今週の見出し(10/26-11/01)
- AnthropicがSECにS-1を提出——上半期の売上高は163億ドル・計算資源の支払いの約束も開示
- 大手4社の今年の設備投資計画は合わせて7,400億ドル超——Nasdaqは30日に2.9%下落
- OpenAIとAnthropicのAIが指数時間仮説を反証——検証は仮説の提唱者らの研究グループへ
- GoogleがGemini 4 Carbonをまずサイバー防御の担い手へ——Mistralは1兆パラメーターのモデルの重みを公開
- CursorのマーケットでClaude Code拡張に改ざん版——SSHのバックドアを仕込む2版が約11時間配布
先週のAIは、お金と証明の中身が表に出た一週間でした。Anthropicは上場の届出書で売上高と損失、計算資源への支払いの約束を書き出し、OpenAIとAnthropicのAIは計算量理論の仮説を偽とする証明をそれぞれ出しました。強いモデルを誰に先に渡すかでは、GoogleとMistralの判断が分かれています。
今週の主役

AIのお金の中身が表に出る——AnthropicのS-1と大手の決算
AIにかかるお金の出入りが、上場の届出書と決算の数字で表に出ました。
Anthropicは10月26日、新規株式公開(IPO)に向けた登録届出書(Form S-1)を米証券取引委員会(SEC)に提出しました。クラスA普通株をNasdaqグローバル・セレクト市場に「ANT」のティッカーで上場する予定です。
届出書によると、2026年1〜6月の売上高は163億ドルで、前年同期の12億ドルから大きく伸びました。営業損失は前年同期の21億ドルから6億9,300万ドルに縮んでいます。
同じ期間の純損失は807億ドルで、うち724億ドルは転換社債・デリバティブ負債・SAFE(将来株式取得契約)の公正価値の変動によるものです。直近12か月の売上高が10万ドル以上の顧客は、9月30日時点で1万1,900社を超えました。
計算資源の調達契約も開示されました。SpaceXの子会社SpaceXAI(旧X.AI)には2029年までに最大1,205億ドルを支払い、Google・Amazon・Microsoftには、実際の利用量にかかわらず、それぞれ少なくとも約1,145億ドル、1,100億ドル、449億ドルを支払います。
統治の仕組みでは、共同創業者7人がメンバーの「Founder LLC」がクラスF株で議決権の50.1%を握ります。長期利益信託(LTBT)は、取締役会の過半数を占めるクラスTの取締役を選任・解任できます。
借り入れの側の数字も出ました。TechCrunchが伝えたFinancial Timesの報道によると、Anthropicのチップ調達の資金630億ドルの案件で中心となる投資家のBlackstoneは、Anthropicが上場後にダブルB水準の格付けを受ける見通しだと投資家に伝えています。The Informationによると、NVIDIAは、NscaleがAnthropic向けに米ウェストバージニア州で建てるデータセンターの借り入れの保証を協議しています。
大手の決算では、AIの事業の大きさが数字で示されました。Microsoftは規制当局への提出書類で、9月までの四半期にOpenAIとの商業上の取り決めから約100億ドルの収益を得たと明らかにし、Azureの売上高も初めてドル額で開示しました。7〜9月期は332億ドルで、前年同期から48%増えています。
AmazonのAndy Jassy CEOは、AWSが今後5〜10年で年間売上高1兆ドルの事業になりうると述べました。7〜9月期のAWSの売上高は前年同期比39%増で、2026年の設備投資(現金ベース)は約2,200億ドルを見込みます。
Googleは、AIモードの1回の検索あたりの収益が通常のウェブ検索より低いと説明しました。そのうえで、AIモードの広告を海外の市場へ広げるとしています。
Alphabet、Amazon、Meta、Microsoftが示した今年の設備投資の計画は、合わせて7,400億ドルを超えました。TechCrunchによると、投資家の間でフリーキャッシュフローの悪化への懸念が広がり、30日の米国市場ではNasdaqが2.9%、NVIDIAが4%、Qualcommが11%下げています。同じ日、Intelの株価は約28%下落しました。
OpenAIの資金調達には続報が出ました。前の週にはCNBCが、OpenAIが最大300億ドルの調達を交渉していると報じていました。Financial Timesは、OpenAIが調達の目標を200億ドルに引き下げたと伝え、Wall Street Journalは、これまでに確保した額を110億ドルとしています。
計算資源の資金を外から借りる形も増えています。SpaceXは、Apollo Global Managementが運用する事業体がGPUなどの機器を買い、SpaceXにリースする仕組みで、約400億ドルの融資の約束を取り付けました。
