今日の見出し

  • OpenAI、ChatGPT広告が年換算売上10億ドルのペースに到達——自己申込の出稿をインド・欧州・中東・北アフリカへ開放
  • 欧州委員会、ChatGPTをDSAの「超大規模オンライン検索エンジン」に指定——Reddit・RobloxはプラットフォームとしてVLOP
  • DeepSeek、V4系で初のマルチモーダル実験モデルをMITライセンスのオープンウェイトで公開
  • NVIDIA、MediaTekに35億ドルを出資——カスタムAIチップをNVLinkで自社基盤に取り込む
  • Claude Codeの週次上限、9月14日に恒久で25%増——ただし現状比では約17%減

今日の3本は、いずれもChatGPTを軸に並びます。同じ製品が、広告で稼ぐ側、検索エンジンとして規制される側、そしてオープンウェイトに追われる側という三つの立場に、一日のうちで置かれました。

1本目は、稼ぎ方の話です。OpenAIは無料で使える枠を支える収益の柱として広告を位置づけ、出稿の窓口を新しい地域へ開きました。

2本目は、置かれる箱の話です。欧州委員会は、ウェブを検索して答えるという振る舞いに着目し、ChatGPTを検索エンジンの側に分類しました。

3本目は、追われ方の話です。DeepSeekが公開した重みは、視覚を伴うエージェント課題の一部でクローズドのフロンティアモデルを上回る値を、自らのモデルカードに載せています。

稼ぐ側・規制される側・追われる側は、ふつう別々の企業に割り当てられます。それが一日のうちに一つの製品へ重なったところが、この火曜の特徴です。

今日の3本

1. OpenAI、ChatGPT広告が年換算売上10億ドルのペースに到達——自己申込の出稿をインド・欧州・中東・北アフリカへ開放

OpenAIは8月31日、ChatGPT内の広告事業「ChatGPT Ads」が、公開から200日足らずで年換算売上高10億ドル(annualized revenue run rate)のペースに達したと公表しました。

この数字の性格を先に押さえます。年換算売上高とは、足元の売上ペースを1年に引き伸ばした値です。1年かけて実際に積み上がった売上とは別の数字ですので、読むときはこの区別が要ります。

同じ発表で動いたのは販路です。OpenAIは、Ads Manager経由の自己申込による出稿を、同日中にインド・欧州・中東・北アフリカで開始すると書いています。

これまでの出稿はOpenAIの営業チームと代理店・パートナー経由が中心で、5月に導入したAds Managerで中小企業に窓口が開きました。提供国は40カ国超、技術・計測パートナーは50社超で、CPCと成果最適化の入札が案件の過半を占め、PixelとConversions APIが計測の土台になっているとしています。

成果として挙がっている数字は、いずれも個別の事例です。28日間でROAS3倍というのはあるeコマース広告主の例、広告経由トラフィックの8割超が新規顧客というのはあるテクノロジーパートナーの報告で、一社ずつの実績にあたります。プラットフォーム全体の平均として読むと、数字を実際より広く取ることになります。

論点は、無料版の原資が広告になったことです。OpenAIは広告を、消費者向けサブスク・法人向け・従量課金APIと並ぶ収益の柱の一本と位置づけ、週間10億人超の利用者に無料枠を保つための支えだと説明しています。

あわせて、広告は回答と分離して常に明示される、広告は回答内容に影響しない、広告主は個人の会話にアクセスできない、と明記しています。この部分は各社が自社の物差しで検証するところで、いまの段階の担保は提供者側の宣言です。

本紙8月28日号では、ChatGPTの無料版とGo版でインド向けの広告配信が始まったことを扱いました。今日の発表は、そのインドが配信の開始から自己申込の開放へ進んだ、という続きにあたります。

2. 欧州委員会、ChatGPTをDSAの「超大規模オンライン検索エンジン(VLOSE)」に指定——Reddit・RobloxはVLOP

欧州委員会は8月31日、ChatGPTをデジタルサービス法(DSA)上の超大規模オンライン検索エンジン(VLOSE)に、RedditとRobloxを超大規模オンラインプラットフォーム(VLOP)に指定しました。

指定の入口は自己申告です。EU域内の月間平均利用者数が4500万人以上という閾値に達したと、3つのサービスが申告したことによります。

分類の理屈がこの件の芯です。委員会はChatGPTを、利用者のプロンプトや問い合わせに応答し、その過程でウェブを検索するハイブリッドなサービスと説明し、DSA上はオンライン検索エンジンに当たると結論づけました。

RedditとRobloxは、第三者のコンテンツを公衆に流通させる点でオンラインプラットフォームです。同じ生成AIのチャットに見えても、ウェブ検索を伴うかどうかで乗る箱が変わります。自社サービスの位置づけを考えるうえで、ここは直接効きます。

期限は4か月、つまり2027年1月までです。この間に、違法コンテンツの流通・未成年への悪影響・利用者の心身の健康・基本権・選挙プロセス・公共の安全に関わるシステミックリスクの評価と緩和という追加義務を履行する必要があります。

今日の段階で決まったのは指定までで、追加義務の履行期限は2027年1月に置かれています。委員会は指定によって、サービスの機能そのものを調べる調査権限を得ます。

監督は委員会と各国のデジタルサービス調整官の共同で行われます。ChatGPTとRedditはアイルランドのCoimisiún na Meán、Robloxはオランダの消費者市場庁(ACM)が相手方です。DSAの指定は、これで累計28件になりました。

