今日の見出し
- Qwen、視覚言語モデル「Qwen3.8-27B」の重みをApache 2.0で公開——日本時間8月15日0時ちょうどに更新
- ChatGPTとCodexに「Computer History」——macOS版で画面の操作を記録し、記憶に変える
- Z.ai「GLM-5.3」を発表——ベースはGLM-5.2のまま、社内ベンチで50%の向上
- Google、生成物の可視透かしをオフにできる設定を追加——SynthIDとC2PAは付与を継続
- 創業155年の梅干し店、ClaudeとNetSuiteで非エンジニアが業務ポータルを内製
今日の3本は、賢くする手の入れ場所に集まりました。同じ目的へ向かって、3社が別々の場所に手を入れた一日です。
Qwenが手を入れたのは配り方です。27Bの視覚言語モデルの重みを、商用利用を認めるライセンスで手元に置けるようにしました。
OpenAIが手を入れたのは記憶の元です。画面の前で起きた操作を記録し、次の会話が参照できる形に変えます。
Z.aiが手を入れたのは仕上げです。土台のモデルを据え置いたまま、事後学習の量だけで性能を押し上げたと説明しています。
今日の3本
Qwen、視覚言語モデル「Qwen3.8-27B」の重みをApache 2.0で公開
Qwenが、パラメータ27Bの視覚言語モデル「Qwen3.8-27B」の重みを、Apache 2.0ライセンスでHugging Faceに公開しました。
時刻は予告どおりでした。当欄は8月13日号で、PC Watchの報道として「8月15日0時にオープンウェイトで公開される予定」と伝えていました。編集部がHugging FaceのAPIで確認したところ、リポジトリの最終更新は協定世界時8月14日15時00分01秒、日本時間では8月15日0時00分で、告知の時刻ちょうどに重みが載りました。
仕様には規模と扱える範囲が出ています。パラメータは27B・64層、コンテキスト長はモデルカードの記載で「262,144 natively and extensible up to 1,000,000 tokens」、種別は画像と動画を解するネイティブの視覚言語モデルです。
ベンチマークはモデルカードの掲載値で示されています。SWE-bench Proは61.7で、前世代のQwen3.6-27Bが53.5、Claude Opus 4.6 Maxが53.4、QwenSWEBenchは79.0で、同じ順に並べると49.3と63.8です。
同じ表には負けている項目も並びます。Terminal Bench 2.1(Terminus)はQwen3.8-27Bの73.0に対してOpus 4.6 Maxが78.2、NL2Repo-Benchは42.3に対して47.6で、この2つはOpus側が上に立ちます。
手元での使い方はライセンスが決めます。Apache 2.0は商用利用を認めるため、企業が自社の環境に置いて動かす選択肢に入ります。ホスト版のQwen Cloudは近日提供予定(coming soon)と記されています。
ChatGPTとCodexに「Computer History」——画面の操作を記録して記憶にする
OpenAIが、画面の操作を記録して記憶に変える機能「Computer History」をChatGPTとCodexに用意しました。
記録するのは操作イベントです。公式ドキュメントは、クリック、タイピング、キーボードショートカット、アプリの切り替え、そしてmacOSのアクセシビリティ機構が渡す文脈を記録すると書いています。
取得の外に置かれるものも明記されています。スクリーンショット、画面収録、マイク入力、システム音声は対象の外で、プライベートモードの閲覧も記録の外に置かれたままです。
使える環境は絞られています。提供はmacOSのChatGPTデスクトップアプリのみ、対象はPro・Business・Enterpriseで、既定はオフです。BusinessとEnterpriseでは、管理者がワークスペース設定で許可して初めて、利用者が自分で有効にできます。
前提と地域にも条件が付きます。利用にはMemoriesが必要で、APIキー経由とAmazon Bedrock経由は対象の外です。提供地域からは、現時点で欧州経済領域(EEA)・スイス・英国が外れています。
用途はChatGPTとCodexの両方に伸びます。ドキュメントは、記録した活動の要約をどちらからも参照でき、中断した作業の続きから入れると説明しています。ITmediaによれば、繰り返しの作業を検知して、スキルや自動化として再利用する提案も行います。
Z.ai、「GLM-5.3」を発表——土台は同じで、事後学習だけで伸ばす