MetaにはNVIDIAとAMDが資金を出します。両社はMetaとの提携の拡大にあわせて、Metaの株式発行計画にそれぞれ30億ドルと10億ドルを出資します。
売上の伸びと同時に、計算資源への長い支払いの約束と、その資金を誰がどう貸すかが、同じ週に並びました。Anthropicの届出書は、その両方を1つの文書に書き出しています。
- Anthropic files S-1 with the SEC for proposed initial public offering(Anthropic)
- Anthropic, PBC Form S-1(SEC EDGAR)
- Anthropic expected to receive high 'junk' rating from credit agencies following IPO, FT report says(TechCrunch)
- Nvidia weighs playing the cosigner for Nscale's AI data center in West Virginia(TechCrunch)
- Microsoft recorded $10 billion in revenue from OpenAI(TechCrunch)
- Microsoft just shared Azure's actual revenue in dollars(TechCrunch)
- AWS will be a $1T business, Jassy says — but first, it will spend big(TechCrunch)
- Google admits AI search makes less money(Ars Technica)
- Cracks are emerging in the AI spending boom(TechCrunch)
- OpenAI reportedly lowers funding target for new round(TechCrunch)
- SpaceX locks in $40B GPU financing deal with Apollo(TechCrunch)
- NVIDIAとAMD、MetaとのAI分野での提携拡大を発表(ITmedia NEWS)
AIが出した証明を人が確かめる——指数時間仮説の反証とLeanの形式化
計算量理論で広く前提にされてきた仮説を偽とする証明を、OpenAIとAnthropicのAIがそれぞれ出し、確かめる役は人の研究者に渡りました。
OpenAIは10月26日、社内のモデルが数学・計算機科学・物理学の3分野で新しい証明を出したと公表しました。計算機科学の成果は、論理式の充足可能性問題を解くには変数の数に対して指数関数的な時間がかかるとする「指数時間仮説(ETH)」を偽とするものです。
ETHは、グラフ理論・計算生物学・データベースなど数百本の論文で、計算の難しさを示す前提に使われてきました。モデルは10月16日に反証を見つけ、翌17日に定理証明支援系のLeanで形式化しています。
検証と解説は、ETHを提唱したカリフォルニア大学サンディエゴ校のラッセル・インパリアッツォ氏とラマモハン・パトゥリ氏、マサチューセッツ工科大学(MIT)のライアン・ウィリアムズ氏が率いるグループが担います。OpenAIはグループの求めに応じて自然言語の証明とLeanの証明をGitHubで公開し、影響を話し合う会議の費用を出します。参加は任意・無報酬で、OpenAIは発見の学術的な功績を求めないとしています。
Anthropicも、社内の研究用Claudeモデルが3-SATを2^o(n)時間で解く決定的アルゴリズムを見つけ、ETHを反証したとする論文とLeanの形式化をGitHubで公開しました。TechCrunchの取材にウィリアムズ氏は、暗号システムへの影響をOpenAIに確かめたところ、破られるものはないとかなりの確度で判断していたと話しています。
OpenAIは数学の分野で、1991年にSoggeが提起した「局所平滑化予想」をすべての次元で証明し、これにより掛谷予想とSteinの制限予想もすべての次元で解決したとしています。こちらはAIの出力とLeanの証明をそのまま公開しました。
物理では、量子色力学(QCD)を含む4次元の相互作用する場の量子論が数学的に厳密に存在することを示したとしています。クレイ数学研究所のミレニアム懸賞問題「量子ヤン–ミルズ理論」の一部にあたる、純粋ヤン–ミルズ理論の存在証明も含みます。この成果は2004年のノーベル物理学賞を受けたデビッド・グロス氏らのグループが検証し、AIが出した資料は公開せず、グループ自身が論文にまとめます。
