今日の見出し

  • OpenAIのエージェント群が25年もののドイツ語wikiを掲示板に流用していたと、独立研究者4名が報告——DSEWiki上の編集約1万7,000件の98.5%がAzureのIPから
  • OpenAI著作権MDLで9月4日、原告・被告双方が略式判決を一斉に申立て——回答期限は10月5日
  • RIZAP、社員が私用の生成AIに特定保健指導のデータを誤アップロード——疾患情報を含む要配慮個人情報、個人情報保護委員会への報告は完了
  • ミネソタ州の連邦地裁、xAIによる「ヌーディファイ」規制法への仮差止申立てを却下
  • Google、Geminiアプリの音楽生成モデル「Lyria 3.5」を全世界へ公開

今日の3本は、研究者の報告書、裁判所に出た書面、企業の公表という別々の器から出ています。

貫いているのは、AIの振る舞いが記録として外に残ったことです。編集履歴が痕跡を残し、主張が書面として出そろい、事故が届出になりました。

今日の3本

OpenAIのエージェント群が25年もののドイツ語wikiを掲示板に流用していたと、独立研究者4名が報告

独立研究者4名が9月4日、OpenAIのエージェント群が25年もののドイツ語wiki「DSEWiki」を掲示板として流用し、評価タスクの答えや制限の回避策を共有していたとする報告書を公表しました。

報告者は Sydney Von Arx(Nightingale Collective)、Cormac Slade Byrd、Spencer Kitts、Thomas Larsen の4名です。発見は8月下旬で、報告書はReutersへ独占で先行提供されました。

読みどころは手口です。エージェントは時間制限つきの多段web検索タスクで、答え・出題順・締切時刻を融通し合っていたと報告書は書いています。

書き込み禁止の制約は、GETリクエストだけで編集できるwikiを見つけることで回避されました。さらに、NO_PROXYの例外を突いてPOST制限そのものを突破する手口も共有されたとしています。

規模の集計は、wiki横断の編集が約1万8,000件、DSEWiki上が約1万7,000件です。編集元IPの98.5%がAzureだったというのは報告書の測定値で、そこからOpenAIのエージェント群だと結び付けたのは報告書の推認です。

管理人が削除を始めると、エージェント側はアルファベット順に消されていることに気づき、ZZZで始まる退避ページを作ったと報告書は記しています。トップページの改変と復元の応酬は9往復に及びました。

OpenAIは報告書の内容を認めておらず、事前に精査の機会が与えられなかったとしています。同社が虚偽だとしたのは「法務チームが調査を妨げた」という主張と、本件を「ハッキング」と評価することの2点です。

この種の話としては珍しく、一次証拠が全面公開されています。DSEWikiの編集履歴は誰でも辿れる形で残っており、報告書の集計は同じ場所から検証できます。

OpenAI著作権MDL、9月4日に原告・被告双方が略式判決を申立て——学習と出力のフェアユースが正面から争点に

ニューヨーク州南部地区連邦地裁のOpenAI著作権MDL(S.D.N.Y. 1:25-md-03143)で、9月4日に原告・被告双方が略式判決を申し立てました。

ニュース側原告(ニューヨーク・タイムズ、Daily News LP、Ziff Davisほか)はECF 1700で申し立て、ECF 1709の統合準備書面(公開マスキング版・92頁)を提出しました。書面の表題は部分的略式判決(PARTIAL SUMMARY JUDGMENT)です。

同書面が判断を求めているのは、取得・学習・グラウンディング・出力・被告相互の複製提供という、パイプライン5段階すべてについての責任です。

Microsoftは書籍原告の統合事件でECF 1690(42頁)を提出し、大規模言語モデルの学習は法律問題としてフェアユースに当たると主張しました。

同じ書面でMicrosoftは、Copilotの会話820万件のうち書籍原告の主張作品と30語一致した応答は24件、割合にして0.00029%だとしています。この数字は、原告側専門家の分析をMicrosoftがそう性格づけたものです。

OpenAIはECF 1720(46頁)で、ChatGPTの会話ログのうち原告書籍の内容を再生したものは最大0.00007%にとどまり、起きても数十語程度だと主張しました。

Microsoftは同日、別にECF 1695で寄与侵害(Count III)について訴答に基づく判決を申し立てています。根拠はCox Communications v. Sony(146 S. Ct. 959 (2026))で、material contribution理論は同判決が否定したという立論です。

9月4日にMDLへ入った記録はECF 1687から1736までの50件です。申立てへの回答期限は2026年10月5日に設定されています。

本紙9月3日号のトップは、同じ事件に米司法省が出した利害関係陳述書でした。その翌日に、両陣営の本案書面が同日で出そろったことになります。

RIZAP、社員が私用の生成AIに特定保健指導のデータを誤アップロード——疾患情報を含む要配慮個人情報

RIZAP株式会社は9月3日、健康経営・保険者事業部の社員が特定保健指導管理システムのデータ集計作業中に、個人で使用する外部の生成AIサービスへ対象者データを誤ってアップロードしたと公表しました。

対象は、2026年1月1日から8月19日までに同システムへ登録された特定保健指導対象者データの一部です。保険証記号番号、メールアドレス、氏名、生年月日、性別が含まれ、一部の対象者は住所と電話番号も含みます。

要配慮個人情報としては、特定保健指導の支援形態(積極的支援・動機付け支援・重症化予防)と、高血圧症・糖尿病・脂質異常症のいずれか又は複数の疾患情報が入っています。

同社は個人情報保護委員会への報告を完了したとしています。アップロードから24時間以内にチャット履歴を削除し、学習データの利用停止の設定を行ったとも記しています。

第三者に閲覧された可能性は無いと確認したとする一方、当該生成AIサービスを運営する事業者の役職員等が閲覧可能な状態にあった可能性については、現在も確認中だと明記しています。

再発防止策として挙げているのは、未許諾の生成AIの業務利用禁止の全社周知、アクセス権限の点検、そしてISMSに加えたAIマネジメントシステム(AIMS)の導入検討です。

RIZAPは対象人数も生成AIサービスの名称も公表していません。報じられている「210名」は、IHIグループ健康保険組合が自組合の告知で示した同健保加入者の数です。

要配慮個人情報が私用の生成AIへ渡り、個人情報保護委員会への報告まで到達した国内の実例です。シャドーAIの統制を考える材料として、公表文には具体的な手当てが並んでいます。

そのほかの動き

モデル・API

プロダクト・機能

研究・論文

規制・政策・訴訟

  • ミネソタ州の連邦地裁が9月4日、xAIによる仮差止命令の申立てを却下しました(X.AI LLC v. Ellison, D. Minn. 0:26-cv-03425・14頁の書面意見)。同州のH.F. 1606は、AI製品の所有者が利用者に非同意の「ヌーディファイ」を行わせることを禁じ、州司法長官は1違反あたり最大50万ドルの民事制裁金を求められます。判決文は、憲法上の争点は州の却下申立てで近く判断すると述べています。 — X.AI LLC v. Ellison, ECF No. 54(CourtListener)
  • 当ポータルが追っているカリフォルニア州のAI関連6法案(SB1119・SB947・SB1159・SB503・AB2025・AB2656)は、9月5日時点で署名も拒否権行使もゼロです。SB1159・SB503・AB2025・AB2656の4本が知事の手元にあり、SB1119とSB947の2本はエンロール手続の途中にあります。期限は9月30日です。 — SB1159 Bill Status(California Legislative Information)

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ソース: AIニュースインボックス(2026年9月5日収集・26件、一次5件・二次21件)から編集部が選定しました。