3. DeepSeek、V4系で初のマルチモーダル実験モデルをMITライセンスのオープンウェイトで公開

DeepSeekは8月31日、DeepSeek-V4ファミリーで初のマルチモーダル(視覚言語)実験モデル「DeepSeek-V4-Flash-Vision-Exp」の重みを、MITライセンスのオープンウェイトとしてHugging Faceに公開しました。

パラメータ総数は約3050億で、重みはfp8とint8で配布されています。Hugging Face上の作成は同日6時16分(UTC)、最終更新は12時23分です。名前に付くExpはexperimental、つまり実験公開を指します。

モデルカードが自らOpus-4.8と並べているところが、この公開の性格をよく表しています。上回っているのは4項目のうち2項目で、マルチモーダルのエージェント課題であるAgents Last Examが27.3(Opus-4.8は25.7)、ZeroBench Pass@5が35.0(同34.0)です。

下回っているのも2項目あります。Terminal Bench 2.1が83.9(同85.0)、ApexBench Pass@1が36.5(同39.4)です。2項目で上、2項目で下という並びですので、全面的に肩を並べたと読むと、実際より広く取ることになります。

テキストのみのエージェント課題では、前版のDeepSeek-V4-Flash-0731と同等を保ったと説明しています(DeepSWEが59.3対54.4、Toolathlon-Verifiedが75.9対70.3)。ここまでの数字は、すべてモデルカードの比較表から取っています。

意味があるのは、視覚を伴うエージェント用途でMITライセンスの重みが選択肢に入ったことです。画面やドキュメントを見て操作する種類の自動化を、社外のAPIに出さずに自社で回したい組織にとっては、検討の土俵が一段広がります。

そのほかの動き

規制・政策

  • ソニー・ミュージック等によるAnthropic提訴で、社内チャットが証拠として引かれています。本紙8月30日号のトップと同じ案件で、今日の新規要素は、訴状が引く社内チャット(海賊版図書館のミラー取得をめぐる「zlibrary my beloved」という応答)と、共同創業者ベンジャミン・マン氏とダリオ・アモデイCEOが個人としても被告に加わった点です。いずれも訴状の主張であり、認定された事実はここに含まれません。 — “Zlibrary my beloved”: Anthropic staff chats extolling piracy cited in Sony suit(Ars Technica)
  • Debianが、AI生成コードを禁止しない方針を投票で採択しました。開示は推奨にとどめ、義務にはしていません。オープンソースの受け入れ側が「禁止せず、基準は同じ」と決めた事例として、社内のコード提供ポリシーを書くときの参照になります。 — Debian won't ban AI code from its Linux distribution(The Verge)
  • Instagramが、未開示のAI生成プロフィールのリーチを制限します。ラベルは「AI creator」から「AI-generated profile」に改称されました。ラベルを付ければ罰は無く、付けないと届かなくなる設計で、写真編集やキャプション作成といった通常のAI利用は対象外です。 — Instagram puts new limits on undisclosed AI profiles(TechCrunch)
  • ニューヨーク州のホークル知事が、データセンター1年凍結の背景を語りました。セントローレンス郡だけで係属中の申請5件が原子炉1基分の電力需要になると説明しています。あわせて、州政府側は規則の総点検にAIを使い、最初の50件で150万時間超を削減したと述べています。 — New York Governor Kathy Hochul thinks AI should be 'less evil'(The Verge)
  • 米著作権局長の解任をめぐる訴訟で、控訴審のブリーフが8月31日付でドケットに載りました。生成AIの学習利用を扱った著作権局報告書Part 3の公表翌日に解任された経緯を、ブリーフが引いています。本紙はドケット本体を取得できておらず、根拠は検索フィードが返したブリーフ本文の抜粋までです。 — Shira Perlmutter v. Todd Blanche(CourtListener)

ビジネス

プロダクト・機能

研究・技術

  • AIが挙げた存在しない病名を、研修医の44%が信用したという検証が出ました(仏リール大学病院ほか)。41人中18人が架空の病名「ニューロカドミウム症」を鑑別診断に組み込んでいます。神経放射線の経験6か月以下では69%が騙され、6か月超は全員が見抜きました。同じAI支援で診断精度自体は52%から61%へ上がっており、便益と脆弱性が同じ道具から同時に出ています。 — AIが生成した“存在しない病名”、研修医の44%が信用(ITmedia NEWS)
  • 中小企業の87.7%が生成AIへの機密情報入力に強い不安を持つ一方、技術的対策を講じているのは11.4%にとどまる、という調査が出ました。ヤマネックス株式会社によるPR TIMES発の自社調査(n=114)で、同社は9月2日に社内AI環境「ぶちAI」シリーズを提供開始します。別調査では、中国地方5県のIT導入関係者150人のうち43.3%が「AI・DXを推進できる人材・体制が社内外ともにない」と回答しました。いずれもnが小さいベンダー調査ですので、水準よりも傾向として読むのが安全です。 — 【調査】生成AIを使う中小企業の87.7%が機密情報の入力に「強い不安」も、技術的対策は11.4%(ASCII.jp)

ソース: AIニュースインボックス(2026年9月1日収集・25件、一次4件・二次21件)から編集部が選定しました。