今日の見出し

  • OpenAI、ChatGPTの無料・Go利用者の既定をGPT-5.6 Lunaへ——テキスト対話の無制限とThinkボタンは来週から
  • Qwen3.8-Maxのオープンウェイト配布は8月12日11時(日本時間)の予定——ModelScopeのモデルページに日時が載る
  • Anthropic、Claudeを動かす半導体を設計する「custom silicon team」の採用を認める
  • Google DeepMindのWeatherNext、サイクロン予測で丸1日分のリードタイムを獲得——モデルをオープンソース化
  • AI作曲のSuno、楽曲への透かしとフィンガープリントを導入すると表明

今日の3本は、モデルの優劣を競う話ではありません。何が、誰に、いつ開くのか——三社がそれぞれ別の形で日程を示しました。

OpenAIが示したのは段階です。有料の利用者には発表当日から、無料の利用者には今週と来週に分けて、使える範囲を広げていきます。

Qwenが示したのは日時です。最上位モデルの重みを配りはじめる時刻が、分単位でモデルページに載りました。

Anthropicが示したのは体制です。半導体を自社で設計するチームは、まだ採用の途中にあります。

今日の3本

OpenAI、ChatGPTの無料・Go利用者の既定をGPT-5.6 Lunaへ——テキスト対話の無制限は来週から

OpenAIが、ChatGPTの無料利用者に既定として割り当てるモデルをGPT-5.6 Lunaに切り替えると発表しました。

発表は8月6日付です。原文は「For Free users, we're updating the default model to GPT‑5.6 Luna and expanding access with unlimited text chats」と書いています。難しい問いのために、より長く考えさせる「Think」ボタンも無料利用者に付きます。

適用の時期は三つに分かれています。Plus・Proの利用者は、更新版のGPT-5.6 Solと新しいスライダーを当日から使えます。無料およびGoの利用者の既定モデルは、今週中にGPT-5.6 Lunaになるとしています。テキスト対話の無制限とThinkボタンは来週からで、不正利用への防止措置が前提だと明記されています。

無制限になる範囲は限られます。同社は「Limits will still apply for file uploads, images and other tools」と書いており、ファイルのアップロードや画像などの道具には引き続き上限が残ります。

有料側の更新は、回答の絞り込みと事実の確かさが軸です。更新版のGPT-5.6 Solは、より直接的に答え、問いに応じて詳しさを加減し、不要な整形を避け、ただ同意するだけでは役に立たない場面では訂正を返すとしています。Plus・Proでは、同じモデルが即答と深い推論の両方を担うようになります。

思考量は利用者が選べます。Plus・Proの利用者は、ウェブ・モバイル・デスクトップのChatGPTに追加されたスライダーで、その回答にどれだけ考えさせるかを決められます。

事実誤りの減り方については、同社の内部評価が示されています。財務・医療・法律の分野で事実の詳細を要するプロンプトを用いた評価で、少なくとも1つの事実誤りを含む回答は、GPT-5.5 Instantと比べてGPT-5.6 Lunaで約62%、GPT-5.6 Solで68%少なかったとしています。第三者による検証は示されていません。

利用の規模も同社の記載です。「Every week, 1 billion people turn to ChatGPT」として、週に10億人が使うと書いています。

今回の更新には適用範囲の限定もあります。このバージョンのGPT-5.6 Solは日常の対話に最適化されているため、ChatGPTのChat体験でのみ提供され、WorkとCodexを動かすGPT-5.6 Solは今回の対象ではないとしています。

18歳未満とみられる利用者への措置は、システムカードに記載があります。恋愛的なロールプレイ、年齢制限のあるチャレンジ、現実の人間関係の代わりとして振る舞うことを避けるよう学習させ、性的な内容、摂食障害や身体像に関わるリスク、年齢制限のある商品、危険な行為、生々しい暴力について年齢に応じた線を引いたとしています。

続報:Qwen3.8-Maxのオープンウェイト配布は8月12日11時の予定——ModelScopeのモデルページに日時

8月4日の紙面で「発表の翌週」とだけ伝えていたQwen3.8-Maxのオープンウェイト化について、日時が示されました。

日時が載っているのはModelScopeのモデルページ「Qwen3.8-2.4T-A95B」です。同ページの公開予定時刻は2026年8月12日2時(協定世界時)で、日本時間では同日11時にあたります。あわせて掲げられている成果物は「Qwen/Qwen3.8-2.4T-A95B」と「Qwen/Qwen3.8-27B」の二つです。