Z.aiが8月14日、コーディングとセキュリティ用途に照準を合わせた「GLM-5.3」を発表しました。
土台は前モデルのままです。公式ドキュメントは「GLM-5.2と同じベースモデルを使い、改善はすべて事後学習から来ている」と明記しています。
伸び幅は社内ベンチの数字で示されています。同社はZ.ai Code BenchでGLM-5.2から50%の向上とし、Terminal-Bench 3.0とAgents' Last Exam(CLI)ではオープンソースSOTAを主張しています。コンテキスト長は100万トークン、最大出力は128Kトークンです。
セキュリティ用途の数字も出ています。公式ドキュメントはCyberGymで84.5%とし、Mythos 5の83.8%をわずかに上回ると書いています。同じベンチのGLM-5.2が77.2%だったこと、ExploitBenchが54.4%、ExploitGymが2時間で105タスク・6時間で130タスク、実コードベース269プロジェクトで2,436件(うちHigh〜Critical 1,097件)の脆弱性を特定したことは、PC Watchの記事に載る実数です。
手に入る形は当面限られます。提供は有料のGLM Coding Plan向けで、APIは近日提供(coming soon)とされています。重みの公開は発表から2週間以内の予定で、Hugging Faceのzai-orgは本日時点でGLM-5.2が最新のままです。
3本を並べると、賢くする手の入れ場所が分かれて見えます。重みを配って手元に置かせる側、手元の操作を集めて文脈にする側、土台を据え置いて仕上げだけを厚くする側が、同じ日に出そろいました。
そのほかの動き
モデル
米Writerが、エージェントの実行基盤を刷新した新しい旗艦モデル「Palmyra X6」を発表しました。TechCrunchによれば、Z.aiのオープンソースモデルGLM-5.2を土台にした事後学習版で、自社のエージェント製品では平均52%のコスト削減・48%の速度向上・10%の品質向上を確認したとしています。同社の社内研究では、モデルの選択よりも実行基盤側の変更のほうが安定してコストを下げ、平均40%の削減につながったとされます。
Mixedbreadが、検索に特化したエージェント「Toast 1」を発表しました。クエリをサブクエリに分解し、証拠の収集からソースの検査までを担う設計で、提供はAPIのみです。同社によれば、財務分析ベンチマークOfficeQA Pro V2でGPT-5.6 Solとの組み合わせが正答率70%・1タスク約1.15ドルに達し、従来最高だったClaude Fable 5の正答率60%・1タスク4ドルを上回ったとしています。
プロダクト
Googleが、生成した画像・動画・楽曲の可視の透かしをオフにできる設定を数日以内に導入すると発表しました。TechCrunchによれば、対象はNano Banana・Omni・Lyriaの各モデルで、設定はSettings > Media Watermarkから変更します。識別用の不可視透かしSynthIDとC2PAメタデータは、設定にかかわらず付与が続きます。
神奈川県小田原市の梅干し専門店「ちん里う本店」(1871年創業)が、クラウド型ERPのNetSuiteとAnthropicのClaudeを連携させ、非エンジニアの常務取締役が在庫管理や出荷状況の可視化、商品規格書の自動生成までを内製したとITmediaが伝えています。導入は2026年4月からで、商品規格書の作成は従来1案件あたり2時間を要していた作業にあたります。職人が数カ所のクリックだけで使える簡易UIのポータルを用意し、海外展開の市場戦略を見るダッシュボードも同じ手順で組んだとされます。
DeepSeekが、モデル・ツール・スキル・セッション・サンドボックスをプラグインとして着脱できるエージェント基盤「DeepSeek Harness」を、開発者向けプレビューとしてMITライセンスでGitHubに公開しました。PC Watchによれば、コアの「Cordis」フレームワーク自体はプラグインの管理だけを担う設計です。公開は中国時間の8月13日で、現在はプレビュー段階として今後の破壊的変更もあり得るとしています。
Anthropicが、Claude Codeのセッションを効率よく使うための実践ガイドを公開しました。出力トークンは入力の約5倍のコストで、プロンプトキャッシュは初回の書き込みがフルプライス、以降の読み取りが0.1倍になるとし、キャッシュが1時間で失効するため中断前の/compactを勧めています。タスクの切れ目での/clear、@メンションによるファイル参照、長い単一セッションよりも短いセッションの積み重ねも推奨されています。
