今日の見出し
- EU AI法の汎用AIモデル規定が執行段階へ——学習に使った著作物の開示が義務に
- 米連邦地裁がxAIの差止め申立てを却下、ミネソタ州の「ヌード化」アプリ禁止法が8月1日に施行
- Googleのパーソナルエージェント「Gemini Spark」が日本でも利用可能に、Chrome統合は米国が先行
- AI動画生成のPippaが作風の元になったアーティストに1枚ごとの報酬を支払う仕組みを掲げる
- Microsoftの新しい日本語入力「Copilot Keyboard」正式版、MS-IMEと辞書を共有し毎月更新
きょう並んだ三本に共通しているのは、AIが何をできるようになったかではなく、AIがどこで、どういう条件のもとで使えるのかという線引きです。
線を引いている主体はそれぞれ違います。域内市場に出るモデルへ義務を課す規制当局、州法の効力をめぐって判断を示した裁判所、そして自社の新機能をどの国から出すかを決めた事業者です。三者が引いた線は、いずれも技術の性能とは別の座標で引かれています。
今日の3本
EU AI法、汎用AIモデルの規定が執行段階に入る
EU AI法のうち汎用の大規模AIモデルを対象とする規定が、8月2日に執行できる状態になりました。
モデルを開発する企業に課されるのは三つの開示です。モデルをどう構築したかの透明性、学習に使った著作権保護コンテンツの開示、そして下流の利用者がモデルの能力を理解できるだけの情報提供が求められます。
最先端のフロンティアモデルには、これに加えて社会全体へのリスクを特定し軽減する義務が乗ります。
執行を担うのはEuropean AI Officeです。ただしEuronewsは、EU側の資源が限られており、AI人材の獲得では公的機関が民間と競合している状況を伝えています。外部の科学者パネルやAI安全企業の力を借りる方向が模索されているとされます。
適用範囲はEU域内にとどまりません。域外の企業であってもEU域内でAI技術を商用提供する場合には法の対象になり、その結果として最先端モデルのEU投入が他市場より数週間遅れる可能性があると同記事は指摘しています。
土台になった自主的な枠組みもあります。昨年、欧州委員会は専門家が起草した行動規範を承認し、Metaを除く主要な西側AI企業がこれに署名しました。
米連邦地裁、xAIの差止め申立てを却下——ミネソタ州の「ヌード化」アプリ禁止法が施行
米連邦地裁のドノバン・フランク判事は、ミネソタ州の「ヌード化」アプリ禁止法の効力を止めるようxAIが求めた一時的差止め命令(TRO)の申立てを退けました。
同法は、本人の同意なく性的な画像を作らせるアプリを禁じるもので、8月1日に施行されています。却下は本案訴訟の終結を意味せず、訴訟が続いているあいだも法律は効力を持ちます。
判事が挙げたのは申立ての時期でした。xAIが申し立てたのは7月29日で、法律の成立からおよそ3カ月後、施行のわずか3日前にあたります。提訴と申立てがこれだけ遅れたことは損害が差し迫ったものではないことをうかがわせる、というのが判事の判断だとTechCrunchは伝えています。
xAI側の主張も報じられています。同社はこの禁止法を全米で初めての類型と位置づけたうえで、規制の範囲が広すぎる、同じ目的はより制限の少ない手段でも達成できる、と主張しているとされます。この主張の当否について裁判所の判断が示されたわけではありません。
同社をめぐっては、今年に入ってGrokを使った非同意のディープフェイク画像がXに大量に投稿され、各国で調査や利用制限につながった経緯があるとTechCrunchは付記しています。
Google、パーソナルAI「Gemini Spark」を日本で提供開始——Chrome統合は米国が先行
Googleは、パーソナルエージェント「Gemini Spark」の提供対象を新たに160カ国以上へ広げ、日本でも使えるようにしました。
発表は7月30日(現地時間)です。Gemini Spark自体は5月の「Google I/O 2026」で公表されていた機能で、今回は提供地域の拡大にあたります。
日本での対象は、Google AI UltraとGoogle AI Proの加入者です。対応言語は日本語と英語で、AI Proの利用者には今後数週間以内に順次提供されるとしています。
中身はGemini 3.5を搭載したエージェントで、GmailやGoogleドキュメント、Googleスプレッドシートなどと連携します。PCを閉じていてもクラウド側でバックグラウンド動作する設計です。