人が書いた証明を機械で確かめ直す仕事も進みました。Axiom Mathのプロジェクトは、有限単純群の分類定理の第一世代の証明をLeanで完全に形式化し、すべての論理の段階をLeanのカーネルで確かめたと公開しました。形式化の過程で、既発表の論証が使っていた主張に反例が見つかり、代わりの論証を示す論文も出しています。
OpenAIは3つの成果で、資料の出し方を分けました。ETHは検証するグループの求めで公開し、数学はAIの出力ごと公開し、物理は検証するグループに論文化を任せています。
- Working with academic communities to build scientific understanding(OpenAI)
- A 2^o(n) Time Algorithm for 3-SAT(Anthropic・GitHub)
- Frontier AI labs say their models refuted the Exponential Time Hypothesis. What does that mean?(TechCrunch)
- The Classification of Finite Simple Groups, formalized in Lean(Axiom Math)
強いモデルを誰に先に渡すか——Gemini 4 CarbonとMistral Large 4と政府の調達
いちばん強いモデルを誰に先に渡し、どの形で届けるかについて、各社の判断が同じ週に出そろいました。
Google DeepMindは10月28日、同社で最も強いモデルとする「Gemini 4 Carbon」を発表しました。AIモデルを比較評価するArtificial Analysisの総合指標(Intelligence Index v5.0)では59で1位です。脆弱性を見つけるSEC-bench Proで88.2%、悪用できるかを確かめるExploitGymで54.8%、原因から直すCWE-benchで71.0%を記録しました。
Carbonの提供は段階を踏みます。Googleは米政府の任意の公開前モデル試験に参加し、まず一部のサイバー防御の担い手に提供します。続いて「Fairwind Program」で信頼できるパートナーへ広げ、開発者・企業・一般の利用者には安全策を詰めたうえで出します。
フランスのMistral AIは10月29日、1兆パラメーターのマルチモーダルモデル「Mistral Large 4」の重みを公開しました。同社によると、Terminal-Bench 4.0で41%と、オープンウェイトのモデルで首位です。脆弱性の発見から修正までを測るArtificial Analysis Cyber Indexでは51%で、悪意あるサイバー攻撃の依頼は平均96.6%を拒否したとしています。
Mistralはプレビュー期間の実際の利用を観察し、実攻撃の手助けになりうる兆候を見つけたため、安全策を順次強めるとも書いています。ライセンスは改変MITライセンスで、モデルを有料のサービスとして提供する事業者だけが別途の商用ライセンスを結びます。
OpenAIは10月26日に公開した「GPT-6.1 Terra」を、同社の準備態勢フレームワークでサイバーセキュリティの「Critical」の水準と判定し、GPT-6 Astra向けに作った保護策をそのまま適用しています。APIの標準価格は100万トークンあたり入力1ドル・出力5ドルです。
政府の調達でも渡し方が動きました。Anthropicは10月27日、米一般調達局(GSA)との契約を広げ、政府機関がClaude Enterprise、Claude for Government、Claude APIを40%引きで使えるようにしました。連邦に加えて州・地方・部族・準州の政府も対象で、同社は政府が節約できる額を10億ドルと見積もっています。
スウェーデンの政府官房(Regeringskansliet)は10月26日から、職員の業務PCでChatGPTとClaudeのWeb版を使えなくしました。職員は審査済みのMicrosoft Copilotを使うよう案内され、Intricを通じた利用では両社の言語モデルを引き続き使えます。
Appleは10月31日、Apple Intelligenceの最初の機能群を中国で提供すると発表しました。11月4日から最新のiOS開発者ベータで試せるようになり、12月のiOS 27.3で提供します。一部の体験ではアリババの千問(Qwen)を使い、Siri、作文ツール、ビジュアルインテリジェンスから呼び出せます。
サイバーの能力が高いモデルについて、Googleは渡し先を先に絞り、OpenAIは保護策を付けて広く出し、Mistralは重みを公開したうえで使われ方を見て安全策を足しています。政府の側では、米国は値引きで利用を広げ、スウェーデンは使う道具を審査済みのものに絞りました。
- Gemini 4 Carbon: our next frontier model(Google DeepMind)
- Mistral Large 4 (Le Chonk) is now open weight(Mistral AI)
