今日の見出し

  • イリノイ州北部地区連邦地裁がGoogleの却下申立てを一部棄却——AI Overviewsの記述4件のうち2件が審理へ
  • マイクロソフトAIが「ヒューマニストAI行動規範」の草案を公開——法人格の追求とウェルフェア・権利の付与を拒むと明記
  • アップルがiOS 27・iPadOS 27・macOS 27を配信開始——Siri AIは英語ベータで日本語は10月
  • イーロン・マスク氏がAppleへの独占禁止法上の請求を全面取り下げ——OpenAIへの請求は維持
  • 減速論をめぐる市場の反応でソフトバンクが一時13.2%安・キオクシアが一時9.8%安

今日の3本は、AIが出した文章の扱いを誰がどこで決めるのか、という一点で並んでいます。

決める場所は3つに分かれました。連邦地裁の法廷と、開発元が自ら書いて公募にかけた文書と、利用者の手元に届いた製品です。

今日の3本

AI Overviewsの名誉毀損訴訟でイリノイ州北部地区連邦地裁がGoogleの却下申立てを一部棄却

イリノイ州北部地区連邦地裁のダーキン判事が9月14日、生成AI要約「AI Overviews」の記述をめぐる名誉毀損訴訟で、Googleの却下申立てを一部棄却しました。

原告はジェームズ・キーン氏です。自身について表示された4件のAI Overviewsが、仮釈放のない終身刑、3人の女性の殺害、薬物密売での有罪、終身刑での服役中という虚偽の犯罪歴を述べたと主張しています。

判断は4件で分かれました。AI Overview 1・2についてはGoogleの却下申立てが棄却され、この2件はプリーディング段階を通過して審理へ進みます。3は実質的に真実であるとして、4は第三者への公表の主張が足りないとして却下されましたが、いずれもwithout prejudiceの扱いで、原告は10月13日まで訴状を修正できます。

Googleの防御は、申立ての段階では退けられました。同社は、AI Overviewsに免責の文言が添えられていると述べています。これに対して裁判所は、その文言は訴状に現れておらず、事実の争点にあたるとしました。

Wikipediaを引用していた点についても、裁判所は判断を示しました。引用元を示しても陳述は意見に変わらない、というのが結論です。

現実的悪意についても、主張は成り立つとされました。キーン氏側は虚偽を3度通知しており、裁判所は、通知を受けながら記述が放置されたという主張で足りると判断しています。

裁判所はWalters v. OpenAI(ジョージア州上級裁・2025年)を明示的に区別しました。生成AIの出力をめぐる名誉毀損の先行例として引かれてきた判断で、そこから今回を切り離しています。

マイクロソフトAIが「ヒューマニストAI行動規範」の草案を公開し6週間の意見公募へ

マイクロソフトAIが9月14日、自社のMAIモデルの振る舞いと価値観を定めた「ヒューマニストAI行動規範」の草案を公開しました。

文書の核心は、AIに何を認めないかの宣言です。「法人格の追求、モデルがウェルフェアに値するという考え、権利を付与されるという考えを拒む」と書き、モデルは「人間に従属し、実質的な人間の監督と制御の下にとどまるべきだ」と定めています。

意識についての規定も置かれました。AIは意識を持たないとしたうえで、意識を模倣する設計を避け、感情・主観的な選好・内発的な動機があるかのように振る舞わないよう求めています。

能力についての立場も書かれています。安全装置を回避しうる汎用の超知能を目指す競争を拒み、汎用性・自律性・能力を犠牲にしてでも安全側に倒す、という書き方です。

文書の位置づけは草案です。マイクロソフトAIは、現時点ではこの文書をモデルの訓練に使っておらず、6週間の意見公募を経て年内に改訂版を出し、2027年以降の開発指針にすると自ら書いています。

アップルがiOS 27を配信開始——Siri AIは英語ベータで提供

アップルが9月14日、iOS 27・iPadOS 27・macOS 27などのソフトウェア更新の配信を始めました。

中心にあるのは「Siri AI」です。次世代のApple Intelligenceを基盤とする新しいSiriで、iPhone・iPad・Mac・Apple Watch・Apple Vision Proに統合されます。

提供の形は言語で分かれます。アップルは、Siri AIをまず英語のベータとして配信し、フランス語・日本語・韓国語・ポルトガル語・スペイン語は10月に加えると告知しています。