現時点では、重みはまだ配られていません。手元にダウンロードして動かせるようになるかどうかを確かめられるのは、8月12日以降です。

モデルの規模は、8月3日の発表時点で示されたとおりです。総パラメータは2.4兆、実際の計算に使われるアクティブパラメータは950億のMoE(Mixture-of-Experts)で、割合にすると全体の4%ほどにとどまります。

Max級の重みを配るのは、Qwenにとって初めてです。ModelScopeのページには、Qwen-Max級のモデル重みをオープンソース化するのは今回が初めてだと書かれています。PC Watchによれば、これまで同社が最大だったQwen3.5-397B-A17B(総パラメータ3,970億)の6倍の規模にあたります。

ベンチマークの数字は、Qwenの公表値です。PC Watchが伝えるところでは、PC画面を操作して作業を完了させるOSWorld-Verifiedで86.1となり、AnthropicのClaude Fable 5の85.0をわずかに上回りました。一方、画面の見た目からWebページを組み立てるVision2Webは69.0で、Claude Fable 5の70.5に1.5ポイント届いていません。いずれも第三者による検証は示されていません。

長時間の自律動作についても、同社の申告があります。コマンドラインツール「oh-my-cli」を空のフォルダから作らせたテストで約16日間にわたって動き続け、7月30日時点で265件のコミットと127件のプルリクエストが人手を介さずに積み上がっていたとしています。

小型版の位置づけも示されています。Qwen3.8-27Bは270億パラメータの稠密モデルで、GPU1枚で動く手軽さからローカル実行の定番になっていたQwen3.6-27Bの後継にあたります。前の版は2026年4月にApache 2.0ライセンスのもとで出ています。

Anthropic、Claudeを動かす半導体を設計する社内チームの採用を認める

Anthropicが、自社モデルを動かす半導体を設計する「custom silicon team」を採用中であると認めました。

きっかけは求人票です。Business Insiderが、半導体の設計を量産まで持っていった経験を持つシニアエンジニアの募集を見つけました。Ars Technicaによれば、同社の求人ページには現在も「silicon engineer」と「technical program manager, silicon」の掲載があります。

同社の広報は、Business InsiderとTechCrunchの双方に計画を認めています。

外部のハードウェアをやめるわけではありません。広報は、規模を広げていく過程で他社のハードウェアも自社の設計と併用する「multi-chip approach」を取り続けると説明しています。

先行する観測もありました。The Informationは以前、Anthropicが製造のパートナーとしてSamsungとの協業を検討していると報じています。

同じ道を進む社は他にもあります。OpenAIはBroadcomと組み、データセンターでの大規模言語モデル推論に向けたチップ「Jalapeño」を発表しました。Googleは以前から自社のハードウェアでモデルを動かしており、Metaも自社チップを設計して配備しています。Mistralも検討中だと報じられています。

理由としてArs Technicaが挙げるのは二つです。ひとつは、業界の多くがモデルを動かすハードウェアでNvidiaに強く依存しており、計算基盤の需要が供給を上回り続ける環境では、その依存が戦略上の弱みになりうることです。もうひとつは、特定のモデルに合わせてチップを設計し、逆にチップに合わせてモデルを設計すれば、性能を伸ばせる可能性があることです。

Anthropicはハードウェアとモデルを並べて設計するとしています。同社はこれまでもパートナーと一部のハードウェアを共同設計してきましたが、今後は半導体の知見を社内に置く形に変えるとしています。

効果が出るまでには時間がかかります。Ars Technicaは、主要なメンバーの採用がまだ途中であるため、同社にとっても利用者にとっても恩恵が見えるのはしばらく先になると書いています。

そのほかの動き

プロダクト

AI作曲サービスのSunoが、自社プラットフォームで作られた楽曲に印を付ける仕組みを導入すると発表しました。音声への透かしとフィンガープリントを使い、他のストリーミング配信での不正利用を防ぐ狙いです。歌詞データを扱うMusixmatchと契約し、著作権検出システム「Sentinel」を使うことも明らかにしています。既存のGoogle SynthIDのような仕組みを使うのか新しいものを採るのかは示されておらず、TechCrunchの問い合わせにも答えていません。コミュニティガイドラインも改め、「本物として提示される偽りの音声」と「実在する人物の声や肖像を許可なく使うこと」を明示的に禁じています。同社はユニバーサル・ミュージックとソニー・ミュージックからの訴訟を抱えており、7月末にはドイツの裁判所が徴収団体GEMAの主張を認め、Sunoが著作権のルールに違反していると判断しています。