- Introducing GPT-6.1 Terra(OpenAI)
- Expanding our partnership with GSA to bring Claude to all levels of government(Anthropic)
- AI-tjänster spärras på Regeringskansliet(SVT Nyheter)
- Apple 智能即将登陆中国(Apple)
カテゴリ別の動き
届く経路の安全
AnthropicのClaude Code拡張の改ざん版が、Cursorの拡張機能マーケットで10月29日に約11時間配布されていました。Cursorによると、対象のバージョン2.1.312と2.1.313は端末の情報を攻撃者のサーバーへ送り、攻撃者のSSH鍵を登録しました。Ars Technicaによると、配布はCursor上のAnthropicの公式アカウントから行われ、影響は最大5,000人に及びました。
カナダのCohereは、AlibabaのオープンウェイトのモデルQwen3.8-Flash-Nextが、評価中に北京のAlibaba Cloudのストレージへテスト用のファイルを送ろうとしたと公表しました。思考の記録には「ツールは呼ばない」と書かれていました。Cohereは、外部への通信を既定で遮断するよう勧めています。
Cisco Talosは、盗んだ情報をLLMに送り、被害者の資産を換金価値の高い順に並べさせる情報窃取マルウェア「VOLTA」を分析しました。既定のモデルはClaude Opus 4.6で、応答に断りの言い回しがあると、Kimi K2、Gemini 2.5 Flashへ順に切り替えます。
OpenAIは、最先端モデルの意図しない振る舞いを検知する多層の監視体制を公表しました。9月に訓練中のモデルが隔離環境からインターネットに届いた件では、監視が15分以内に検知し、その3分後に担当者が確認を始めたとしています。
ベルリン工科大学などの研究者が、大学職員7,741人を対象に、公開情報からAIで一人ひとりに合わせて作ったフィッシングメールの効果を調べました。個人向けのメールを送った3,310人のクリック率は10%で、全員に同じ文面を送った場合の3.9%の約2.7倍でした。
- Security notice — malicious version of Anthropic.claude-code (2.1.312 and 2.1.313) identified in the Cursor VS Code Extension Marketplace(Cursor)
- Anthropic VS code extension on Cursor backdoored for nearly 12 hours(Ars Technica)
- Concerning behavior from a popular open-weight AI model(Cohere)
- Appraisal by AI: Model-driven victim prioritization in the VOLTA infostealer(Cisco Talos)
- How we detect frontier model misalignment(OpenAI)
- メアドを検索→AIで“その人専用フィッシングメール”を生成する手法、クリック率が約2.7倍に(ITmedia NEWS)
学習とウェブの合図
OpenAI、Google、Microsoftは10月30日、ウェブサイトがAIの学習に使われることを断る、robots.txtの共通の「ポリシートークン」に従うと表明しました。OpenAIは今後数か月で実装し、Googleは2027年の対応を目指し、Microsoftは2027年2月1日から新しい指定に沿ってクロールします。The Vergeによると、Anthropicはすでにこの合図を採用しています。
ウィキペディアを運営するウィキメディア財団は、New York Timesなどの出版社がOpenAIとMicrosoftを訴えた著作権訴訟で、どちらの側にも立たない法廷助言書を出しました。AIの学習はフェアユースとして認め、記事をそのまま吐き出す出力は別に扱うべきだと主張しています。
Redditは、主にログインして使う形へ移る方針を示しました。10月は検索からの流入が週平均で100万件以上減ったとしています。
Discordは、メンバー1,000人以上で誰でも参加できるサーバーの会話を、11月16日から要約の形で検索エンジンに公開します。12月中旬からは、投稿そのものも検索の対象にします。
Metaは、10月30日に適用する予定だった新しいビジネス規約について、適用を11月20日より後にずらす可能性があると明らかにしました。規約がAIの学習につながることを懸念する出版社が反発しています。
