今日の見出し

  • AnthropicがClaude Sonnet 5を公開——自律的にタスクをこなすエージェント性能を、より安い価格帯に
  • GoogleがNano Banana 2 LiteとGemini Omni Flashを投入——画像生成を1枚あたり数円・4秒に
  • AnthropicがClaude Scienceを公開——新モデルではなく「研究の作業台」で科学者を取り込む

新しい巨大モデルの性能自慢ではなく、AIをどれだけ安く・速く・現場に近づけられるかが主題になった一日でした。

同じ日にAnthropicとGoogleが、それぞれ別の角度から「単価を下げる」発表を出しました。一方は対話モデルのエージェント運用を、もう一方は画像と動画の生成を、より低いコストで回せるようにしています。そしてAnthropicはもう一つ、モデルではなく研究者の作業環境そのものに踏み込む製品を出しました。性能の頂点を競う段階から、その性能を実務でどう薄く広く行き渡らせるかへ、関心が移りつつあります。

今日の3本

Anthropic、Claude Sonnet 5を公開——エージェントを安く回す中位モデル

Anthropicが、中位モデルを刷新した「Claude Sonnet 5」を公開しました。

最大の特徴は、これまで上位の大型モデルを必要としていた自律的なタスク処理を、より安い価格帯で実行できる点です。Claude Sonnet 5は計画を立て、ブラウザやターミナルといったツールを操作し、人手を介さずに作業を進められるとされています。前世代のSonnet 4.6と比べ、推論・ツール利用・コーディング・知識労働の各面で性能が向上しました。

価格は、8月31日までの導入価格として入力100万トークンあたり2ドル、出力100万トークンあたり10ドルに設定されています。9月以降は入力3ドル・出力15ドルへ移行します。Anthropicはこの水準を、自社の上位モデルOpus 4.8やGPT-5.5、Gemini 3.1 Proより安いと位置づけています。

ベンチマークでは、エージェント型のコーディングで63.2%を記録しました。これは上位のOpus 4.8(69.2%)には届かないものの、前世代のSonnet 4.6(58.1%)を上回る数字です。知識労働の一部ではOpus 4.8をわずかに上回ったとされ、好ましくない振る舞いの発生率も下がったと説明されています。

実務での手応えも語られています。自動化サービスZapierのシニアエンジニア、ダニエル・シェパード氏は「最後まで一気にやり切った。以前は途中で止まっていた処理だ。日々の自動化にとっては、迷う理由がない」と述べています。Claude Sonnet 5は、無料プランと有料Proプランの標準モデルとして提供されます。性能の絶対値より「同じ仕事をいくらで回せるか」を競う、エージェント実装期の価格競争を象徴する一手です。

Google、Nano Banana 2 LiteとGemini Omni Flashで生成を高速・低コスト化

Googleが、画像生成モデル「Nano Banana 2 Lite」と、マルチモーダルモデル「Gemini Omni Flash」を投入しました。

Nano Banana 2 Liteは、大量の画像を素早く作る用途に最適化したモデルです。1枚(1K解像度)を約4秒で生成し、コストは1枚あたり0.034ドルとされています。前世代より大幅に速く、安くなりました。すでにGoogle AI Studio、Gemini API、企業向けのGemini Enterprise Agent Platformから利用でき、従来の「Nano Banana」は旧版(レガシー)の扱いになりました。

Gemini Omni Flashは、画像・音声・テキストを動画に変換するモデルです。動画出力は1秒あたり0.10ドルで提供されます。あわせてGoogleは、静止画を「映画のようなEコマース向け動画」に変える実演アプリ「Omni Product Studio」も公開しました。

二つの発表に共通するのは、生成を「試行錯誤の道具」として安く回せるようにする方向性です。1枚数円・数秒という水準は、画像生成を一発勝負の成果物ではなく、何度も作り直す下書きの工程に位置づけ直します。クリエイティブ制作の現場では、品質の頂点よりも、反復のコストをどこまで下げられるかが実用の分かれ目になりつつあります。

Anthropic、Claude Science——新モデルではなく「研究の作業台」で勝負

Anthropicが、科学者向けのAIワークベンチ「Claude Science」を公開しました。

特徴的なのは、これが新しい専用モデルではない点です。Claude Scienceは既存のClaude Opus 4.8などを使い、特別なアクセス権なしに利用できます。Anthropicは、専用モデルを売るのではなく、研究者が日々行う作業の環境そのものを作り込む道を選びました。

この作業台は、別々のデータベースやツールを行き来する手間をなくし、計算研究を一つの場所で進められるようにします。中心となるAIアシスタントがプロジェクト管理役を担い、専門作業のための補助アシスタントを必要に応じて生成します。ゲノミクス・タンパク質構造・化学の各分野の道具立てがあらかじめ用意され、60を超える科学データベースと連携します。

研究の信頼性に関わる機能も組み込まれています。引用や計算を検証する事実確認の仕組みに加え、3Dのタンパク質構造などの図を、その元になったコード・実行環境・作成履歴とセットで出力する再現性の支援があります。データを外部のサーバーに送らず、研究者自身のラボの環境で分析を走らせる構成も選べます。

提供はベータ版で、Pro・Max・Team・Enterpriseの各プランの加入者が対象です。Anthropicは50件の研究プロジェクトに対し、1件あたり最大3万ドルの利用枠を支援するとしており、応募の締め切りは7月15日です。初期の利用者には、アレン研究所の神経科学者や、カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)脳腫瘍センターのチームが名を連ねます。専用モデルを閉じて提供する競合とは異なり、既存モデル+作業環境という構えで科学の現場に入り込む戦略です。

そのほかの動き

モデル・API

研究・論文

規制・政策

ビジネス

ソース: AIニュースインボックス(2026年7月1日収集・30件、一次9件・二次21件)から編集部が選定しました。