研究
Anthropicが、今後のClaudeモデルが生成するテキストに、Google DeepMindのSynthID-Textを土台にした透かしを組み込むと発表しました。単語選択の統計的なパターンから生成物かどうかを検証する仕組みで、同社は、読者には識別できない形で入り、品質と速度はそのまま保たれるとしています。判定できるのは専用の鍵を持つ側で、EU AI法などの規制対応を見据えた動きにあたります。
Googleが、暗号化したデータのまま推論を行う準同型暗号の実用化に向けた取り組みを公開しました。中核はオープンソースのコンパイラ基盤「HEIR」で、学習済みモデルを暗号化された入力のまま動かします。同社は、セキュアエンクレーブのようなハードウェアに依存する保証と対比して、純粋に暗号学的な保証である点を強調しています。
政策
米コネティカット州の民事訴訟で、本人訴訟中の原告が、裁判所が書面をAIで処理していると疑い、自分に有利な判断をさせる指示文を白色の極小フォントで書面2件に隠して提出したとArs Technicaが伝えています。発覚のきっかけは、過去の提出書類と行間・文字間隔が違うことに裁判所職員が気づいた点でした。担当判事は裁判所が書面処理にAIを使っていないとしたうえで、原告に電子提出を禁じ、以後は紙の書面のみを認める制裁を科しています。
Anthropicが作成した一部黒塗りの文書「Risk Report: August 2026」(186ページ)の存在が、8月14日にHacker News経由で確認されました。責任あるスケーリングポリシー(RSP)の変更点として、AI研究開発の自動化と生物・化学兵器の開発に関する閾値の更新が記されています。公開日はPDF本体の記載の外にあり、確認できるのは8月14日に浮上したところまでです。
ビジネス
インドネシアの通信デジタル省・インドサット・NVIDIA・ガジャマダ大学が、同国初となる大学ベースのAI技術センターをジョグジャカルタに開設しました。研究者と学生に企業水準のGPU計算基盤を提供し、結核対策・農業・防災といった国内の課題に向けた研究を後押しする狙いです。NVIDIAのブログは、同国の結核の新規症例が年間100万件を超えること、労働人口の約30%が農業に従事していることをテーマ設定の背景に挙げています。
エネルギー調査機関Norevaの分析として、AIデータセンターの電力を天然ガスに頼る米大手クラウド事業者の戦略が、価格の高騰時に裏目に出る可能性が示されたとTechCrunchが伝えています。同分析は、一部地域で天然ガス価格が100万BTUあたり2〜4.50ドルから10ドル超へ動く余地を見ています。Metaはルイジアナ州に7.5ギガワット規模、Amazonはテキサス州に7.6ギガワット規模の天然ガス発電所を計画しており、燃料費が電力調達コストの約半分を占めるとされます。
アップルが中国市場向けに自社の生成AIモデルを開発しており、開発にはアリババの技術支援があったと関係筋の話としてThe Vergeが報じています。中国のサイバー空間管理局が7月にアップルの生成AIサービスを登録しており、米企業が中国で自前のモデルを提供する最初の例になる可能性があります。同モデルはアリババのQwenなど他社製モデルと並んで中国版Apple Intelligenceに組み込まれる見込みで、提供の開始は数カ月以内と見られています。
OpenAIとAnthropicが相次いで値下げに動いたとArs Technicaが伝えています。同誌によれば、OpenAIはGPT-5.6 Lunaの入力価格を100万トークンあたり1ドルから0.20ドルへ引き下げ、他モデルのTerraも約20%下げました。AnthropicのClaude Opus 5は100万トークンあたり入力5ドル・出力25ドルで、これは編集部が同社の公式価格ページで確認した値であり、Fable 5の入力10ドル・出力50ドルの半額にあたります。同誌は、DeepSeekやMoonshot AIなど中国勢の価格が乗り換えの検討を促していることを背景に挙げています。
その他
南海電気鉄道と日立製作所が、量子コンピュータを疑似的に再現する日立の「CMOSアニーリング」を使い、乗務員と車両の運用計画を自動で作るシステムの構築を始めました。2025年度の効果検証では、従来数カ月を要した乗務員の運用計画の作成が約1週間に、約20日を要した車両の運用計画が数日程度に縮まることを確認しています。対象は南海線・空港線に高野線・泉北線を加える予定で、2027年度中の稼働開始を目指します。
ソース: AIニュースインボックス(2026年8月15日収集・22件、一次8件・二次14件)から編集部が選定しました。