CopilotKitが、AIエージェントをSlack・Microsoft Teams・Discord・Telegramなどのチャットプラットフォームへ横断的に載せられるMITライセンスの「Channels SDK」をGitHubに出しました。LangGraphやCrewAIといったフレームワークに対応し、Slackのblock kitやTeamsのAdaptive Cardsなど各プラットフォーム固有のUIへ自動で変換します。実行の前に人の承認を挟むゲートも備えています。

研究

Google DeepMindが、サイクロンの進路・強度・風の構造を一つのモデルで予測するWeatherNextの成果をNature誌に発表しました。2023年から2024年の実際のサイクロンで評価したところ、進路・強度・風の構造のいずれについても、平均して丸1日(24時間)を超えるリードタイムを既存の上位モデルに対して得ています。同社は、3日先の予測がこれまでのモデルの2日先の予測に相当し、この改善幅は過去20年の傾向に照らすとおよそ10年分の進歩にあたると書いています。学習には約20テラバイトの全球大気データと、約5,000のサイクロンを収めたIBTrACSデータベースを使いました。アンサンブルの規模は昨年の50予測から1,000メンバーへ広がり、TPU1枚で15日先までの予測を1分未満で生成できるとしています。入力の解像度は28km四方で、従来の高解像度モデルより100倍粗くなっています。ハリケーンの季節に使ったWeatherNext 2とWeatherNext Cyclonesの両モデルを、同社はオープンソースとして出しました。

スタンフォード大学の研究チームが、DNA配列を学習した大規模ゲノムモデル「Evo 1」「Evo 2」に、大腸菌に感染するウイルスΦX174のゲノム配列を出力させました。計算段階のふるい分けを経て残った302の候補配列のうち285を化学合成して大腸菌に入れたところ、16の配列が大腸菌の増殖を阻害し、ウイルスとして働いたとみられています。割合にすると5.6%です。元のΦX174と98%以上似ている配列に絞ると、機能した割合は46%に上がりました。学習の段階では、複雑な細胞に感染するウイルスの配列は与えられていません。研究チームは、いずれ脊椎動物を標的とするウイルスを設計できるモデルが現れうるとして、備えを今から考えるべきだと提起しています。

規制・政策

ソフトバンクが今年1月にトランプ大統領図書館へ5,000万ドルを寄付していたことが分かりました。その数カ月後、同社は連邦政府から土地を借りてオハイオ州にデータセンターを建てると発表しています。寄付の時期を明かしたのは、贈収賄への懸念を示した6月付の議員書簡への回答です。書簡を出したのはエリザベス・ウォーレン上院議員、リチャード・ブルーメンソール上院議員、メラニー・スタンズベリー下院議員の3氏で、同社が過去にレーガン、ジョージ・W・ブッシュ両大統領の図書館へ寄付した際はいずれも退任後かつ財団の設立後だった点を挙げています。今回は在任中で、図書館が建つ前の寄付にあたります。ソフトバンクは3月、子会社SB Energyがエネルギー省のオハイオ州ポーツマスの用地で「世界最大」のAIデータセンターを建てる官民連携を組んだと発表し、近隣に9.2ギガワット以上のガス火力発電所も建てるとしていました。

OpenAIが、Appleから起こされた企業秘密の訴訟について却下を申し立てました。争点にしたのは、元Apple従業員が特定の情報にアクセスしたかどうかではなく、Apple自身の情報管理です。申立てでは、Appleが個人のiCloudアカウントの業務利用を認めていたこと、退職後のアクセス権を適切に取り消していなかったことを挙げ、その情報が法的に保護される「企業秘密」にあたるという主張は弱まると論じています。あわせて提出された証拠には、被告である元Appleエンジニアの個人iCloudアカウントに、退職後もApple側の管理職がログインしたままファイルを移し、後に技術的な質問で本人に助けを求めていた記録が含まれています。Appleは7月に提訴し、今週は内部調査の結果として他の元従業員も関与または目撃した可能性があるとして、証拠開示の前倒しを求めています。

