今日の見出し

  • 経産省・NEDO主導の国策AI基盤モデル開発「FRONTia」が始動——NVIDIAの新世代GPU「Rubin」約2万7500基を導入、2026年度予算は3873億円
  • 欧州委員会がGoogleに検索データ共有とAndroidのAI機能開放を義務付ける決定を正式採択——検索データは2027年1月から、Androidは2027年7月までに
  • GoogleがNotebookLMを「Gemini Notebook」に改称——ノートブックごとのクラウド実行環境でコード実行とデータ分析が可能に

きょうの紙面は、国家がAIの盤面を動かした一日です。

日本は基盤モデル開発を国家プロジェクトとして本格始動させ、計算資源の調達から2040年の長期目標までを一つの計画にまとめました。一方のEUは、AIの入口となる検索とスマートフォンの開放をGoogleに正式に命じています。作る側の国家戦略と、開かせる側の規制が同じ日に動きました。

今日の3本

国策AI基盤モデル開発「FRONTia」が始動——NVIDIA新世代GPU「Rubin」約2万7500基を導入

経済産業省とNEDOが主導する国策のAI基盤モデル開発プロジェクト「FRONTia」が始動しました。

FRONTiaは「Foundation for Real-world Omni-Native Trustworthy Intelligence & Alignment(実世界を自然と理解する、信頼性の高いAI基盤)」の略称で、AIロボットなどのフィジカルAIを見据えたマルチモーダル基盤モデルを国内で開発する事業です。経済産業省は6月30日に事業開始を発表し、実施主体としてNoetraと産業技術総合研究所を採択しています。

実施体制は二本立てです。ソフトバンク、ソニーグループ、NEC、ホンダなど44社が出資する新会社Noetra(旧・日本AI基盤モデル開発)が「開発枠」を、産業技術総合研究所が「探究枠」を担当し、Preferred Networksの岡野原大輔氏が共同研究開発統括責任者として参画します。

計算基盤も確定しました。NVIDIAは7月16日、日本政府・産業界とともに「世界初の国家AIインフラ」を始動すると発表し、Noetraが新世代GPU「Rubin」約2万7500基とVera CPU 1万3750基超で構成するAIファクトリーを構築するとしています。

資金と時間軸は、2026年度予算が3873億円、事業期間は2026年度から2030年度までで、2027年度以降は毎年度ステージゲート審査を実施します。その先には、2040年に国内で1000万台のAIロボットを導入するという長期目標が掲げられています。

EUがGoogleに検索データ共有とAndroidのAI開放を正式決定——2027年に段階施行

欧州委員会は7月16日、デジタル市場法(DMA)に基づき、Googleに検索データの共有とAndroidのAI機能開放を義務付ける二つの「仕様決定」を正式に採択しました。

検索側の決定は、DMA第6条11項に基づくものです。Googleは、匿名化した検索のランキング・クエリ・クリック・閲覧データを、公正・合理的かつ非差別的な条件で競合の検索エンジン事業者に提供しなければなりません。検索機能を持つAIチャットボットの事業者もデータ共有の対象に含まれ、提供は2027年1月までに始める必要があります。

Android側の決定は、同法第6条7項に基づきます。Googleは、自社AI「Gemini」が使っているAndroidの機能——音声ウェイクワードでの起動や、アプリを横断してタスクを実行する仕組みなど——への実効的な相互運用性を、サードパーティのAIアシスタントにも開放しなければなりません。欧州委員会は「サードパーティのAIアシスタントは革新的なサービスの提供方法を制限されており、Android端末を持つEUユーザー(EU利用者の60%)にとって魅力が下がっている」と説明しています。対応期限は2027年7月です。

手続きとしては、欧州委員会が1月27日に手続きを開始し、4月27日に措置案を提示、法定期限内の今回の正式採択に至りました。仕様決定は法的拘束力を持ち、「ゲートキーパー」に指定されているGoogleは従う義務があります。