あわせて発表されたChromeとの直接統合は、まず米国から始まります。利用者が許可すればブラウザに保存されたログイン情報を使い、Web上の用事を代わりに進める機能です。決済のように機密性の高い操作は利用者に引き渡す設計で、プロンプトインジェクションなどの脅威からも保護すると同社は説明しています。
同じ製品名でも、提供される国と機能がそろって動くわけではありません。導入を検討する側から見れば、地域と時期が機能ごとに分かれている点は見落としやすいところです。
そのほかの動き
プロダクト
Microsoftの新しいWindows向け日本語入力「Copilot Keyboard」の正式版が登場し、ASCII.jpが実機で試しています。MS-IMEをベースに辞書を共有しつつ、最新用語の辞書を毎月配布し、変換時にCopilot検索を統合する構成です。変換精度そのものはMS-IMEと同等というのが筆者の見立てで、目立つ新味はデスクトップに置ける「Copilotキャラクター」の方だとしています。
NVIDIAのAI開発機DGX Spark上でNixおよびNixOSを動かすオープンソースプロジェクトがGitHubで公開されました。DGX OS(Ubuntu系)の上でNixを使う経路と、NixOSそのものを入れる経路の両方に対応し、NVIDIA公式のDGX Spark向けプレイブック15種のdevshellを同梱しています。対応ハードウェアはDGX Spark本体とAsus Ascent GX10です。
研究
「ハプスブルク顎を持つカエルのSVGを生成せよ」という課題で複数のモデルを比べる個人製のベンチマークが公開されました。2026年8月分は14モデル・42ランで、42ランすべてがSVGを出力しています。見どころは描画の巧拙より各モデルの癖の方で、Gemini 3.6 Flashは求められてもいない帝国風の襟やハプスブルクの王冠、金羊毛勲章まで描き足したとされます。
レディング大学のアン・ローレンス=マザーズ教授が、13世紀以降に伝わった秘術書『アルス・ノトリア』を論じたエッセイを公開しました。現存56写本のこの書物は、精緻な図表と祈祷によって学識を一挙に得られると説くもので、同教授は映画『マトリックス』でネオがカンフーを瞬時に習得する場面になぞらえています。近道で知識を得たいという願いの歴史は、AIに即答を期待する現代の姿勢と地続きだという指摘です。
ビジネス
AI動画生成の新興企業Pippaは、利用者が生成した画像や映像が人間のアーティストの作風に由来する場合、そのアーティストに都度報酬を支払う仕組みを掲げています。金額は画像1枚あたり0.005ドル、映像1秒あたり0.003ドルで、加えてサブスク収入で賄う5%のロイヤルティプールの分配も受けます。共同創業者のホーガン・シュラム氏とショーン・ライト氏は、Napsterから1曲99セント配信への移行になぞらえてこの設計を説明しています。
一方で、同社の月額サブスクリプションは14.99ドルから99.99ドルです。倫理性を掲げてはいるものの、モデルの品質は他の動画生成サービスと同水準にとどまるとThe Vergeは指摘しており、金銭の分配だけで創作者の支持を得られるのかという問いが残ります。
続報です。OpenAIのサラ・フライアーCFOが7月31日(現地時間)に公式ブログで公表したアクティブユーザー10億人超・導入企業200万社超という数字を、ITmediaが日本語で報じました。原文は10億人が週間か月間かを明示しておらず、公表がGPT-5.6シリーズの値下げの直後だった点も含めて読む必要があります。同ブログは、登録から半年後の利用者が1日あたりの送信メッセージ数を約50%増やしていること、本番環境の最適化でモデル提供のエンドツーエンドのコストが20%下がったことなども挙げています。
その他
フェンダーのエドワード・バド・コールCEOが、カバー演奏やバンド仲間を「一種のアナログなAI」になぞらえた発言が、いまになって広まり反発を招いています。発言自体はテレキャスター75周年に合わせた5月のT3誌インタビューでのもので、当時は注目されていませんでした。The Vergeの筆者は、1人が耳コピで学ぶことと膨大な楽曲を取り込んで学習するモデルとでは規模がまるで違い、この比喩は作曲における人間の無数の判断を無視していると論じています。同社はストラトキャスターのボディ形状の著作権を主張して製作者に警告書を送り、すでにギター界の反発を受けていました。
ソース: AIニュースインボックス(2026年8月3日収集・10件、一次0件・二次10件)から編集部が選定しました。