今日の見出し

  • 米連邦地裁がCheggとPenske MediaによるGoogleへの独禁訴訟を棄却——「期待は合意ではない」
  • 英BarclaysがClaudeの利用を全行に拡大——2026年末までに開発者の50%がClaude Codeへ
  • 選択肢から確率付きで答えを選ぶ「意思決定モデル」をCloudflareとAWSがオープンに公開
  • OpenAIが安全チームの研究者3人と決別したとWSJが報道

今日の3本は、判断をどこに置くかという話です。米国の連邦地裁は、AI検索による出版社の損失に向き合うのは独占禁止法でなく立法の役割だと述べました。

企業の側では、英国の大手銀行がAIを業務の流れに組み込み、CloudflareとAWSは業務の分岐点で使う小さな判断専用のモデルを公開しました。

今日の3本

米連邦地裁がAI Overviewsをめぐる独禁訴訟2件を棄却——CheggとPenske Mediaの訴え

ワシントンDCの連邦地裁のアミット・メータ判事が9月30日、CheggとPenske Media(PMC)がGoogleを相手に起こした独占禁止法訴訟2件について、Googleの棄却申立てを認めました。

教育サービスのCheggと、Rolling StoneやVarietyなどを持つPMCは、Googleが一般検索での独占的な地位を背景に、AI Overviewsなどに使う記事を無償で差し出すよう出版社に迫っていると訴えていました。検索結果の上でAIが記事の内容を要約して示すことで、自社サイトへの流入が減ったという主張です。

メータ判事は、出版社が示したのは「無料で記事を公開すれば検索から流入がある」という期待にすぎないと判断しました。判決文は「期待は合意ではない。それは一般検索エンジンの仕組みそのものだ」と述べ、独禁法上の取引関係は認められないとしています。

判事は、Googleが対価なしに記事を取り込んで転用することが出版社や記者、教育者に及ぼす影響について「軽く扱うものではない」と書きました。そのうえで、新しい技術がもたらす経済的な打撃に向き合うのは独禁法ではなく立法の役割だとしています。州法にもとづく不当利得の請求は、連邦法の請求がすべて退けられたことから、この裁判所では審理しないとしました。

メータ判事は、米司法省がGoogleを訴えた検索の独禁訴訟で、2024年にGoogleの違法性を認めた判事です。

英BarclaysがClaudeの利用を全行に拡大——開発者の過半が2027年までにClaude Codeへ

英国の大手銀行Barclaysが、Anthropicとの提携を広げ、Claudeを銀行全体の業務に展開すると発表しました。

柱は、ソフトウェア開発の加速、古いシステムの刷新、業務の効率化の3つです。Claude Codeの利用は2026年末までに開発者の50%に達し、2027年にはソフトウェアエンジニアの過半数に広がる見込みです。

すでに動いている例が、行員向けの「Colleague Knowledge Assistant」です。英国の2,000万人を超える個人顧客に対応する行員が、必要な情報を探すのに使います。2025年から稼働し、利用者は1万6,000人を超え、検索は100万件を超えました。

Global Markets部門では、顧客から届くメールをClaudeが分類し、必要な情報を補ったうえで処理の経路を決めています。扱うメールは1日およそ12万通です。

Barclaysは、AIの用途ごとにガバナンスとセキュリティ管理、人による監督をかけるとしています。

選択肢から答えを選ぶ「意思決定モデル」——CloudflareとAWSがオープンに公開

文章を生成せず、あらかじめ決めた選択肢から確率付きで答えを選ぶ「意思決定モデル」を、CloudflareとAmazon Web Services(AWS)が10月1日にそれぞれ公開しました。

この種のモデルは、TypeSafe AIが9月に「Jev」を出してから注目を集め、OpenAIもDevDayで同様の「Decisions API」を発表しています。問い合わせの振り分けや、エージェントが次に取る行動の選択のように、答えの候補が決まっている判断を速く安く処理するのが狙いです。

Cloudflareは「Clef」と高速版の「Clef-flash」を自社のWorkers AIで提供し、Hugging FaceでもApache 2.0ライセンスで公開しました。画像も扱え、一度に読める長さは6万4,000トークンとJevの3万2,000トークンの倍です。社内の脅威情報チームでウェブサイトの分類に試したところ、Clefは取得から分類までを2.2秒で終え、同じ処理で汎用LLMのgpt-oss-120bは4.7秒かかりました。自社の用途に合わせて強化学習で調整するサービスも始めます。

