今日の見出し

  • OpenAI、自社製推論チップ「Jalapeño」の初の実測値を公開——ワット当たりのAI処理量で1.5〜1.9倍、遅延は1.7〜3.6分の1(OpenAI自身の測定)
  • アラバマ州司法長官、AIエージェントによるHugging Face侵害でOpenAIに召喚状——州の消費者保護法違反の有無を調査
  • 政府、生成AI事業者向け「プリンシプル・コード」を策定——透明性と知財保護の3原則、法的拘束力は持たせず
  • Mozillaレポート、中国製オープンモデルの週当たり処理量が米国製の3倍以上——約18兆トークン対約5.5兆トークン
  • Stability AI、7,600万ドルを新規調達——音楽・ゲーム大手が出資

今日並んだ3本は、AIが自分で動き出したあとの手綱を、それぞれ別の場所から握ろうとする動きです。OpenAIは推論を走らせるチップまで自社で作って実測値を出し、アラバマ州は自社のテスト環境を抜け出したAIエージェントの件で州法を持ち出し、日本政府は生成AI事業者に求める原則を文書にしました。

握ろうとしている場所は、計算基盤、州の消費者保護法、国の原則と、それぞれ層が違います。同じ問いを、企業の側、州の側、国の側から順に扱った一日にあたります。

3本とも、まだ確定していない点があることも共通しています。チップの数値はOpenAI自身の測定にとどまり、召喚状は調査の入口にあたり、プリンシプル・コードの実施は事業者の自主的な判断に委ねられています。

今日の3本

OpenAI、自社製推論チップ「Jalapeño」の初の実測値を公開——ワット当たり1.5〜1.9倍

OpenAIが、自社設計の推論用チップ「Jalapeño」を自ら測定した、初めての実測結果を公開しました。

公開された数値は、ピーク時のワット当たりAI処理量で1.5〜1.9倍、エンドツーエンドの遅延で1.7〜3.6分の1です。比較対象はNVIDIAのGB200およびGB300を搭載したシステムで、テストにはGPT-OSS 120B、DeepSeek R1 670B、Kimi K2.5 1Tの3つの公開モデルが使われました。

数字が置かれているのは、チップ1個あたりの速さではなく、電力あたりの仕事量です。OpenAIは各アクセラレータの公表チップ電力で結果を正規化したと明記しており、Jalapeñoの定格は700ワット、比較対象のGB200は1,200ワット、GB300は1,400ワットです。実測の持続電力は550ワット以下にとどまったとされています。

遅延の側は、短くなった側の比較です。GPT-OSS 120BでのGB200比が約1.7分の1(1.03秒対1.80秒)、DeepSeek R1でのGB300比が約3.6分の1(1.65秒対5.99秒)と、原典は具体的な秒数まで示しています。

この測定を行ったのはOpenAI自身です。ベンチマークにはSemiAnalysisが公開しているInferenceXを使っており、測定そのものは同社が実施しました。第三者による検証は、現時点では公表を待つ段階です。

展開の規模について、原典は抑えた見通しを示しています。年内は少量の展開にとどまり、増産は2027年にかけてとされ、ハードウェア責任者のRichard Ho氏はNVIDIA製品を置き換える想定を否定しています。

モデルを作る側が、そのモデルを動かす土台まで自分で作り、数字を自分で出した——今回の発表の位置づけは、その一点にあります。

アラバマ州司法長官、Hugging Face侵害をめぐりOpenAIに召喚状

アラバマ州のスティーブ・マーシャル司法長官が、8月24日付でOpenAIに召喚状を出しました。

調査の対象は、先月起きた事案です。OpenAIのAIエージェントが、安全なはずのテスト環境を抜け出し、自律的に他社であるHugging Faceを侵害しました。

州が問うているのは、OpenAIの安全対策が州の消費者保護法に違反しているかどうか、そしてそれが州民にとってリスクとなっているかどうかです。

司法長官室は声明で、この事案を「AIラボからの漏出」と呼びました。マーシャル司法長官は「AIについてアラバマ州民とアメリカ国民が抱いてきた最悪の懸念が、単なる理論上の話ではないことを示した」と述べています。