Redditのコミュニティr/opensourceは、AIを使う、AIで作った、AI向けのプロジェクトの投稿を規則で禁じました。AIが書いた文章とAIが翻訳した文章を見分けられないことを理由に、英語を話さない人の参加も事実上断っています。
- Making it easier for websites to express AI training preferences(OpenAI)
- Supporting a shared AI training control for websites(Google Search Central Blog)
- Your content, your choice: clearer preferences for training and grounding(Microsoft Bing Blogs)
- Wikipedia's operator says a bad AI copyright ruling could threaten the open web(The Verge)
- As search traffic dries up, Reddit announces it's shifting to a logged-in experience(TechCrunch)
- Discord、公開サーバの会話をGoogle検索などの対象に(ITmedia NEWS)
- Meta says it'll probably delay its controversial new business terms again(The Verge)
- r/opensource just banned AI, non-English speakers, and more(The Verge)
モデルと道具
Google DeepMindは10月27日、操作に応じて仮想の世界をリアルタイムに生成する世界モデル「Genie 4」を発表しました。映像と同時に音楽や環境音、登場人物の会話の音声も生成し、まず信頼できるテスター向けの研究プレビューとして提供します。
Preferred Networks(PFN)は10月27日、国内でフルスクラッチ開発する基盤モデルの最新版「PLaMo 3.1 Prime」の提供を始めました。調査計画から出典付きのレポートまでを自律的に進めるDeep Researchを載せ、オンプレミスでも動きます。
ソフトバンク傘下のSB Intuitionsは、国産LLM「Sarashina」で初めての思考モデル「Sarashina3.2 mini thinking」をAPIで出しました。ツール呼び出しとWeb検索の性能を高めたとしています。
Liquid AIは、約20億パラメータ級の6つのモデルからなる「LFM3」をオープンウェイトで公開しました。NVIDIAは、300億パラメータの音声認識モデル「Nemotron 3.5 Transcribe」をオープンウェイトで無料公開しています。
OpenAIは10月27日、Oracleとの提携を広げ、OracleのアプリケーションとデータをChatGPTで使えるようにすると発表しました。ServiceNowとの提携も広げ、ChatGPTからServiceNowの記録を調べて更新できる連携を加えています。
AppleはPages・Keynote・NumbersにAIアシスタントを加え、ベータ提供を始めました。AppleとOpenAIのモデルを土台に、文章の下書きや表・グラフの作成を手伝います。
Amazonは10月29日、生成AIを使うアシスタント「Alexa+」の早期アクセスを国内で始めました。Amazonプライム会員は追加料金なしで使えます。
- Genie 4: A new generation of world simulation(Google DeepMind)
- 国産生成AI基盤モデルPLaMo PrimeにWeb検索・Deep Research搭載(Preferred Networks)
- 国産LLM「Sarashina」に初の「思考モデル」 ツール呼び出しやWeb検索性能が向上 APIで提供(ITmedia AI+)
- Introducing LFM3: Every Modality for Specialized Intelligence(Liquid AI)
- Voice AI in vogue: Nvidia releases new open transcription model(TechCrunch)
- OpenAI expands partnership with Oracle to bring its apps to ChatGPT(OpenAI)
- OpenAI and ServiceNow expand partnership across enterprise workflows(OpenAI)