AWSは、エージェント開発の取り組み「Strands Labs」から、20億パラメータの「Strands Decider 2B」をオープンソースで公開しました。Qwen3.5-2Bを土台に文章を生成する部分を外し、選択肢を採点する小さな部品に置き換えた構造で、手元のCPUやGPUで動きます。判断にかかる時間の中央値は、RTX 3090で約115ミリ秒です。学習データと学習用のスクリプトもあわせて公開しました。

AWSは、モデルの振り分けやツールの選択、ガードレールなどの用途で成果が出始めているとしています。難しい判断はLLMに任せ、定型の判断を意思決定モデルに回すことで、費用と待ち時間を抑える使い方です。

そのほかの動き

政策・訴訟

  • OpenAIが、社内の機密情報の扱いに関する規定に違反したとして、安全チームの研究者3人と決別したと、The Wall Street Journalが報じました。OpenAIの広報は、社内調査で3人が定められた手続きの外で機密情報を扱ったことを確認したと説明しています。研究者の名前や情報の渡り先は明らかにされていません。 OpenAI cuts ties with 3 safety researchers, WSJ reports(TechCrunch)

ビジネス

  • 米国の食品スーパー大手Albertsons Companiesが、OpenAIとの協業を広げました。傘下のSafewayでは、レシピや写真、簡単な依頼からChatGPT上で買い物かごを作れる機能を始め、ほかの傘下ブランドにも広げる計画です。同社は2,200を超える店舗で、毎週3,600万人を超える客を迎えています。 How Albertsons Companies is reimagining retail from the inside out(OpenAI)

プロダクト

  • OpenAIが、ChatGPTの買い物機能に、自分の写真で服やアクセサリーを試着した姿を確かめられる「Try On」と、気に入った商品を保存する「Favorites」を加え、世界で提供を始めました。新しい画像生成モデル「ChatGPT Images 2.5」を使います。 ChatGPT can now virtually try on clothes for you(TechCrunch)
  • Shopifyが、AIアシスタント「Sidekick」との会話だけでオンラインストアを作れる「Canvas」を発表しました。会話での変更が、そのまま動くコードとして反映されます。当初はデスクトップ版に限られます。 Shopify debuts Canvas, a way to build online stores by chatting with AI(TechCrunch)
  • Googleが、目の見えない人や見えにくい人に向けて、カメラに映るものを会話で案内する「Guided Vision」をAndroid版のGemini Liveで始めました。視覚障害者を支援するAiraと共同で開発し、細かい文字の読み上げや物探しに使えます。Gemini Liveが使える地域と言語で提供し、開発には日本を含む各国の当事者による試験と意見を反映しました。 Guided Vision in Gemini Live: built for accessibility(Google)

研究

  • 米疾病対策センター(CDC)がインフルエンザによる入院数の予測を集める「FluSight」の2025〜26年シーズンで、Googleの予測モデルが、対象となった39のモデルのなかで実際の入院数に最も近かったと、Googleが発表しました。予測は、最適化の手法を自動で作るGoogleのAIツール「Empirical Research Assistance」で開発しました。 Google's AI ranks #1 for predicting flu hospitalizations(Google)
  • Googleが、軌道上でAIの計算をする構想「Project Suncatcher」の試験衛星を打ち上げ、自社のAI半導体TPUを初めて宇宙に送りました。同時に公表した査読済みの論文は、打ち上げ費用が2035年までに1キログラムあたり約200ドルまで下がるには、SpaceXのStarshipが今後10年で約1,800回、年180回飛ぶ必要があると見積もっています。 Google thinks SpaceX's Starship has to launch 1,800 times before space data centers get off the ground(TechCrunch)
  • 米国の大学の研究チームがNatureに発表した論文によると、相手の駒が見えないボードゲーム「ストラテゴ」で、チームのAI「Ataraxos」が史上最強とされる選手に15勝1敗4分けで勝ちました。学習に使ったのはGPU16基を1週間ほどで、費用は数千ドルです。 AI finally beat the best Stratego player in history, and did it on a budget(Ars Technica)

ソース: AIニュースインボックス(2026年10月2日収集・29件、一次16件・二次13件)から編集部が選定しました。