)
- Intel・AMDらが設立した業界団体が、AI向けx86拡張命令「ACE」の106ページに及ぶ詳細仕様を公開しました。行列乗算や低精度データ形式に特化した命令で、4月の概念ホワイトペーパーから実装段階へ進みました。 AI向けx86拡張命令「ACE」、106ページの詳細仕様が公開(PC Watch)
プロダクト・機能
- Google DeepMindが、映画スタジオA24に7500万ドルを出資し、映像制作者向けAIツールの共同開発に乗り出しました。NetflixやAmazonの動きと並ぶハリウッドへのAI浸透の一手です。 Google DeepMind bets $75M on AI's future in Hollywood with A24 deal(TechCrunch)
規制・政策
- OpenAIが、ソフトウェアの脆弱性を発見から検証・修正まで担うサイバー防御基盤「Daybreak」を発表しました。あわせて、cURLやGo・Pythonなど30以上のオープンソースのメンテナを支援する「Patch the Planet」も始動しています。 Daybreak: Tools for securing every organization in the world(OpenAI)
ビジネス
- AIチップのGroqが、6億5000万ドルの資金調達を公式に確認しました。2025年12月にNvidiaが同社の技術を約200億ドルでライセンス取得し幹部を引き抜いた動きに続くもので、新経営陣の招集とネオクラウド事業への軸足移しで再建を図ります。 AI chipmaker Groq confirms $650M raise(TechCrunch)
- 日立の徳永会長兼CEOが「Hitachi Investor Day 2026」で、エネルギー・モビリティ・インダストリー・デジタルの4領域でAX(AIトランスフォーメーション)を推進すると表明しました。Anthropic・Google・Microsoft・OpenAIをパートナーに据える方針です。 日立はAX事業にどう臨むか 徳永CEOの戦略から成長の勘所を探る(ITmedia AI+)
その他
- ダイハツ工業が、VRAIN Solutionと共同開発したAI画像検査システムを竜王工場に導入し、アルミ製トランスミッション部品の穴内部のキズを自動検出しています。 ダイハツ、自動車部品のキズ検査をAIで自動化(ITmedia AI+)
- 小田急電鉄が、踏切内に取り残された人をAIで検知して列車を緊急停止させるシステムの実運用を始めました。 踏切に取り残された人をAIで検知し列車を自動停止(ITmedia AI+)
ソース: AIニュースインボックス(2026年6月23日収集・30件、一次6件・二次24件)から編集部が選定しました。