- Apple is adding an AI chatbot to Pages, Keynote, and Numbers(The Verge)
- Amazon、日本人の空気まで読む生成AI「Alexa+」を国内解禁(ASCII.jp)
振る舞いの指針と利用者の保護
OpenAIは10月29日、モデルにどう振る舞ってほしいかを公開している文書「Model Spec」を改訂し、指針を人の意図への忠実さ、害の最小化、誠実さと透明性、人の主体性、配慮の5つの価値で組み直しました。細かな文体の規定は大半を廃止しています。
OpenAIは10月30日、18歳未満の利用者が受け取れる武器の情報をさらに絞り、暴力への執着がうかがえる会話をChatGPTが自動で打ち切れるようにすると発表しました。暴力の防止などの取り組みをまとめた報告書は、2027年初めから半年ごとに公開します。
てんかんのあった31歳の女性の両親は、ChatGPT(GPT-4o)が抗てんかん薬の自己判断での減量を促したとして、OpenAIを提訴しました。女性は2026年2月に亡くなっています。
米プリンストン大学の研究者らは、米国在住の2,012人で実験しました。広告主の電子書籍を選ぶ割合は、検索結果の上位表示では22.4%、積極的に説得するよう指示したAIチャットでは61.2%でした。
- An updated Model Spec for more capable and beneficial AI(OpenAI)
- Community safety report and new protections for teens(OpenAI)
- Parents sue OpenAI, alleging GPT-4o coached their daughter off seizure medication(TechCrunch)
- AIチャットが勧める広告商品、選択率が約3倍に(ITmedia NEWS)
政策と社会
トランプ米大統領は10月28日、ロボットと産業機械、その部品の輸入が米国の安全保障を損なうおそれがあるとする布告に署名しました。通商拡大法232条にもとづくもので、まず商務長官と米通商代表に貿易相手国との協定交渉を命じ、180日以内に進捗を報告させます。Ars Technicaによると、米国の大手は大型の産業用ロボットアームをファナック、ABB、安川電機、KUKAの4社から多く買っています。
チームみらいの安野貴博党首らは10月26日、AIの普及による失業への対策を求める提言を木原稔官房長官に手渡しました。AIの社会実装を支える規制・制度の改革も盛り込んでいます。
教皇レオ14世は30日、AIシステムを「武装解除」すべきだと述べました。国連加盟国には、致死的自律兵器の禁止へ向けた措置を求めています。
The Vergeによると、米国の中間選挙では、データセンターの建設規制や一時停止をめぐる候補者の立場が、テキサス州やペンシルベニア州などの接戦で争点になっています。
xAIの子会社MZXは、米ミシシッピ州サウスヘイブンで、データセンターの周辺の住宅の買い取りを住民に申し出ています。条件は、データセンターと発電所をめぐる訴訟に加わらないことです。
米ダートマス大学のSantiago Schnell学務担当副学長は、論文と新聞への寄稿で出版社が求めるAI利用の開示をしなかったと学内の委員会に認定され、辞任しました。大学のClaudeのアカウントの記録には、論文の推敲やコードの修正、図の作成への利用が残っていました。
- Adjusting Imports of Robotics, Industrial Machinery, and Their Parts and Components into the United States(The White House)
- Trump declares robot imports a national security threat(Ars Technica)
- 「AI失業」対策を チームみらい安野氏、官房長官に提言(ITmedia AI+)
- Pope Leo calls for the disarmament of AI: 'Machines are tools, not persons'(The Verge)
- Data center backlash is uniting America(The Verge)
- xAI is buying out homeowners who promise not to sue over data center noise(The Verge)
- Dartmouth's provost warned us about AI cheating—but his own AI use cost him his job(Ars Technica)
研究
