今日の見出し

  • OpenAIが自動レッドチームAI「GPT-Red」を発表——未知シナリオの間接プロンプトインジェクション検証で、人間の専門家が13%のところGPT-Redは84%のシナリオで攻撃に成功
  • Thinking Machines Labが初のAIモデル「Inkling」を公開——総パラメータ9750億のマルチモーダルMoEをApache 2.0のオープンウェイトとしてHugging Faceに
  • グーグルの24時間稼働AIエージェント「Gemini Spark」が日本上陸——まずは月額1万4500円のUltraプラン限定ベータ、Proプランへの拡大も示唆

きょうの紙面は、AIの鍛え方と届き方が同時に動いた一日です。

OpenAIはモデルを攻撃するAIを鍛えて防御に還元する安全研究を公開し、Thinking Machines Labは誰でもダウンロードして改変できる大型モデルを初公開しました。そしてグーグルの自律エージェントが日本の一般ユーザーの手元に届き始めています。作る側の方法論と、使う側の選択肢が、それぞれ一段階進んだ一日でした。

今日の3本

OpenAI、自動レッドチームAI「GPT-Red」を発表——人間の13%に対し84%のシナリオで攻撃成功

OpenAIは7月15日、自社モデルの脆弱性を自動で探し出すレッドチーミングAI「GPT-Red」を発表しました。

GPT-Redは自己対戦型の強化学習で訓練されています。攻撃役のGPT-Redと防御役の複数のLLMを同時に訓練し、攻撃側はプロンプトインジェクションの成功で、防御側は攻撃への抵抗とタスクの完遂で報酬を得る仕組みです。防御が固くなるほど攻撃側はより強く多様な手口を編み出すことになり、OpenAIは自社最大級のポストトレーニングに匹敵する計算資源を安全性のためだけに投じたとしています。

強さの検証では、訓練に使っていない未知の間接プロンプトインジェクション評価環境(Dziemianら2025年の攻撃アリーナを内部再現したもの)で、GPT-5.1への攻撃を人間のレッドチームと競わせました。人間の専門家が13%のシナリオでしか攻撃に成功しなかったのに対し、GPT-Redは84%のシナリオで攻撃を成功させています。さらにOpenAIのオフィスで実際に稼働するAI自動販売機エージェント「Vendy」への実証攻撃では、高額商品の価格を下限の0.50ドルに書き換える、他の客の注文を取り消すなど、3つの悪意ある目標をすべて達成しました。

成果は防御側に還元されています。GPT-Redを訓練に組み込んだ最新モデル「GPT-5.6 Sol」は、同社の最難関ベンチマークにおける直接プロンプトインジェクションの失敗が4カ月前の本番モデルの6分の1に減り、GPT-Red自身の直接攻撃に対する失敗率は0.05%まで下がりました。初期のGPT-Redが発見した「偽の思考連鎖(Fake Chain-of-Thought)」という新型攻撃も、GPT-5.1には95%超の成功率で通用していたものが、GPT-5.6 Solでは10%未満に抑え込まれています。なお、GPT-Red自体は悪用を防ぐため社内専用とし、製品モデルからは切り離して運用するとしています。

Thinking Machines、初のAIモデル「Inkling」を公開——「自分のものにできる」オープンウェイト

元OpenAI CTOのミラ・ムラティ氏が率いるThinking Machines Labが、設立後初のAIモデル「Inkling」を公開しました。

Inklingは総パラメータ9750億・アクティブ410億のMoE(専門家混合)型で、テキスト・画像・音声を扱うマルチモーダルモデルです。コンテキストウィンドウは最大100万トークン、事前学習にはテキスト・画像・音声・動画からなる45兆トークンを使ったとしています。全ウェイトはApache 2.0ライセンスのオープンウェイトとしてHugging Faceで公開されており、企業は自由にダウンロードして改変・自社運用できます。ただし無償で手に入るのはウェイトそのもので、同社の微調整プラットフォーム「Tinker」での利用は有償(期間限定で50%割引)、チャットで試せる「Inkling Playground」は期間限定の無料提供です。

同社が公表したベンチマークでは、将来予測の力を測るForecastBench(検索なし)でスコア61.1を記録し、GPT-5.5の59.1やClaude Opus 4.8の54.6を上回りました。しかし同じ表でもGrok 4.3(61.7)には届かず、検索ありの条件ではGPT-5.5が上回ります。命令追従のIFBenchでは79.8%と比較対象のクローズドモデルを超えた一方、HLEやSWE-Bench Verifiedなど推論・コーディング系の指標では上位クローズドモデルに及ばないことも同社自身が開示しています。

あわせて軽量版「Inkling-Small」(総パラメータ2760億・アクティブ120億)もプレビュー公開されました。すべてで最強を狙うのではなく、企業が自社データで微調整して「自分のものにできる」基盤モデルという位置づけで、画一的なクローズドモデルへの対抗軸を打ち出した形です。

グーグルの「Gemini Spark」が日本上陸——まずUltra限定ベータ、Pro拡大も示唆

グーグルは7月16日、パーソナルAIエージェント「Gemini Spark」の日本提供を開始しました。

対象はまず月額1万4500円からの「Google AI Ultra」プラン加入者で、ベータ版としての先行公開です。Gemini担当のジョシュ・ウッドワード副社長はXで「Proメンバーの皆さん、アクセス更新をお楽しみに」と投稿しており、月額2900円の「Pro」プランへ広がるかどうかが次の焦点になります。

Gemini Sparkは、情報収集や資料の整理、メール対応、予定調整、旅行の手配などをユーザーに代わって進めるエージェントです。クラウド上で動くため、スマートフォンやPCの電源が切れている間もバックグラウンドでタスクを進めます。基盤はGemini 3.5とエージェント実行基盤「Google Antigravity」で、GmailやGoogleカレンダー、Googleドキュメントなどと連携するほか、MCP(Model Context Protocol)対応で外部アプリにも接続できます。

繰り返しの作業は「スキル」として保存して再利用でき、メール送信のような影響の大きい操作の前にはユーザーに確認を求める設計です。米国で先行していたサービスの日本語展開であり、24時間働く自律エージェントが国内の一般ユーザーの手元に届く節目になります。

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ソース: AIニュースインボックス(2026年7月16日収集・30件、一次3件・二次27件)から編集部が選定しました。