Googleは強く反発しています。グローバル・アフェアーズ担当プレジデントのケント・ウォーカー氏は「本日の決定は、何百万人もの欧州の人々にとって不可欠なプライバシーとセキュリティのガードレールを損なうおそれがある」と述べました。一方で欧州委員会は、個人を特定しうるデータの扱いについては決定を修正する余地を残しているとされます。

NotebookLMが「Gemini Notebook」に改称——クラウド実行環境でコード実行が可能に

Googleは、AIリサーチツール「NotebookLM」を「Gemini Notebook」に改称し、ノートブックごとにセキュアなクラウド実行環境を搭載すると発表しました。

新しいクラウド実行環境では、Gemini Notebookがコードをネイティブに書いて実行できるようになり、読み込んだソースに基づく複雑なデータ分析までノートの中で完結します。これまでの「資料を読み込ませて対話する」道具から、手を動かして計算する道具への拡張です。

提供はGoogle AI Ultraユーザーと、対象ライセンスを持つWorkspaceのビジネス顧客から始まっており、Web版のProユーザーには数週間以内に順次展開されます。Geminiアプリの中で直接ノートブックを作成・参照できるようになり、単独アプリとの間で同期します。Google検索のAI Modeへの統合も予定されています。

NotebookLMは2023年のGoogle I/Oで「Project Tailwind」として発表された研究支援ツールが前身で、現在は3000万人超のユーザーと60万超の組織が利用しています。定着済みのプロダクトをGeminiブランドに束ねる再編で、改称後も単独の研究ツールとして提供は続きます。

そのほかの動き

モデル・製品

研究

  • Google DeepMindとIsomorphic Labsが、AIモデルの生物兵器などへの悪用を防ぎつつ、政府や科学者による防御目的の活用を後押しする「バイオレジリエンス」戦略を発表しました。過去12カ月で政府機関やバイオセキュリティ機関と15件以上の連携を構築したとしています。 - Our approach to bioresilience(Google DeepMind)

ビジネス

  • インドの中古車マーケットプレイスCars24が、OpenAIの音声・チャットエージェントで月間100万分超の会話を自動処理していると公表しました。顧客対応の解決率が50%向上し、従業員約600人に配備したChatGPT EnterpriseとCodexの日次利用率は85〜90%に達しているとしています。 - How Cars24 scales conversations and builds faster with OpenAI(OpenAI)

政策・その他

  • OpenAIが、10代のChatGPT利用について学習支援の強化と年齢に応じた安全対策をセットで進める方針を公表しました。10代ユーザーの9割近くが学習やスキル習得のために毎週使っていると説明し、18歳未満と推定した場合の制限付き体験や保護者向け機能の拡充を挙げています。 - Why teens deserve access to safe AI(OpenAI)
  • Metaが、見守り機能を使う10代がMeta AIとの会話で自傷や自殺の兆候を見せた際に保護者へ通知する機能を米英豪加で開始しました。2026年末までの世界展開を予定しています。 - Alerting Parents if Teens Show Signs of Distress in Conversations With Meta AI(Meta)
  • 韓国の現代自動車の工場労働者が、賃金要求に加えヒューマノイドロボット「Atlas」導入への不安を理由に3日間のローテーションストライキに入りました。人型ロボット導入が自動車工場の争議の主要争点になった初の事例と報じられています。 - Fear of humanoid robots spurs human workers to strike at Hyundai auto factory(Ars Technica)
  • Linuxカーネル開発者のリーナス・トーバルズ氏が、開発コミュニティ内の反AI感情に対し「Linuxは反AIプロジェクトではない。不満ならフォークするか、去ればいい」と述べました。主要オープンソースプロジェクトがAI活用を事実上容認する姿勢を鮮明にした発言です。 - Linus Torvalds to critics of AI coding in Linux: "Fork it. Or just walk away."(Ars Technica)

ソース: AIニュースインボックス(2026年7月17日収集・30件、一次9件・二次21件)から編集部が選定しました。