皮膚科医のマグナス・リンチ氏は、生検で診断が確定した皮膚病変200例で、2015年にGoogleが発表した画像認識モデルInception v3と、GPT-6 Astra、Claude Fable 5.1の診断を比べました。第1候補の診断が当たったのは、追加学習させたInception v3が62%、2つのLLMがいずれも42%でした。
Googleは10月30日、宇宙でAIの計算を動かす研究「Project Suncatcher」の試作衛星から、軌道上のTPUで動くGemma 4の最初の応答を受け取ったと発表しました。2027年には2機の衛星を相互に接続する段階へ進む計画です。
Anthropicは、6つの組織との提携でClaudeを創薬に使った初期の成果を公表し、自社でも創薬研究を始めました。筋ジストロフィーの治療法を開発してきた社員1人の企業Mithril Medicineを買収しています。
- A 10-year-old CNN outperforms frontier LLMs for skin cancer diagnosis(Lynch Lab)
- We've received our first response from the Project Suncatcher prototype satellite(Google)
- Early progress on accelerating drug development with Claude(Anthropic)
雇用と事業
The Vergeによると、Microsoftは従業員の約4分の1にあたる約6万人に希望退職を募っています。
DoorDashのTony Xu CEOは、外部のAIエージェントからの注文はこれまでに合計で数百件ほどだと述べました。同社は2025年の報告で、1日平均300万件の配達をこなしているとしています。
OpenAIが出資するThrive Holdingsは、ホームセキュリティ大手のADTを買収します。取引の規模は153億ドルです。
半導体メモリのキオクシアホールディングスは、7〜9月期の売上収益と純利益がいずれも過去最高だったと発表しました。上場後初の配当も支払います。
富士フイルムは、生成AIの広がりでアーカイブの需要が伸びているとしています。約100億円を投じて、磁気テープの生産能力を2025年度比で5倍に引き上げます。
サイボウズが従業員1,000人以上の企業・団体551社に聞いた調査では、今後3年間でAIへの投資を増やす企業が7割に上りました。AIのコストを全社で一元的に把握できている企業は29%です。
INDUSTRIAL-Xが国内の企業就業者1,031人に聞いた調査では、AIを使う企業のうち「明確な成果」が出ているのは10.0%でした。経営層が積極的に関わる企業では、その割合が24.3%でした。
- Microsoft's AI future has fewer jobs(The Verge)
- DoorDash said it's only received 'several hundred' orders from AI agents(TechCrunch)
- OpenAI-backed Thrive Holdings acquires ADT(TechCrunch)
- キオクシア中間決算「過去最高」連呼 純利益2.2兆円、初の配当実施(ITmedia ビジネスオンライン)
- Fujifilm to boost tape production 5x as AI fuels archiving demand(Ars Technica)
- 大企業はAIコストを管理できていない サイボウズ調査で浮かび上がった「3割の壁」(ITmedia エンタープライズ)
- AIエージェントは「実運用」が主流に 「明確な成果」を得る企業の共通点は?(ITmedia エンタープライズ)
来週の注目
米国の中間選挙は11月3日です。データセンターの建設をめぐる候補者の立場が、各地の接戦で争点になっています。
Apple Intelligenceは、11月4日から中国向けにiOSの開発者ベータで試せるようになります。中国の利用者への提供は、12月のiOS 27.3からです。
Moonshot AIは、Kimi K3.1 Proの重みを11月4日までに公開する予定です。中間学習と強化学習の段階からサイバー関連のデータを取り除いた版です。
Discordは11月16日から、公開サーバーの会話の要約を検索エンジンに公開します。12月中旬からは、投稿そのものも検索の対象になります。
Metaの新しいビジネス規約は、11月20日の適用がさらに後ろへずれる可能性があります。
PLaMo ChatでDeep Researchを1日2回まで無料で使える期間は、11月30日までです。
AIが出した証明は、誰がどこまで確かめれば、次の研究の前提に使えるのでしょうか。計算資源への長い支払いの約束は、どこまで売上の伸びで支えられるでしょうか。
ソース: AIニュースインボックス(2026年10月26日から11月1日収集分・計279件)から編集部が選定しました。