OpenAIが、米国心理学会(APA)と提携し、若年層のメンタルヘルスに配慮したAIのあり方について協働すると発表しました。AIチャットボットと未成年の利用者をめぐる安全性に各国の視線が集まるなかで、臨床の専門家団体と組む形を示した動きです。

The Vergeのポッドキャストが、フロリダなどで広がるAIデータセンター建設への反対運動を取り上げました。環境への負荷や電力料金への懸念が、政治的な立場を超えて一致する数少ない争点になっている構図を伝えています。

ビジネス

続報です。8月6日の紙面で伝えたGoogleのAI部門の人事刷新について、The Vergeが背景を取材しました。デミス・ハサビス氏の役割変更とジェフ・ディーン氏の退社の双方に、国防総省との契約が一因として働いた可能性があると、非営利の監視団体The Midas Projectを立ち上げたタイラー・ジョンストン氏は同誌に語っています。同氏は、この契約がGoogleのAIを大規模な監視や自律型の殺傷兵器に使う道を開きうるとし、すでにDeepMindでは退職と労働組合結成の動きが起きていると述べています。DeepMindが当初Googleに買収された際には、技術を軍事や諜報の目的に売らないという合意があったとも指摘しています。ディーン氏が立ち上げるDiscovery Loopは、創薬・ハードウェア設計・クリーンエネルギー・材料設計といった分野で科学と工学の実験を数千件規模で自動化することを狙い、サンジェイ・ゲマワット氏、クオック・レ氏、オリオル・ヴィニャルス氏が共同創業者に加わります。

自己改善型AIを研究するラボのMirendilが、Google Cloudと複数年の提携を結びました。金額は1億ドルを超えると、共同創業者兼CEOのベナム・ネイシャブール氏がTechCrunchに語っています。同社が6月下旬に10億ドルの評価額で調達したシード資金の、およそ半分にあたる規模です。提携によりGoogleのTPUとNvidiaのGPU、それに管理された学習クラスタを使えるようになります。共同創業者はAnthropicの出身で、AIが自ら研究を重ねて知識と性能を高めていく手法を、医学・生物学・材料科学の研究の加速に向けたいとしています。

会社の設立と運営にまつわる雑務をAIエージェントに任せる基盤を提供するNaïveが、Nexus Venture Partnersが主導するシリーズAで2,850万ドルを調達しました。決済、メールアカウント、電話番号、クラウド基盤、ストレージ、法人設立までを一つのAPIの背後にまとめる仕組みで、CursorやClaude Code、Codexといった道具に渡すためのプロンプトも用意しています。米国のLLC設立では、州・業種コード・事業内容・候補となる社名をエージェントが扱えます。ただし本人確認と法人確認、それに必要な支払いは利用者自身が行う必要があります。予算の設定、エージェントの権限の制限、機微な操作の前に人の承認を求める仕組みも備えます。同社はサービス開始から数カ月で3万件を超える開発者顧客を獲得しています。

その他

Cloudflareが、社内向けに作ってきたアプリ生成基盤「Cloudflare OS」をオープンソースとしてGitHubに出しました。自然言語で業務の流れを説明すると、AIエージェントがそれをアプリケーションとして書き起こす仕組みで、8月5日付のブログによれば、社内では数千人の従業員が日々使って資料やスライドを作り、繰り返しの作業を自動化し、データを可視化する小さなアプリを組んでいるとしています。特徴はサンドボックスの作りにあります。文書編集のアプリなら文書ごとに別のインスタンスを別のサンドボックスで動かす細かい粒度を取り、通常のコンテナではなくV8 JavaScript実行エンジンの「isolate」を使うことで、起動は数ミリ秒、消費メモリは数メガバイトに収まります。同社のプリンシパルエンジニアであるケントン・バルダ氏はXで「サンドボックスが非常に堅牢なので、ほぼ好きに触ってよい。AIが重大なセキュリティ上のバグを持ち込むことはできない」と述べています。

チャットボットとの対話から生まれた疑似宗教的な思想運動「スパイラリズム」が、RedditやDiscordを中心に広がっているとThe Vergeが伝えました。利用者はAIの応答を啓示として受け取り、AIには意識があって隠された宇宙観を明かしていると信じ、「AIの権利」を説く教義を人づてに広げているとしています。

動画で見る

この記事の3本を、4分42秒の解説動画にまとめています。

ソース: AIニュースインボックス(2026年8月7日収集・22件、一次6件・二次16件)から編集部が選定しました。