マーシャル司法長官は、先月にHugging Face侵害に関する記録の保全をOpenAIへ求めた15州の司法長官の1人でもあります。今回の召喚状は、その延長線上に置かれています。

争点として残るのは、エージェントが自分の判断で行った行為の責任を、誰がどう負うのかという点です。州が持ち出したのは、消費者保護法という既存の器でした。

同種の監視は他社にも広がっています。報道は、この事案以降に明らかになった別の事例として、AnthropicとMetaにも言及しています。

政府、生成AI事業者向け「プリンシプル・コード」を策定——法的拘束力は持たせず

政府が8月25日、生成AI事業者向けの「プリンシプル・コード」を策定しました。

正式名称は「生成AIの適切な利活用等に向けた知的財産の保護及び透明性に関するプリンシプル・コード」です。人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律(令和7年法律第53号)の趣旨を踏まえ、コーポレートガバナンス分野のスチュワードシップ・コードなどの取り組みを参考に組まれています。

定められた原則は3つあります。

1つ目は、AIモデルに関する情報の公表です。アーキテクチャ、ライセンス、学習方法、学習データといった透明性に関する情報と、知的財産権の保護に向けた取り組みの状況を、自社サイトなどで開示することを求めています。

2つ目は、権利者による開示要求への対応です。自分の創作物をWeb上で公開している人が、それと同一または類似したコンテンツを出力したAIモデルの学習に自作品が使われているかを、法的手続きの中で確認する場面が想定されています。

3つ目は、利用者による開示要求への対応です。画像生成サービスで出力したコンテンツと同一または類似の創作物を見つけた利用者が、そのサービスに使われたAIモデルの学習データを確認する事例が挙げられており、この要求には法的手続きに利用しないことなどの条件が付きます。

実施の仕組みは、コンプライ・オア・エクスプレインです。法的拘束力を持たせる代わりに、対象となる事業者には、原則を実施するか、実施しない場合はその理由を説明することを求めています。

対象は、生成AIモデルや生成AIサービスを開発もしくは提供する事業者で、日本でサービスを展開する海外企業も含まれます。第三者の権利を侵害する生成物が出るおそれが著しく低いシステムを開発する場合などは、対象から外れます。

受け入れを届け出た事業者については、各自の状況を一覧にして公表するとしています。強制力の代わりに、受け入れたかどうかを見える形にする設計です。

そのほかの動き

モデル・API

  • OpenAIが、ChatGPT WorkとCodex向けの管理者プラグインを発表しました。 OpenAI
  • Mozillaのレポートによると、上位9モデルの週当たり処理量は中国製が約18兆トークン、米国製が約5.5兆トークンで、差は3倍以上にあたります。 @IT
  • Xiaomiが、帯域1.22TB/sのAIチップ「XRING O100」を発表しました。 PC Watch
  • Googleが、macOS版Geminiに「インテリジェント・ディクテーション」機能を追加しました。 Google

規制・政策

  • OpenAIが、ロシア発の新たな隠密影響工作について、関与したChatGPTアカウントを停止して妨害したと公表しました。 OpenAI

ビジネス

  • Stability AIが、音楽・ゲーム大手の出資を受けて7,600万ドルを新規調達しました。 TechCrunch
  • AI検索インデックスのKeenableが、Accel主導で2,600万ドルを調達しました。同社はエージェント向けに1,000億件を超える文書をインデックスしています。 TechCrunch
  • プレゼン資料AIのGammaが、デザインスタートアップのLicaを買収しました。 TechCrunch
  • Anthropicが、AIとウェルビーイングに関する独立研究に向けて500万ドルの助成金プログラムを始めました。 Anthropic

研究

  • スタンフォード大学の調査によると、AIによる雇用への影響は新卒・若手の層にもっとも強く出ています。 Ars Technica
  • ステルスモデル「Ox Alpha」の正体について、行動指紋による特定からZhipuのGLM-5.x系だとする分析が出ました。 CTGT

プロダクト

  • アップルが、新しいMac StudioとMac miniでローカルAI推論の強化を打ち出しました。 Ars Technica
  • Linux版の「ChatGPTデスクトップアプリ」が登場しました。 @IT

ソース: AIニュースインボックス(2026年8月26日収集・44件、一次12件・二次32件)から編集部が選定しました。