機能の軸は文脈の理解です。メッセージ・メール・写真をまたいで個人の文脈を読み、画面に映っているものについての質問に答え、必要なときはウェブを見に行きます。カメラアプリにはSiriモードが入り、Apple Vision Proでは周囲を見ながら検索や操作ができます。

本紙は9月10日の紙面で、日本語版が10月に加わるという告知を扱いました。今回はOS本体の配信にあたります。

そのほかの動き

政策・規制

  • 本紙が9月13日と9月14日の紙面で扱ったアモデイ氏の減速提言について、Ars Technicaが業界各社の反応を総括しました。OSTP(科学技術政策局)・PCAST(大統領科学技術諮問委員会)共同議長のデイビッド・サックス氏は、規制がなければできないふりをやめろ、と反論しています。 AI leaders want to hit the brakes after years of reckless speed(Ars Technica)
  • 欧州委員会のヴィルクネン上級副委員長、カラス上級代表、マクグラス委員が、国際民主主義デーを前に共同声明を出しました。AIとアルゴリズムを用いた情報操作が世論をゆがめ、民主的制度と選挙への信頼を損なっていると警告しています。 Joint statement ahead of International Day of Democracy(European Commission)
  • イーロン・マスク氏が、ChatGPTのiPhone統合をめぐるAppleへの独占禁止法上の請求を、月曜日の提出書類で全て取り下げました。OpenAIへの同種の請求は維持し、AppleとOpenAIの提携がチャットボット市場の独占を許したという主張を続ける方針です。 OpenAI stuck fighting Musk antitrust suit after Apple finds a way out(Ars Technica)

ビジネス

  • 減速論に市場が反応しました。9月14日の東京市場でソフトバンクが一時13.2%、キオクシアが一時9.8%下げ、AI・半導体関連株が世界的に下落しています。アモデイ氏は、6〜12カ月のうちにAIエージェントが数千億ドル規模の損害を引き起こしうると書いていました。 AI開発“減速論”過熱でソフトバンク、キオクシア株急落(ITmedia AI+)
  • OpenAIが、英国のFyxerがAI秘書を作った事例を公開しました。同社は50万時間を超えるエグゼクティブ・アシスタント業務のデータを自社のモデルと組み合わせており、OpenAIは数字として90日後のユーザー継続率90%、AIが書いた草案の53%が手直しなしで採用されたことを挙げています。 How Fyxer built an AI executive assistant people trust(OpenAI)
  • 生産性プラットフォームのSuperhumanが、Y Combinator出身の会議メモAI「Fathom」を買収しました。自前で作るのではなく買う判断で、議事録をメール作成やフォローアップ会議の設定につなげる構想を描いています。 Superhuman acquires YC-backed notetaker Fathom(TechCrunch)
  • NTTドコモソリューションズのプラットフォームサービス部が、1体のAIに複数業務を任せる万能型エージェントで失敗し、役割ごとに特化した複数のエージェントをスーパーバイザーAIが束ねる構成へ切り替えた経緯を明かしました。ネットワーク故障からの復旧時間の短縮率は、目標の30%を上回る34%に達しています。記事の公開は8月21日です。 “最強エージェント”は、まさかのポンコツだった(ITmedia エンタープライズ)
  • ITmediaが、米IT業界がAI技術を無料で公開する理由を解説しました。MCPを実装するSDKの累計ダウンロード数は、公開から約20カ月で1億2000万回を超えています。 AI技術を“無料で公開”、なぜ?(ITmedia ビジネスオンライン)

モデル・API

  • 本紙が9月12日の紙面で扱ったSakana AIの「Fugu Ultra v2」について、PC Watchが国内向けに報じました。9月11日付の公式発表で、視覚推論ベンチマーク「Chartography」の48.3はOpus 5の27.3とFable 5の29.5を上回り、ソフトウェアエンジニアリング系の「DeepSWE」では74.3を記録したとされています。 視覚推論でOpus 5/Fable 5超え。Sakana AI「Fugu Ultra v2」提供開始(PC Watch)

プロダクト

研究

  • 代数幾何学者のダニエル・リット氏が、AIが主要な未解決問題を自力で解き始めた状況を前提に、数学という職業の作り替えを論じるエッセイを公開しました。氏の警告は制度に向いています。学術数学が制度を適応させなければ、機械の能力が伸びても人間の側の理解が止まりうる、という見立てです。 A beginning for mathematics(Daniel Litt)

ソース: AIニュースインボックス(2026年9月15日収集・40件、一次8件・二次32件)から編集部が選定しました。